- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872331431
作品紹介・あらすじ
吉本ばなな、村上春樹から中上健次まで、代表的な文学作品を実例に、書き出し・会話の書き方、新人賞の取り方まで、いま文壇がもっとも恐れている批評家コンビが徹底的に面倒を見る、愛と残酷さに満ちた、小説特訓講座。
感想・レビュー・書評
-
ブックガイドであり初心者向けの小説解体新書だと思った。小説とは言葉で物語を綴ればそれで完成ではなく、小説というシステムに則る手続きがあって、その手続きも先人たちの幾多の試みや文壇の潮流という経緯があること、その1本の時間軸が現代の文学にも繋がっているということを知った。音楽でいう「掘る」にあたることが文学でもできるんだなーと。考えてみればそりゃそうなんだけど、本の中で何度も触れられていたように「小説は誰でも書ける」という錯覚がこの事実の認識から遠ざけているんだと思った。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
それでも作家になりたい人のためのブックガイド
(和書)2010年11月29日 23:00
1993 太田出版 スガ 秀実, 渡部 直己
「新それなり」の方を先に読んでいたので、どのような内容かは想像できた。面白かったね。小説というものに拘らず、作家という広義の意味でならどうなのかな。作家と小説家というのが同じものとして書かれている。小説家はどうでもいいと思える。 -
蓮實重彦『陥没地帯』を読みたいと思ってから10年以上経過、2016年に復刻版?が出版され、ようやく同書を手に取り、はてどこでこの本に出会ったのかと思い返した時、この伝説的な問題作「それでも作家になりたい人のためのブックガイド」を思い出した。ここで紹介された文学作品を読もうとリストアップしたんだった。
すでに「それでも…」を読んでから20年は経過しているが、この本の、小説に対する愛情、それをぶち壊すほどの批評ぶり、確かにそこらの「ちょっと文章が書ける」程度の作家気取りの人間を蹴散らす勢い、どれも斬新で当時の記憶がよみがえる。もう一度読んでみたいな。 -
ブックガイドですらない。
ただくだらないふたりが駄弁を弄しているだけ。
中上や古井や自分たちの派閥にいる作家をもてはやし、その他の現代作家を愛半分のように装いつつこきおろしていく。
何がいいという記述よりも、何がだめという記述が多いので、
ただの飲み屋でのくだらない意見に過ぎない。
学歴や偏差値云々はもはやゴシップ雑誌のレベル。
こういう本音を語る本が少なかったのか。
しかし書かれた時代を考えても、くだらない本には間違いない。
こんな本で彼らにお金が入ること自体がくちおしい。くだらない。 -
作家志望ではないですが、この手の本が好きなので読了。
渡部直己さんは近著に『日本小説技術史』(新潮社)も書いているように、個々で取り上げられた小説を何を書いたではなく、どう書いたのかに着目しておりますので、本書でも巷によくある作家養成のハウツー本とは異なり、しっかりと「お勉強」をさせてくれます。
そういう意味では、小説の方法を学びとることを後藤明生さんの『小説 いかに読み、いかに書くか』(講談社現代新書)に感化された者としては、そのようなスタンスで書かれた本書も面白く読めました。
ただし、著者のお二人は著名作家をズッタズッタとコケ下ろし、毒を吐いてまわりますので、好きな作家が貶されることが許せないという方は注意が必要です。
追記:巻末に必読日本小説50選が掲載されています。海外小説にかまけていたということもあり、近代日本文学をなおざりにしていました。このリストを一つの手がかりとして、取り組んでまいりたいです。リストに関して付け加えると、同著者・渡部直己さんの『私学的、あまりに私学的な陽で利発な若者へおくる小説・批評・思想ガイド』(ひつじ書房)に日本・海外の小説と批評、計200冊ばかりのブックリストがあったと思いますので、そちらも参考にしてはいかがでしょうか。数年前まで、近畿大学文芸学部のHPでもブックリストが閲覧できたはずですが、削除されてしまったのでしょうか。
-
作家になりたいわけではないけれど、書くときに意識すべき点は同時に読む時のポイントもなるに違いないという考えから読了。
実際、タイトル、書き出し、登場人物および語り手の設定、会話、結びなどについて参考になるところが多かった!
特に、一人称小説における助詞レベルでのこだわり(「私は~」なのか「私が~」なのかで対象と語り手の距離は異なる)や、一元描写だからこそ視野の枠外から飛び込むものが活きてくる点については、深く納得するとともにこれまでさほど意識してこなかったことを反省。 -
私は趣味の合う人の書評が結構好きなのだなー、としみじみ思いました。
次に何を読もうかなー、という時に凄く参考になるんですよね、趣味が合うからハズレも少ない。
作家さんの個人名を出してボロッカスに言うもんだから、ハラハラしながらも面白いです。自分の嫌いな作家(というか小説)を他人がボッコボコにするのは何と愉快なことでしょう!
性格の悪い私はそういう楽しみ方もしてしましました。
作家になりたい人がこれを読んでも特に参考にはならないでしょう。純文学に焦点を置いた、辛口の書評といった感じ。
15年も前の本なので、町田康がパンクで文学して舞城王太郎が口語で文学を文学たらしめてしまって綿矢りさがアイドル級の可愛さを文学に持ちこんでしまって楊逸がナボコフな事件を起こしてしまった楽しい事柄がぜーんぶ書かれていないのですが、続編があるようなのでそっちを読んでみようと思います。
11.12.11 再読 -
なんだかインテリが書いてる本だなあ、というちょっと呆れた印象ですから。けど、☆4つ。