世界の複数性についての対話 (プラネタリー・クラシクス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875022084

作品紹介・あらすじ

時は17世紀末、美しき侯爵夫人の館の庭で月や土星、果ては銀河までの諸世界をめぐる洒落た対話がなされた。当時の知見と人間中心主義への風刺を含んでサロンの話題を独占した古典。

感想・レビュー・書評

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  • ただ読むとたわいのないお伽話か子供だましの幻想物語の
    ように思われるのだが、実は十七世紀に発表され、ベスト
    セラーとなったれっきとした科学啓蒙書である。今この現代
    にこの本を読む意義は様々あるだろう。当時の天文学の科学
    的水準を知ることができたり、さりげなく織り込まれた社会
    や宗教への批判を読み解くこともできよう。私はこの科学的
    情報の限られた時代に発揮された人間の想像力を楽しむと
    いった読み方をした。よってジャンル分けもファンタジー・
    SFとしておいた。この本の性格上、解説まで読むことが
    大切である。

  • 17・18世紀のフランスを代表する思想家が、異星人が存在するという仮説を推論的に示そうとする著作。その際に、コペルニクス的地動説とデカルト的渦動説を組み合わせて太陽系の構成を説明し、その中で生命体を有する惑星が地球だけとは限らないことを正当化しようとしている(引力や重力の話は出てこない)。天動説など古代以来の世界観・宇宙観が嘲笑され、月や木星の住人からすれば地球に住人がいるとは思えず、そこで地球人の存在を主張する者は教会や国家によって処罰されるだろうと述べることで、暗に当時の科学言説に対する教会や国家の姿勢を批判している。その他にも、当時の社会に対する皮肉や批判が散りばめられている。天文学の啓蒙書としてだけではなく、社会批判の書としても非常に面白い。(2015年7月24日)
     古本で比較的安価で入手できたため再読。相変わらず、軽妙洒脱な「私」とG侯爵夫人の会話にはくすりとさせられる。それと同時に、啓蒙主義者たちの世界観の核心部に触れるような記述が随所に見られ、SFファンタジー的な面白さと同時に啓蒙の思想史を楽しめる。「今日では、みんな宇宙は時計を大きくしたものだと思いたがっています。そこではすべてが規則正しい運動で運ばれていき、その規則正しい運動は、もろもろの部分の配列によって生まれるのだとね。」(26頁)。

  • 対話形式で、他の惑星について分かりやすく語っているはずなのに、僕には分かりづらくて面白くなかったなぁ・・・。難解でも面白く感じる本はあるのに・・・!どっか対話のリズムが悪かったのかも。

  • [ 内容 ]
    ……時は17世紀末、美しき侯爵夫人の館の庭で月や土星、果ては銀河までの諸世界をめぐる洒落た対話がなされた。
    当時の知見と人間中心主義への風刺を含んでサロンの話題を独占した古典。

    [ 目次 ]
    地球は自転し、また太陽の回りを回る惑星であること
    月は人の住む地球であること
    月世界の特徴および他の惑星にも人が住んでいること
    金星、水星、火星、木星、土星の世界の特徴
    恒星はすべて太陽で、それぞれがその世界を照らしていること
    これまでの対話で示された考えの正しさを確認させる新しい考えと天空においてなされた最近の発見

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著者プロフィール

1657年2月11日、ルアン高等学院の弁護士を父に、悲劇作家コルネイユの妹を母に生をうける。最後のリベルタンにして最初の啓蒙思想家。1757年1月9日、百歳の誕生日を33日後に控え永眠。
前半生は『新篇使者の対話』(1683)や『世界の複数性についての対話』(1686)の著者として文壇で活躍。1699年、王立科学アカデミーの終身書記に就任以降はサロン文化と科学界のオルガナイザーとして精力的に活動する。ライプニッツやニュートンの弔辞など、後代の範となる頌辞ややアカデミー史を残すかたわら、宗教批判の書『神話の起源』(1714)を地下出版するなど、自らの思想の裡にも終生多元性を保持した。
『世界の複数性についての対話』は出版されるや、たちまち大ヒット。著者存命中に33回、その後も現在まで40回近くは刊行されている。翻訳も30種類の英訳を筆頭に、イタリア、ドイツ、オランダ、近代ギリシア、ロシア、スペインの各国語版があり、歴史的ベストセラーとして広く愛読されている。

「1992年 『世界の複数性についての対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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