宮沢賢治絵童話集 (10)

著者 :
  • くもん出版
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (73ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875767107

感想・レビュー・書評

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  • 宮沢賢治の童話。
    ・雨ニモマケズ
    ・グスゴーブドリの伝記
    ・オツベルと象
    が入っているが、宮沢賢治の描いたお話はやはり深い!

    ○"グスゴーブドリの伝記"
    幼い頃に飢饉の苦しさから両親を亡くしたブドリは、いろんな人の下で懸命に働き、学び、最後は火山局の技師となるが、人々のために犠牲となることを選ぶ。
    ブドリに取っては辛い人生だと思うが、当時の東北地方では災害によって、作物が取れないというのは、よくあることだったのだろう。現代の地球環境を予見していたかのような話自体にも驚いたが、自然現象を科学の力でなんとかしようとする発想を1932年時点で賢治が持っていたこともスゴイ!
    グスゴーブドリと宮沢賢治が重なるように思えた。

    ○オツベルと象
    自身の欲のために動物から搾取するオツベル。林にいた象の群れが、オツベルに囚われた象を助けに来るシーンは、象の連帯の強さを示していると思う。象に上手く逃げ出して、ハッピーに暮らしてほしい。

  • 以前読書会で紹介されて気になっていた一冊。
    宮沢賢治自身の人生が投影された自伝的作品といいますが、
    まずやはり主人公ブドリの生き方に感銘を受けるとともに、大自然の破壊力に人間が科学技術をもってどう立ち向かうか?という姿勢について考えさせられます。

    ストーリー全体から非常に強いメッセージ性を感じられるいい童話です。

  • 東日本大震災を経験した今こそ、読みたい本。人が生きていくために、科学の力が本当に必要だった。そのために命を懸けた科学者たちがいた。生きるためから幸福になるために科学は発展し、さらに利益追求のために、とどまるところを知らず発展を続けた結果が今。ブドリのような科学者たちの努力の上に寝そべり、彼らの祈りを踏みにじるような暮らしではいけない。一人ひとりが、生活を根本から見直さなければならない時期に来ていることに気付かされる。

  • 冷害について私は知識はないのだが、物語に出てくる自然の脅威や人への影響は現実に沿った内容であるように考える 現在の安心した暮らしは、過去のブドリのような研究者が残してくれたものだと感謝をしたくなる また、人が困っているのを助けるため勉強したいと少し思う

  • 人間社会の縮図を輪廻転生に描いており、美しくもあり哀しい。「雨にも負けず」や「注文の多い料理店」で描いていた宮沢賢治の世界観で読むと少しショックかも。

  •  「雨ニモマケズ」「グスコーブドリの伝記」「オツベルと象」収録。(「グスコーブドリの伝記」までを読んだ)
     「雨ニモマケズ」の中に「ヒデリノトキハ」「サムサノナツハ」という言葉が出てくる。「グスコーブドリの伝記」の中でも、イーハトーブの人々は、日照りや冷害による農作物の不作に悩まされている。
     ブドリが10歳の秋。冷害による飢饉のせいで、両親がいなくなる。妹もさらわれてしまい、一人ぼっちになったブドリ。蚕を育てるてぐす工場やオリザ(稲)を育てる沼ばたけ(田んぼ)などで働く。沼ばたけの主人は、勉強して立派なオリザを作る工夫をしてほしいと息子の残した本をくれる。ブドリは、仕事の合間に本を読み勉強をする。その後、火山局の仕事を紹介されたブドリは、人々の暮らしが良くなるよう懸命に働く。天候が悪くまたも飢饉が…となった時、ブドリは…。

  • 「グスコーブドリの伝記」と「オツベルと象」の二編を収録。「オツベルと象」は初めて読んだが、賢治には珍しく荒っぽい語り口調で新鮮だった…。人のためなら命を惜しんではいけません、人を陥れれば罰が下ります、といった賢治らしい教訓が割とダイレクトに伝わってくる二編。「ペンネンネンネンネン・ネネリの伝記」も読んでみたかったなあ

  • 074

  • 【初回】
    なだそれ?的なエンディング。また読まなきゃ。

  • もう3度くらいは読んでいる。
    子供の頃から家においてあった。作者は宮沢賢治さん。


    火山局で働いていたブドリは、

    最終的に人のために自らの命を投げ出します。

    10歳で飢餓により両親を失い、妹を奪われ、

    その後はひたすら働き、勉強して、、

    尊敬する教師に出会って、




    最後は人の為に死んでいく・・・




    こう書くと本当に可哀想な主人公という感じでしょうか。



    でも、読んでいると悲惨な感じはしないの。



    私の中ではブドリの生き方が、キラキラと光っている。

    彼の知識欲と思いやりの深さ。 心に訴えかけるものがありました。

    私がこう本の感想を述べた時、ある方が「賢治は仏教者でした。だから、その姿は菩薩であり慈悲のこころなのです。だから温かい。」と教えて下さいました。
    そう考えると本当に、あらためて温かさが胸に湧いてきます。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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