五分後の世界

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 352
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877280048

作品紹介・あらすじ

5分のずれで現われた、もうひとつの日本は人口26万に激減していた。国連軍との本土決戦のさ中で、アンダーグラウンド兵士の思いは、こうだ。「人類に生きる目的はない。だが、生きのびなくてはならない」。472枚、書き下ろし作品。

感想・レビュー・書評

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  • 陸軍スパイの小説を読んだわたしに
    ブク友おびのり氏がオススメしてくれた一冊。

    面白かった‼︎
    もちろん戦争はダメです。
    けれど今もこの先も戦争がなくなる世の中がくるとはやはり思えない。


    この作品は戦争に降伏した現在の日本と5分違うパラレルワールドで今も戦い続ける世界だった。

    パラレルワールドに迷い込んだ主人公・小田桐はクズのような人生を送ってきた中年である。
    ただのチンピラですよ。
    はっきり言って生きていけないだろうと思ったし
    ラストどんな終着点になるのか一気読みです。

    気づいた時にはまるで捕虜の集団の列で歩き、凄まじい戦闘シーンが始まる。
    とにかくこの戦闘シーンが長い!武器の名前等全く無知なわたしですが描写が凄いです。
    グロい描写に手に汗握り、走る潜る戦う…
    まるで自分が戦闘中です(o_o)

    地下に潜った日本人達が今も日本以外の連合軍と戦っているのです…5分違う世界で。

    ラストの一行に痺れました♪

    おびさん教えてくれてありがとう\(//∇//)
    続編も楽しみです♪





    • おびのりさん
      読んでくれたね、ありがとう♪
      なんかさ、大谷くんやダルビッシュや藤井聡太くんだらけになる日本男児。
      どっかのレビューかなんかに書いたんだけど...
      読んでくれたね、ありがとう♪
      なんかさ、大谷くんやダルビッシュや藤井聡太くんだらけになる日本男児。
      どっかのレビューかなんかに書いたんだけど、市ヶ谷駐屯地の見学コースに、敗戦直前の地下司令部後が一部公開されてるのよ。あれみたらさ、このパラレルあり得そうだなと思ったの。
      皆さん、私は村上龍派だったのですが、途中であまりにサイコになって逃げ出したのです。
      2023/04/24
    • みんみんさん
      いや〜ほぼ戦闘だから今なら戦い方わかるよ笑
      次はメンバーも違うんだよね?
      すぐ借りてくるよ〜\(//∇//)
      いや〜ほぼ戦闘だから今なら戦い方わかるよ笑
      次はメンバーも違うんだよね?
      すぐ借りてくるよ〜\(//∇//)
      2023/04/24
    • おびのりさん
      そうそうメンバー総入れ替え。
      私は、この戦闘に戻るラストが好きなのよ。
      砂の女の男と同じで。
      とはいえ、戦うよね。私も穴に隠れられるよ。
      そうそうメンバー総入れ替え。
      私は、この戦闘に戻るラストが好きなのよ。
      砂の女の男と同じで。
      とはいえ、戦うよね。私も穴に隠れられるよ。
      2023/04/24
  • 男の人というのは女性と根本的に違う、というのが一番最初に思い浮かんだ感想だ。
    旦那の本棚にあった大沢在昌の「新宿鮫」を読んだ時にもそんな風に思ったことを思い出した。

    図書館の特設コーナーにあった本。久しぶりに村上龍を読むか、と手に取った。

    冒頭から激しい戦闘シーン。的確な描写によって脳内に何かで見た戦闘のイメージの複合物が呼び起こされる。血や肉片、泥のイメージ。読まなくていいかも、と何度も本を置く。それでも続きが気になって又読む。

    作者が女性ならこんなに延々と戦闘シーンを描かないんじゃないか、と思いながら読む。その前に読んだのがターシャ・テューダーの本だったから尚更だ。

    知らなくてもいい話なんだと思う。なんとか読み終えた。奥付けを見たら1994年に刊行された本だった。何故図書館の特設コーナーにあったのかは謎だが、村上龍の描写力は確かだなぁと気付いたのが収穫かも。

  • 小田桐が迷い込んだ世界は太平洋戦争で降伏することをせずプライドある日本人が地下に集まり、戦勝国に分断された日本列島を取り戻そうと戦っている世界です。

    村上龍は「力強く生きよ」的テーマをずっと書いていますね。ちょっと記憶が曖昧なのですが「愛と幻想のファシズム」とかもそんな感じだったような・・・

    この作品に出てくる日本人は、日本人であることを強く意識しプライドを持っている。日本人の地下組織である『アンダーグラウンド』の兵士はすべてにおいて優秀で戦争に降伏した日本に育った小田桐とはぜんぜん違う。
    そして小田桐は、平和な日本ではなく紛争が絶え間なく続く五分後の世界に留まることを決意する。

    村上龍の文体はどこか血なまぐさい所があり、また紛争の描写にもかなり力をいれているのでだまされそうになっちゃうのだけど、すべての人間がプライドを持って前を向いて歩く集団って実はありえない。集団というものには必ず秩序を乱そうとする因子が内包されている気がする。

    また、アンダーグラウンドの兵士の優秀さがすごく前面に押し出されているのだけど、優秀=プライドなのだろうか?という疑問も湧いてくる。能力的には優れていると言えなくともプライドを持つことは可能ではないのかなと思うのです。

    村上龍のこの手のテーマの作品を読むと様々なことに翻弄され休み休みなんとか生きている私は、五分後の世界では真っ先に脱落するだろうな~などと鬱になります。
    しかし逆に、運動会でも一等賞を決めなかったりする世の中に疑問を投げかける姿勢は好ましかったりして、せめてプライドを持って毎日生きようと思ったりして勇気も湧いてくる私なのでした。

  • 実家から救いだし20年振りに再読した。

    今より5分先の世界は別次元。ファンタジーだなと思いながら読み進めた。だけどワカマツのコンサートの辺りから文体が変わる。体温が上がっていく。兵士とはなにか。戦争で戦うとはなにか。生きるとはなにか。

    向現が効いてるかのように読者まで高揚していく。

    最後の一節を読んだ時、すげえ格好いいと思った。
    小説って面白いな、読んで良かったと心の奥が震えた私の宝物の一冊。

  • 箱根でジョギングをしていたはずの小田桐はふと気がつくと、どこだか解らない場所を集団で行進していた。そこは5分のずれで現れた「もう一つの日本」だった。「もう一つの日本」は地下に建設され、人口はたった26万人に激減していたが、第二次世界大戦終結後も民族の誇りを失わず、駐留している連合国軍を相手にゲリラ戦を繰り広げていた……。国連軍との本土決戦のさ中で、アンダーグラウンド兵士の思いは、こうだ。「人類に生きる目的はない。だが、生きのびなくてはならない」。

  • Amazon Unlimitedで借りた著者エッセイ(無知をさらけだしていてムカつく記述が多い)でこの小説を知ったので借りてみた。
    なんだか意味不明は物語であった。

  • 22年前の筆者は、今までの作品の中で最高だと言う。場面転換、スピード、人物達の関わりの濃淡、確かに先駆的だけど、22年後の作品はもっと素晴らしいものがある。
    市に吸収合併される以前の町民図書館蔵書を市民図書館で借りてよんだ。借りられた痕跡のない、町民図書館の図書カードに、合併しなかったパラレルワールドを想像する。多分、あの町の人たちは読む事はなく、書架に埋もれていただろう。

  • 解釈の難しい内容でした。

  • 主人公の小田桐(ヤクザな世界を渡り歩いた男)がある日突然気が付くと今までの世界とはまったく違う世界に入り込んでいたという設定。
    そこは日本のようであり日本でない?不思議な世界で、いまだに戦争が続いている世界。
    不思議な体験をしながらその世界が意外と小田桐の感覚になじむ世界だが、実はその世界が同じ日本だが違う道を歩んだ世界のようで、日本はポツダムで降伏をしていなかった。
    色々な人々とかかわりながらその世界を生きている中で小田桐は自分を見つめ直して生きていく。
    彼の時計はその世界では五分遅れている。

  • 主人公が時空の狭間から迷い込んだ世界は5分時間が遅れていた日本。そこには第二次大戦に降伏せず、皇室をスイスに亡命させ今なお国連軍と戦闘を繰り広げる傍ら、独自の政治形態や文化を進化させ生きている日本があった。純粋な日本人は実に僅か数十万人に減ったが、その中である程度世界からのリスペクトを得て生きていく日本人たちの姿を描く。いわゆるパラレルワールド小説であるが、現代の豊かではあるが、国際的に見れば隷属的な日本への批判がそこにある。

  • 「おまえの時計、5分遅れているぞ。」


    主人公、小田桐が来てしまったのは、もといた世界よりの五分後の世界。

    この世界の日本はポツダム宣言を受け入れることなく戦闘を続け、もはや純粋な日本国民は二十六万人。
    いまだ国連軍と血みどろのゲリラ戦を繰り広げる。
    平和なもとの日本とは正反対の世界。

    しかし。

    ここの日本国民は「生きていた」

    命の大事さを誰よりも知り、自分の「意志」で行動し、世界に対して常に日本人としての「勇気」と「プライド」を示し続ける。

    そんな、日本人達と行動を供にした小田桐が最後にとった行動とは・・・。





    今の平和な日本は本当にありがたいと思う。
    世界中見渡したって、こんなに平和な国はないし、こんなに豊かな国はないし、こんなに住みやすい国はない。

    でも。

    戦争が終わって以来。

    「日本人」として、失くしてしまったものも、とても大きいと思う。


    それが何なのか。


    言葉にするとありきたりになってしまうけど、この本を読むと心に浸み込んで来るような気がした。

  • 怖かった。

  • ラストシーンが印象的だった。
    この世界と共に進む覚悟を決めたように感じさせられた。

  • 一度は、ヘッセの「車輪の下」と迷って敗れたが、結局「車輪」は読まずに返却。モヤモヤと頭に残っていた此方を借りる。

    「アーサー王」もこのぐらい描写してくれるといいのに。

    日本が敗北しなかったら、こうなりえたかも知れない との設定。日本人としての誇りや、緊張感。

  • 最初に読み終わったときは興奮したな~w。
    今でも好きな作品だし、人に薦めたりもする。

  • ろくでなしの小田桐が迷い込んだ五分後の世界。
    そこでは日本が戦争で降伏せずに地下にもぐって戦い続け,
    その軍事力と誇り高さにより世界に対して一定の政治的影響力を
    発揮していた。

    以前読んだ「半島を出よ」とくらべると観念的な印象。

  • 学生の時以来、久しぶりに読んだ。

    主人公の小田桐が、迷い込んだ世界は、先の大戦が継続している日本。

    他国に植民地化され、混血が進む中、純潔の日本人は地下に潜み、
    日本人として各個人が常に危機感を持ちながら行動している。


    危機感のない今の日本に必要な一冊。

  • 村上龍の文章は
    場面を想像させるという小説の基本を超えて
    目の前に強制的に場面を浮かび上がらせる

    そして気付いたときには
    文字により構築された膜に
    全身を被われている。

    特に五分後の世界には
    鮮明な描写が多く
    膜に奥行きまでついてる。

    そして何度読んでも
    過不足ない文章だと驚く
    異常に鮮明な場面を浮かび上がらせるのに
    物語の進行を妨げないばかりか
    よりスピーディーに進める文章は圧巻

    ストーリーは
    何となく真っ白な状態から
    読んだ方が楽しそうなので
    まったく触れませんが
    今回はエロなしです。

    グロテスクな表現が多分に含まれてますが、
    読み終わった後に元気がでてくる。
    かなりお薦めです。

    幾つになっても
    この本を読めば元気になれそうな気がしますが、
    あくまで僕はですけどね。

  • ぇ!?これで終わり!?ってなった。
    でも、世界観がそのデザインが素晴らしくしっかりしていた。
    良い。

  • 世界観にうっとり。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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