- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877284589
感想・レビュー・書評
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「私はこうして作家になった」、「私は競馬で飯を食ってきた」の2つのエッセーを収録。
かなり初期のエッセーだが、著者ならではの切れ味のある文章が味わえる。売れっ子作家として大成する前の(直木賞受賞前の)著者の破天荒ぶりが覗けて嬉しい。競馬に関するプロフェッショナルな蘊蓄には舌を巻く。
下積み時代が長かった著者。ブティック経営、競馬評論家、そして小説家という三足のわらじを履いて八面六臂の大活躍。加えて自衛隊入隊、借金取りなどの裏街道の経験もある。その引き出しの多さが作品に深みをもたらしているんだなあ、と改めて納得。
自衛隊入隊を決意したは、「実はまったく純粋な気持ちで、三島の死を探求するため」だったという。著者はコテコテの文学青年だったわけだ。
純文学を目指した著者が、何故ピカレスク小説でデビューしたのか、その経緯も面白かった。初仕事で自衛隊ネタのエッセーの連載を始めたら、早速自衛隊からお叱りを受け、切羽詰まった著者が編集者と飲んだ席で裏家業の面白エピソードを語ったところ大受けてしまい、(不本意ながら)裏家業点で極道ネタ採用となってしまったのだとか。
無類の博打好きの著者。競馬は半ば職業だったようだ。「競馬で勝つやつはいない」と言いつつも、競馬でしっかり稼いできた著者が語る、競馬の極意。いつも同じ金額を持って出掛けるべし、得意のレースを決めるべし、前日予想でパドックで見る馬を限定せよ、などなど、いちいち納得。この合理的な考え方は、競馬をやらなくても大いに参考になる!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大きく2部に分かれていて、前半は自叙伝的な内容、後半(といっても本の2/3くらいを占めていますが・・・)は競馬のお話し。
著者は自身を「プロ」と呼ぶほどの勝負師で、競馬歴は長く、「運」「投資金額」「予想」などなどについて、経験に裏打ちされた哲学を、お上品なかたたちは眉をひそめてしまうような言葉遣いをちりばめながら披露しています。
また、昔の競馬場の様子や市井の人々の様子がユーモア溢れる表現で描かれており、一気に読んでしまいました。
ギャンブルに抵抗がある人は無理かもしれませんが、抵抗のないかたは存分に楽しめるかと思います。 -
作家・浅田次郎の競馬本。競馬の鉄則について指南する。
馬券の軸は先行馬。追込み脚質を軸にしてはいけない。穴をあけるのは人気薄の逃げ馬。突然先行して負けた追込み馬は、次回も買い。テンにズブくなった先行馬は当分消し、等々。競馬ファンであれば、だいたい判っていることではあるけれど、この法則を実際適用するのが難しくて、いつも悩んでしまう。馬券を買うにあたって、実際に適用できなければ意味がない。ということで、読んでいて疑問を感じる部分もあるけれど、それは彼のように長年競馬をやっていれば、ある程度わかることなのかもしれない。 -
語り口の上手さはあるけれども、競馬の話が大半を占めるのでコレといった何かがあるわけではなかった。
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エッセイ、興味なし
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1番なるほど、と思ったのは競馬の話よりも二足のわらじで小説家として成功したところ。競馬はやったことないのであれなんですが、機会あればやってみます。
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ちょっと古い本だけど、浅田流競馬予想、試してみようと思う。
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第一部の「私はこうして作家になった」は、二足のわらじを履いてきた著者が、何故そうなったのかやその日々について書いており、興味深く読んだ。
第二部の「私は競馬で飯を食ってきた」は、競馬をするための心構えや著者の馬券の買い方など、競馬好きには大変面白い内容なのではないかと思う。
競馬を知らなくとも楽しめると書かれていたが、若干ではあるが出てきた専門用語の意味が分からず、また専門的な話で競馬を知らない人には、猫に小判といったところかも知れない。
もっとも第二部が本書のメインであるだろうし、タイトルからして、その内容は想像に難くないことを考えると文句は言えない。
というわけで、競馬ファンにはオススメの内容であり、それ以外の人も競馬の本という認識のもと読むのであれば、面白いのではないかと思う。 -
浅田次郎さんにこんな一面もあったのか、という印象を持った一冊。ギャンブラーとしての生活や、考えていたことが書かれていて蒼穹の昴なんかとは全然違う、、いや、考え方としては通じる部分もあったかな、とにかく新しい一面だな~と思えた一冊でした。サクッと読める割に、「2足のわらじを履いても人間の力は半分にならず、しっかりやれば2倍にもなる」とか「そうかも」と思うことも書いてあっておもしろく読めました。