- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877287610
作品紹介・あらすじ
新宿に北の国から謎の男が現れる。獣のような野性的な肉体は、特別な訓練を積んだことを物語っていた。男は歌舞伎町で十年以上も前に潰れた暴力団のことを聞き回る。一体何を企んでいるというのか。不穏な気配を感じた新宿署の刑事・佐江は、その男をマークするのだが…。新宿にもう一人のヒーローを誕生させた会心のハードボイルド長編小説。
感想・レビュー・書評
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感想は下巻に。
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他の方の感想を読んで、この後もあるのね、と楽しみになった。 なんか懐かしい感じのする本だなあ。
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上巻の終わりにストーリーが動きました。
下巻が楽しみ。 -
▼「北の狩人」大沢在昌。初出1996中日スポーツ新聞連載。幻冬舎。
▼大沢在昌さんと言えば「新宿鮫シリーズ」(1990~現在)がいちばん有名。僕も全部楽しく読んでいます。数年に一度襲ってくる、「大沢さんの他のエンタメ小説も読んでみようシンドローム」の読書です。大沢さんは1956生だそうで、大まか言うと34歳くらいで「新宿鮫」で人気作家になって、40歳くらいで本作を書かれた、ということですね。
1996だから、一部は携帯電話が出始めているくらいでしょうか。まだネットで色々調べる、というのは一般化してないですね。
▼秋田県だったかな?そこから若い男性が新宿にやってきます。舞台は新宿が中心。強そうに見えないけど腕っぷしは強い。暴力団の世界に自分から関わって色々ものを尋ねていく。女の子と出会ったりする。何が目的なんだろう。その男性が気になって、関りになっていくヤクザさん、刑事、エトセトラ…。
(以降ネタバレ)
▼主人公男性は、実は警察官。大昔、やはり警官だった父が、新宿の恐らく暴力団絡みのことで殺された。殉職。息子(主人公)も地元秋田県で刑事になって、優秀で、母が亡くなったことがきっかけで、とうとう「父の死の真相と復讐」に乗り出した、という話です。
▼謎で引っ張るエンタメ性と、ちょっと強引でクサくてもキャラクターを立てて惹きつける描き方、そして多少のご都合の良さを辞さないテンポ感とアクション描写。それらは「新宿鮫シリーズ」と同じ技術だと思います。特に後半はやっぱりどんどん読んでしまう。
▼ただ、「鮫」シリーズは主人公が刑事なんで、「さて次のお仕事は」で進んでいけるし、主人公の日常=危険も伴う犯罪謎解き、という前提で作れるので物語の立ち上げに感傷性が不要なんですが、そのあたりがこういう単発ものはそうはいかない。なんで、基本的に若干感傷過多になりますね。そしてもちろん初出がスポーツ紙ですから、やっぱりそういう役割をきっちり果たしているってことかな、と。
▼あと、序盤かな?物語世界の中で、間接的な噂話でちょろっとだけ「新宿鮫」に触れるところが、ファンとしてはニヤッとしてしまいますね。 -
ベタなストーリーかもしれない。著者の手にかかると、新宿という街に色々な魂や色、勢い、様々なコントラストが入り混じって、人が主役なのか街が主役なのか、分からなくなりそう。
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いやぁ、めっちゃ面白かった。どんどん読み進めたくなって気がつけば終わっていた。このドキドキとスリリングな展開はワイルドソウル読んだ時に感じたものと似ている。カタギとシノギと警察の呑むか呑まれるかの攻防が新宿を舞台に繰り広げられる。一匹狼の警察佐江と暴力団の宮本の立場を超えた奇妙な友情、その二人が共にそれぞれの立場から主人公、梶雪人を守ろうと知恵を巡らせて頭を働かせるところが非常に面白い。終盤では新たに大きな組織の存在が明らかになりさらに面白みが増してくる!!
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面白い、、、、上下2冊なんでまだ終わらないけどもすでに相当引き込まれてます、
なんせ秋田県警の雪人の朴訥としたなんとも言えない純粋な青年が、新宿の闇へ迫る。可愛いしかっこいい雪人刑事に夢中です。笑笑
何があった!?12年前!?
と、少しづつ事件が明らかになるこのドキドキはミステリならでは!!!!
たまらん!!!!!!
主人公が可愛いともう止まらなくなるよなぁ。
そんな一冊でした。
2巻もそっこーで読み終えそうな一冊です!!!! -
2020#19
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久し振りに大沢さんを読んだ。「鮫」シリーズを読んだのが随分前で、新しいシリーズがあるのを知らなかった。最近雑用が増えて読書に使う時間が少なくなった。それでも手に本がないと淋しい、余り考えない面白くて読みやすい、どこでも読み始められるこの本にした。
やはり新宿が舞台になっている。今回も警察と新宿に根を張る暴力団との争いに絡んだ人たちの話。これは以前「鮫」の構図と同じ様に感じられる。
ただ今回は殉職した父親の死の原因を調べる息子(梶雪人)と、それに関わる刑事、後援者、暴力団組員が利害の枠内で命がけで争う。
秋田で発生した殺人事件で警官の父親は同僚と二人で犯人を護送するが新宿で殺害され、護送警官の一人、梶の父は死体で発見される。
だがもう一人の警官は行方が知れなかった。同じように殺害されたと言うことで解決していた。
この事件のキーワードが山草の「春蘭」と可愛らしい。どこにでもある花だが、たまに見つかる変種は好事家のあいだでは莫大な値で取引されていた。
新宿を拠点とする暴力団、田代組はこの事件に関わって組長が殺されて潰れ、構成員だった団員は、他の大きな組の傘下に入りそこでのし上がろうとしていた。
また秋田にいる梶の祖父はまたぎであった、だが山は痩せ猟ができる機会も減ってきていた。そこで息子を警官にしたが事件に巻き込まれて死亡し、その息子の梶は祖父に育てられ、やはり警官になった。
祖父から自然の節理や自然とともに生きていく智恵を授かり、またぎの暮らしの中で身体を鍛え、警官になったチャンスを生かして父親の真相を調べに上京するところから話が始まる。
新宿に来て父の事件を調べる梶が巡査だと言うことを知り、新宿書の刑事佐江が協力する。祖父の釣り仲間は財力が会って梶を保護する。
また、かって田代組の組員で組長の死に不信感を持っていた男も。関わってくる。
大まかな始まりはこういうところで、梶が暴力団の勢力争いに巻き込まれ、そばにいた一匹狼の冷徹な男に絡んだ贋札作り、中国マフィアと話が広がる。
ただ「春蘭」から始まった警官殺しから、息子が真相にたどり着くという一本のメインストーリーがあって、サブストーリーは単純なものになっている。
フロストを思わせる太めで生活観のない佐江という刑事が新しいシリーズの根回しをするようだ。
今回で解決した梶巡査は、新宿で知り合った少女を連れて秋田に帰り。
また新しい話では別の人物が話に加わってくると言う形になって、シリーズ化されている。
比べるのもおかしいかもしれないが、「鮫」を読んだ印象からすれば、主人公も作者の苦心の跡が見えるが、全体に読みやすく薄味。
次の「黒の狩人」は評価がいいらしいが、「鮫」を読み通した以前の読者はどのくらいいるだろう。「毒猿」をしのぐと言う意見だけは信じて、また機会があれば読んでみたい
『感想は下巻に。』笑!やられた!(^^)
『感想は下巻に。』笑!やられた!(^^)