- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882022534
作品紹介・あらすじ
戦後史で衝撃的な事件として記憶に新しいあさま山荘銃撃戦の当事者が、沈黙を破って20年ぶりに筆をとり、内側から当時の状況を克明に描く。著者は連合赤軍事件全体に係わっており、その詳細な証言は貴重な歴史的遺産となった。
感想・レビュー・書評
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著者はあさま山荘事件や山岳ベース事件を引き起こした連合赤軍の幹部。それらの事件の手記。
読んでみると著者は弱い人、残念な人なのかもしれません。収監前に女を知っておきたいだけで、気が合う訳でもない永田洋子氏と結婚し、仲間への暴力に反駁しつつも殆どアクション出来ないどころか、自分の気に入らない人間を暴力の対象に差し出すような行動すらしています。
手記でその自分の弱さに向き合ってはいるものの、先に進んでいる感じもしません。
しかし、だからこそ、連合赤軍の他の当事者の手記よりも、事件の本質をつかんでいるような気がします。 -
ノンフィクション
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(500)
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再読。
これだけだと一面的なので、植垣、永田の著書と同時に読むことをすすめる。やることは同じでも感じ方は違う。
読む側としたら、赤軍も革命左派も同じで、どうしてそこまでこだわるの?って言いたくなる。思想に共鳴したからって、一気に尊敬しちゃうのは左翼の人の特質だろうか。
「精神を共産主義化」について、どう思っていたのだろう。反省の弁に紛れてよくわからない。これを書いている時点で、森を恨んではいるらしいが。
連合赤軍きってのリア充、植垣の言う、「坂口さんはやることが裏目裏目に出ちゃう人」とかって評を思い浮かべると微妙な気持ちに。
あんなに女性がいたのに、なにも永田にしなくても……とも思う。不謹慎ではあるけれど、いわゆる「キャラ」というものが、この事件には大いにかかわる。 -
どうして総括という名前のリンチになるのだろうか。
共産主義化論とか、現代の日本では考えられないことだ。
手段がどうであれ、当時の若者には思想があったのだ。 -
あさま山荘事件と、この事件につながる山岳ベース事件をメインに記述。山岳ベース事件の異常さは到底理解できるものではないけれど、同志の死を正当化するために森恒夫の狂った論理で自分を納得させて更なる闇の中に突き進んでいった気持ちの揺れなどはよくわかった。執筆時にはとんでもないことをしたと痛恨に悔いているし、渦中でも心のどこかで「おかしい」「まずい」と感じるまっとうな感覚はあったのだ。しかし「ペテンにのっかって責任逃れをし」、「共犯者になりさがった」。
その凄惨さは読むに耐えない。あまりに辛くてやりきれなくて、時々目をつむる。大きなため息と涙ばかりが出る。