あさま山荘1972 下

著者 :
  • 彩流社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882022534

作品紹介・あらすじ

戦後史で衝撃的な事件として記憶に新しいあさま山荘銃撃戦の当事者が、沈黙を破って20年ぶりに筆をとり、内側から当時の状況を克明に描く。著者は連合赤軍事件全体に係わっており、その詳細な証言は貴重な歴史的遺産となった。

感想・レビュー・書評

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  •  なるほど、連合赤軍(共産主義者同盟赤軍派と京浜安保共闘革命左派の合流)による「浅間山荘事件」とはこういうことだったのか。
     赤軍派と革命左派が合流したことで、メンバー自らが「銃による殲滅戦」への道を選んでいく。そこには「思慮」「思考」はなく、「その場の雰囲気」で流れていくメンバーの様子が過程が生々しく語られている。
     そして、自分達の結束が揺らぐ不安や恐怖を払拭し、組織の権威を維持するために同志に行われる「総括」、「粛清」といっても過言ではない集団リンチにおけるメンバーの心理、そこにはやはり「思慮」「思考」はないのである。

  • 総括によるメンバー殺害。永田と森がベースを離れると逃亡者が出た。ベースの存在が警察が知っている。車で移動するが雪道にはまる。指名手配になっていない二名を車に残して先に進む。登山経験豊富梅垣に妙義山越えコースを説明。うひゃー、たいへんだ。梅垣のラッセルで腰までの雪道を進む。梅垣の靴底が剥がれる。暗い内に山越え。フェリコプターの追跡を逃れる。駅構内では自分達のヒゲと汚れた衣服が目立つ。売店のオバさんが気づいて通報

  • 著者はあさま山荘事件や山岳ベース事件を引き起こした連合赤軍の幹部。それらの事件の手記。
    読んでみると著者は弱い人、残念な人なのかもしれません。収監前に女を知っておきたいだけで、気が合う訳でもない永田洋子氏と結婚し、仲間への暴力に反駁しつつも殆どアクション出来ないどころか、自分の気に入らない人間を暴力の対象に差し出すような行動すらしています。

    手記でその自分の弱さに向き合ってはいるものの、先に進んでいる感じもしません。

    しかし、だからこそ、連合赤軍の他の当事者の手記よりも、事件の本質をつかんでいるような気がします。

  • どうやら原稿が届かなかったのか、
    思わぬ形での終わり方を迎えます。
    でも、ちゃんとその続きのフォローはされているので
    ご安心あれ。

    集団で物を運ぶ、
    その恐ろしさが嫌というほど感じられます。
    結局一人の言動を否定できないがために
    組織は暴走し、奪う必要のなかった
    仲間の命までも無残に奪うのです。

    そして、この本題の事件。
    どんなに頑張っても包囲された時点で
    負け試合だったし、
    密告があった時点で…
    でももう引けなかったのかもしれませんね。

  • ノンフィクション

  • 2018/11/1購入

  • (500)

  • 再読。
    これだけだと一面的なので、植垣、永田の著書と同時に読むことをすすめる。やることは同じでも感じ方は違う。
    読む側としたら、赤軍も革命左派も同じで、どうしてそこまでこだわるの?って言いたくなる。思想に共鳴したからって、一気に尊敬しちゃうのは左翼の人の特質だろうか。
    「精神を共産主義化」について、どう思っていたのだろう。反省の弁に紛れてよくわからない。これを書いている時点で、森を恨んではいるらしいが。


    連合赤軍きってのリア充、植垣の言う、「坂口さんはやることが裏目裏目に出ちゃう人」とかって評を思い浮かべると微妙な気持ちに。
    あんなに女性がいたのに、なにも永田にしなくても……とも思う。不謹慎ではあるけれど、いわゆる「キャラ」というものが、この事件には大いにかかわる。

  • どうして総括という名前のリンチになるのだろうか。
    共産主義化論とか、現代の日本では考えられないことだ。
    手段がどうであれ、当時の若者には思想があったのだ。

  • あさま山荘事件と、この事件につながる山岳ベース事件をメインに記述。山岳ベース事件の異常さは到底理解できるものではないけれど、同志の死を正当化するために森恒夫の狂った論理で自分を納得させて更なる闇の中に突き進んでいった気持ちの揺れなどはよくわかった。執筆時にはとんでもないことをしたと痛恨に悔いているし、渦中でも心のどこかで「おかしい」「まずい」と感じるまっとうな感覚はあったのだ。しかし「ペテンにのっかって責任逃れをし」、「共犯者になりさがった」。
    その凄惨さは読むに耐えない。あまりに辛くてやりきれなくて、時々目をつむる。大きなため息と涙ばかりが出る。

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著者プロフィール

1946年11月12日千葉県生まれ。1962年4月木更津高校入学。1965年4月東京水産大学(現・東京海洋大学)入学、のち中退。1972年2月28日、あさま山荘事件で逮捕。1993年2月19日最高裁で死刑判決。1990年代に、獄中で西行『山家集』を読んだことをきっかけに歌作を始め、青木郁男に師事する。朝日新聞の「朝日歌壇」に投稿、島田修二、佐佐木幸綱選歌欄に掲載され、その後佐佐木幸綱に師事。1993年に歌集『坂口弘歌稿』、2007年に『常しへの道』を刊行。

「2015年 『歌集 暗黒世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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