- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882930624
感想・レビュー・書評
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何年か前に、「泥棒ナイト」というイベントで渋谷の青い部屋に行った事があります。
そこのライブハウスの不思議な空間に魅せられ、オーナーの戸川昌子さんに興味を持ちました。
シャンソン歌手にして小説家、多彩な才能の持ち主。
しかし、彼女の小説は発売されたのが古いから、なかなか見つける事が出来ず、図書館でやっと見つけて借りてみました。
時代背景がレトロだけど、退廃的な雰囲気などが魅力的で、ライブハウスの事を思い出しつつ、興味深く読めました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前述の小泉喜美子エッセイにも登場した「戸川のあねご」こと戸川昌子が描く世界はなるほど、独特の淫靡さ。イマドキな作家が書かない種類の毒々しさといやらしさがたっぷり。闇に見入られ虫けらのように崩れていく男女の背徳。ただし、「何故そうしたのか」に性的な猟奇性があることが当時としては斬新だったんだろうなあ、と思いつつも、発表から40年が過ぎた(!!)今読んだらミステリとしては割と普通に思えてしまうこの不思議。単純に犯人を思いついて理由もなんとなく感づいてしまった・・・。<br><br>
けれどそんなことは問題ないのだ!これは発表当初の時代性のリファランスとしてこそ最高なのだ!という間違った読み方で楽しみました。主人公の本田一郎からして「一流メーカーに勤める技師」なんだよ!エンジニアじゃなくて技師!プレイボーイの彼がガール・ハンティングをするときには外国人をミステリアスに演じる(海外が素直な憧れの対象になりえた時代)!殺される女の職業はキー・パンチャー!売血が事件の重要なポイントになってるし!これが60年代日本の「都会」だったのだろうと思うとニヤニヤなのです。そして今書かれてる「現代的」なミステリ小説も40年後は同じ楽しまれ方をするのだろうと思うと・・・それはそれでまた楽しい。
<br><Div Align="right">(04.12.15 読了)</Div>