SWITCH Vol.38 No.1 特集 佐内正史 無限の写真家

著者 : 佐内正史 満島ひかり 伊賀大介 池松壮亮 忌野清志郎

• スイッチパブリッシング (2019年12月20日発売)

感想・レビュー・書評

[kurodamaさんの感想 · 2020年6月1日]

左内正文、無限の写真家。
満島ひかりを撮った左内氏の写真と、回文を合わせてみる。
堂々めぐりからの脱却、悶々とした内回りを、外回りに変えてみる。そんな試行錯誤を感じる写真たち。ちょっと重いかなとは思うけど、精神状態をうつすという意味では非常に純粋なフォトと言えるかもと思った。陰に気を取られ、被写体よりも被写体以外のところに重きをおいた手法は、左内氏らしいということだろうか。あまり馴染みがなかったので、非常に興味深く見ることになった。感じる写真って本当に難しい。伝えたいことを、フォトから炙り出すというか、浮かび上がらせて視線の中に放り込む行為だから、決して対象の美だけではなく、対象以外の部分のアーキテクチャに自分らしさを載せるかという点が大事になる。が、それがまた難しい。
白い平皿がいい。シンプルに、多くなく、お皿との調和を感じとる。料理とお皿、これがまたアートであったりするわけだ。

著者プロフィール

1968年静岡県生まれ。95年、第12回キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。97年に写真集『生きている』（青幻舎）でデビュー。02年『MAP』で第28回木村伊兵衛写真賞受賞。多数の写真集の刊行のほか、CM撮影、映画『ジョゼと虎と魚たち』への作品提供など幅広く活躍、近年は自主レーベル「対照」より精力的な出版活動を展開している。2012年9月末発売のCD＋BOOK『川本真琴and幽霊』ではミュージシャン川本真琴との共作として作詞、作曲、演奏、歌を提供した。
公式サイト　http://www.sanaimasafumi.jp/

「2012年 『人に聞いた　佐内正史詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」