三人の科学者と神: 情報時代に生の意味を問う

  • どうぶつ社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784886222589

作品紹介・あらすじ

洞察力にみちた彼らのゆるぎない思想と信念は、どのような知的遍歴をへて確立されるに至ったか?宇宙とは?生命とは?進化とは?科学とは?宗教とは?情報とは?生の意味とは?科学の最前線は、それらにどのような解答を与えようとしているのか?そして彼らは、自らの内部でそれをどのようにとらえているのか?これは、現代に生きる我々を啓発し、生きるべき方向を示唆し鼓舞するたのしい知的冒険の物語-。

感想・レビュー・書評

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  • こういう作品読み終えて
    わたしは「すげえなあ」と感動していたのですね

  • 三人の科学者と神 ロバート・ライト どうぶつ社

    神という根本の所ですれ違いながらも
    これほど私を理解してくれている本を私は知らない
    例えば33ページの最後にある
    この世が神の見ている夢の中の一コマかもしれない
    という発想は私が小学校5年の時の作文を
    コピーしたかのように同じだし
    《エドワード・フレドキン》の言う言葉は
    私の言う《集合意識》と同じような発想かもしれない

    アルゴリズムで平和と調和のユートピアを導こうとし
    次いでデジタルフィジックス理論へと埋没していく

    ハードウエアーはソフトウエアーの範囲を超えている
    情報が何で出来ているかとか処理されるかという問いは
    神のみぞ知る無意味で我々の手が届くところのものでないと答える

    熱力学の第2法則から見ればエントロピーが増えるにつけ
    利用可能な構造を持ったエネルギー量が減る
    ランダムネス・無秩序・混沌・大衆にまぎれ込んだ個性は
    拾い出しようがない
    第二法則が年貢を取り尽くせば宇宙の姿形は消え失せる
    熱力学のエントロピーと情報のノイズが同じモノだと理解された

    次に登場するのは《エドワード・ウィルソン》
    社会生物学を打ちたて沢山の造語によって新しい環境を示した学者
    蟻の行動を観察し研究してその情報が
    化学的なフェロモンによることをつきとめ利他的な郡選択

    進化生物学を人文や社会科学が歪めて利用することを嫌う
    倫理的直観が遺伝子によって形成されると言い
    道徳や倫理が神から与えられた物で至高の知性だという考えを皮肉り
    分離的であり分裂的に対立する考え方を
    我が身を守るために我が身を敵にしている無機的姿勢を嫌う
    現在の学問の頂点は社会科学である
    その下に生物学があり化学・物理と続く
    各レベルの法則は下の法則から得られる
    こうした見方を還元主義という
    底辺での還元主義は難しくないが
    知識のピラミッドの上の方では議論を呼び
    腎臓の行動は分子の知識から予言できるのだろうか
    あるいは犬の行動の関する法則は有機化学から推論できるのか
    こうした還元論は神とのはざまにおける決定論に至り
    哲学的に重大である
    予言できないことを決定論者に言わせればデータの不備を上げるだろう
    そしてウイルソンは《一種の統一の存在を信じる》という

    アリの利他的な社会構造に美的快感を感じていただろうホイーラーは
    社会主義者だった
    共産主義的社会は利己的であり事を前提としている
    労働に比例する報酬を要求し損得で人生を計るが
    蟻社会に利己心は薄いか無い
    個性の見えない愚かさが集まることで社会的知性が生まれるのか
    ハードシステムによるコミュニケーションで調和的仕掛けが
    完璧な個としての統一的共同社会を造っている事がわかったが
    その究極的原因は何なのか?何を求めているのか?
    自己犠牲や利他的行動と理解することが
    人間社会を操ろうとする者にとって非情に都合の良い情報であった
    そのため大いに取り立てて利用することになる
    自然選択が真に適者生存を意味するなら
    個体を犠牲にするこの行動が何故選ばれるのか?
    どの時点の《郡の選択》を優先するのかの答がみつからない
    群も血縁選択も利己的繁栄の延長線上のものでしかない
    利己的な遺伝子が知性無しに不可能な共生行動に参入できるのか?
    他にも無私により身を持って危険を知らせたり
    食物を分け合い毛づくろいをし合う共性行動がある
    生物学者は支配層が喜ぶ《生存競争》で頭を一杯にしてはいけない
    むしろ生物は多様であり続けるためにお互いに対等な関係を創り
    《利己的利他主義》を身に付けていることを知らなければならない

    遺伝子の登場によって自然淘汰説が再浮上する


    そして最後が《ケネス・ボウルディング》



    以上の三人と著者は西洋学問にあるまじき姿勢で
    細分化の情報に飽きたらず統合された全体観による
    広い視野による研究を特徴としている

    ダーウィニズムに対しても競争原理にとらわれることなく
    全体に流れる調和を視野に入れたスタンスで臨んでいる
    学会の権威筋からは執拗に無視され邪魔立てされ
    寄ってたかってイジメられているようだが
    そこにこそ権力の嘘と秘密から開放されるだろう
    和を持って未来に羽ばたく新鮮な魅力がある

    次はウイルソンの《遺伝子・心・文化》を読みたいと思う

  • E.O.ウィルソンがとりあげられている。これから読みます。

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