作品紹介・あらすじ
最晩年のフロイトが心の根柢に見出した「生命と歴史」の巨大な謎。それは、自らが構築した精神分析理論の土台をさえ揺るがしかねないものだった。苦闘するフロイトの真意とは何か。
感想・レビュー・書評
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【要約】
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【ノート】
・成毛10冊
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思考をもとに人間モーセの正体、モーセにまつわる聖書伝承の成立過程に迫り、好奇心を刺激する。
最古の一神教であるアートン教に情熱を燃やしたエジプト王イクナートン。その重臣であったモーセは、イクナートンの死とともに拠り所を失い、領民を連れエジプトを脱出。
なんやかんやでこの初代モーセはユダヤ人たちの手で「抹殺」されてしまうのだが、その思想は後継者たちに受け継がれ、二代目モーセの人物像と一体化してゆく。
個人としての人間モーセは死に、そのビジョンは「ユダヤ教」として残り続けてていくことになるのだ。
指導者モーセへの追憶が、ユダヤの神に投影されているという説もまた興味深い。
(引用)
"ユダヤ人は彼らの神の初期のころの観念の中に熱狂的とか峻厳なとか仮借なきとか言われる多くの性格特徴を取り入れているが、これらは元来モーセ追憶から生じてきたという可能性も否定できない。
なぜなら、実際のところ、目に見えない神でなく、モーセという男が彼らをエジプトから連れ出したのだから"
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今まで勉強してきた宗教の知識の根底が揺るがされるような仮説に好奇心が燃え上がった。
一神教の起源がアフリカの一人の王様によるところから出発していたとはねぇ…。
著者プロフィール
1856年生まれ、オーストリアの心理学者、精神科医。神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究を行った。精神分析学の創始者として知られる。心理性的発達理論、リビドー論、幼児性欲を提唱し、人間の心の『無意識』という世界を発見したことによって、マルクス、ダーウィンとならんで20世紀の思想に大きな影響を与えた人物の一人ともされる。1939年没。主な著書は『ヒステリー研究』『夢判断』『日常の精神病理学』『精神分析入門』『自我とエス』『性欲論三論』など。
「2024年 『フロイト著作集第7巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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