- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784891726720
感想・レビュー・書評
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稲葉明雄氏が訳したものを集めた。
「私が死んだ夜」
読み始めてすぐあれ? 短編集「見えない死」にあった「私の死」と同じものか、と思ったがどうも進展具合が違う。まさか訳者の違いで?と思い解説を読むと、「私の死」は同一の設定で前年に発表されたものだ、とあった。原題も「The Night I Dead」、「The Death of Me」。どちらも私にかかった保険金を得たい、という設定だが、「私が死んだ夜」は私の妻がワルで犯罪を思いつくのも妻。「私の死」は思いつくのは私で、自分が死んで妻に金を残したい、というもの。どちらも逆転のオチで終わる。解説氏は「私が死んだ夜」の方がいい、とあったが、私は「私の死」の方がどんどん落ちてゆく主人公と最後のオチがどーんときてどきどき具合が「私の死」の方が勝っていると感じた。ただ「私が死んだ夜」の妻のワルぶりはすごい。
「セントルイスブルース」
悪に走った息子。憂う母。息子のくちずさむ歌が悲しく響く。
「さらば、ニューヨーク」
金に窮した若い二人。夫は上司を殺し金を奪った。二人で逃げるニューヨーク市中。
「天使の顔」
ワルの弟の無実を信じた歌手の姉。協力的な刑事が実は逆転捕獲を狙っているのか?と思いもしたが、ここではめずらしく「天使の顔」となずけられた姉がまっすぐに描かれている。
「ぎろちん」
ぎろちん執行日になった男。執行人が来ないと中止になるというのを聞いた恋人は執行人殺害を企てる。これも最後がおおーという終い方。ウールリッチは悪者は裁かれる筋だなあ。
「眼」「絶望図書館」に「瞳の奥の殺人」として入っていた。
「非常階段」
アパートの上の階に住む男女の犯罪を見てしまった階下にすむ男児。いくら話しても親は信じてくれない。警察に言っても信じてくれない。男女は気配を察し男児を追い詰める。さあ、男児は逃げ切れるのか。はらはらどきどき。1949年に「窓」として映画化。男児役ボビー・ドリスコル
「私が死んだ夜」 The Night I Dead (ディテクディブ・フィクション・ウィークリー1936.8.8日号)
「セントルイス・ブルース」 The Humming Bird Comes Home(ポケット・ディテクティヴ1937.3月号)
「さらば、ニューヨーク」Goodbye New York(ストーリー1937.10月号)
「天使の顔」Face Work(ブラック・マスク1937.10月号)
「ぎろちん」Men Must Die(ブラック・マスク1939.8月号)
「眼」Eyes That Watch You(ダイム・ディテクティヴ1939.9月号)
「非常階段」The Boy Cried Murder(ミステリ・ブック・マガジン1947.3月号)
2003.7.31第1刷 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
せっぱ詰まった状況での、スリリングな話が多い。面白かったのは「ぎろちん」「眼」「非常階段。
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中1のときに図書室で借りて読んだものです。
少年が殺人現場を目撃するサスペンスです。 -
表題作は子供の頃に図書館で借りた「あかね書房・少年少女世界推理文学全集・No.16『非常階段・シンデレラとギャング』」を読んで以来ずっとまた読みたいと思っていたもの。あれから何年も経ってまた読むことができてすごくうれしい。あの頃ドキドキしながら読んでいた気持ちのままにまた読めたこともすごくうれしい。