文体練習 (レーモン・クノー・コレクション 7)

  • 水声社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891768676

感想・レビュー・書評

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  • 文体によって小説の伝わり方や印象が違ってみえる。
    混んだバスに乗っていると、奇妙な帽子をかぶった男が、悪態をつきつつ空いた席に座った。その2時間後に広場で、その男をまた見かけた。その男は連れの男といて、服装について話していた。
    っていう内容を、100ほどのテーマ・文体で書きわけている。

    原文がフランス語で、和訳は難しいだろうなぁと思われる部分もあった。
    語感や視覚的な面白さもあり、絵本的な楽しみというか、テンポよく読める。

    文体がある程度、小説を規定する。ってのを感じた。
    坊ちゃんが丁寧語で書かれていたら、小説のもつ勢いは半減するだろうし、逆に、こころがで江戸っ子風に書かれたら、ずいぶんコミカルで軽い印象を受けるだろう。
    文体とテーマがかみ合ってないと説得力やリアリティが生まれてこない。
    心に響く偉人の名言は、誰が何を言っているのかが重要であって、名も知れぬ人が同じ言葉を使っても届いてはこない。
    だから小説家っていうのは、自分のもつ文体を磨いて鍛える必要があるのだろうな。

  • 声に出して読むとまた面白い。童心に帰ったようになる。フランス語から日本語に訳す際の苦労は、本編に対する解説のページ数の割合が物語っている。フランスでは教科書教材にもなっているそうだが、日本でも例えば文豪の文章を書き換える、という国語の授業中があったら、文法の時間も楽しめるのではないか。

  • ・99の文からなる短文集

    ・99の文はそれぞれ異なるレトリックが用いられている

    ・創作で様々な文を書く時の参考になりそう

  • ある一つの文章を、99通りの表現で言い換える本。めちゃくちゃ馬鹿馬鹿しいけれど、なるほど、と思うところもある。ただ、99通りを全て読みたいと思わせる本ではない。

  • 文体の違いでここまで面白さを出せることに感激!原文で読めたらもっといいんだろうな、リズムとか文字にいろんなギミックがあるんだろうな、よっしゃ勉強しよう。と思わせるくらい面白かった。

  • 面白いが一気に読むと飽きる。

  • しげ。

  • 解説を読んではっとした
    けして同じことを言っているわけではない
    いろんな仕掛けが組み込まれていて面白い本だった

  • ≪県立図書館≫

    言葉で遊んでいる、非常に珍しいタイプの本だ、と感じた。
    それぞれの文体のもつおもしろみを感じられ、楽しかった。
    自分の苦手な文体、楽しめる文体、というのを、実感できた。
    「文章」としては、成立していないものもあって、
    通常の読み物として接するのには、不適切だと思う。

    半分くらい読んだあたりで、飽きてきた。
    なんせ、中身が一緒だから。
    内容に、多少のブレがあって、それがなんとなく気になったけれど
    そのブレが、作品の幅と奥行きと多面性を作り出している、ようだ。

    しかし、ひとつの事象を、こうも様々に表現できるなんて
    面白いなぁ、すごいなぁ。
    でも、実際、万物がこういう多面性をかかえているんだ。
    一面が全てなんじゃあないんだなぁ。
    なんて、思った。

    遊び心でいろいろやってるなぁ、と、気楽にパラパラするのが楽しい本だと思った。

  • ひとつのエピソード、99の変奏曲。

    同じ主題から作っても、変奏ってイメージがどんどん変わる。フランス語の原文も読んでみたい。よく日本語に訳したな、とも思う。本のデザインも好き。

    お気に入りはこんな感じ。

    「19アニミズム」なんか、「ソフトくん」っていうことばがかわいい。
    「41仰々しく」これはウザイwwwってなる。
    「45ひとりごと」なんで関西弁なんだろう……。
    「66短歌」ぼたん違い、てゆうか、掛詞?
    「84 Iggy lease jean no term may knee(イギリス人のために)」声に出して読みたい。なんとも楽しい。
    「99意外性」まさかのテオドールである。

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著者プロフィール

一九〇三年ル・アーヴル生まれ。パリ大学で哲学を学び、シュルレアリスム運動に参加。離脱後、三三年に「ヌーヴォ・ロマン」の先駆的作品となる処女作『はまむぎ』を刊行。五九年に『地下鉄のザジ』がベストセラーとなり、翌年、映画化され世界的に注目を集める。その後も六〇年に発足した潜在的文学工房「ウリポ」に参加するなど新たな文学表現の探究を続けた。その他の小説に『きびしい冬』『わが友ピエロ』『文体練習』『聖グラングラン祭』など、詩集に『百兆の詩篇』などがある。一九七六年没。

「2021年 『地下鉄のザジ 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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