棕櫚の葉を風にそよがせよ (野呂邦暢小説集成1)

著者 :
制作 : 青来有一 
  • 文遊社
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本棚登録 : 29
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892570919

作品紹介・あらすじ

故郷への回帰、日々のうつろい、戦火の記憶と幻影…"内なるアメリカ"を描いた第一作「壁の絵」をはじめ、野呂文学の原点である瑞々しい初期作品を集成。

感想・レビュー・書評

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  • 「若い砂漠」を読んで、著者の他の作品も読もうと思い手にした一冊。装丁に惹かれて取り敢えず取り掛かった物の、中の文字列(と云うのかな)が妙な行間で読み難かった…これはデザインした人の罪では。

    作品はどれも安定して素晴らしい物でした。
    デッサン、と云う言葉で評される事の多い(らしい)野呂さん特有の、静かで広く、細かな観察眼に「身を任せる」気持ちでページを繰ってしまいます。
    「或る男の故郷」「狙撃手」「白桃」「世界の終り」「ハンター」辺りがお気に入りです。

  • 2015.4.25 pm23:40 読了。
    『白桃』は現代文の問題集で出題された記憶があった。読んで思い出した。難しかった気がする。
    言葉にできないというよりしたくない。話したくない。自分のなかに大切にとっておきたい。大学生のこの時期に、この本を読めたことに本当に感謝。今だからこそ読めたし、のめりこめたのだろう。きっと一生抱えて生きていくだろう。ここまで思えた本は久しぶりだった。読み始めた当初は、随筆の方が良いと思ったが、読み進めるうちに慣れたのか、そうは思わなくなった。なんでもないものを鮮やかに再生させて描いているように思う。なぜ鮮やかに鋭くありありとすぐさま情景が思い浮かぶのだろう。デッサンのように、事物を再現している。太陽の光が忘れられない。わたしも知る風景のはずなのに、その違いに感嘆する。うまく言えない。語彙の乏しさを痛感する。このひとの作品は、どうにか全部読破したい。

  • このところミステリ三昧だったが、野呂邦暢の作品が新刊で発売中と聞いたら手に取らずにはいられなかった。どんなペースでリリースされるのかわからないが、予定通り第八巻まで無事刊行されることを祈る。全部買う。

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著者プロフィール

野呂邦暢(のろ・くにのぶ)
1937年長崎市生まれ。戦時中に諌早市に疎開、長崎被爆のため戦後も同市に住む。長崎県立諫早高校卒業後上京するもほどなく帰郷、1957年陸上自衛隊に入隊。翌年除隊し、諌早に戻り家庭教師をしながら文学をこころざす。1965年「ある男の故郷」が第21回文學界新人賞佳作入選。1974年自衛隊体験をベースにした「草のつるぎ」で第70回芥川賞受賞。1976年、初めての歴史小説「諌早菖蒲日記」発表。1980年に急逝する。著書に『愛についてのデッサン』(ちくま文庫)、『野呂邦暢ミステリ集成』(中公文庫)、『野呂邦暢小説集成』(文遊社)、などがある。

「2021年 『野呂邦暢 古本屋写真集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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