- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784893362209
感想・レビュー・書評
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昭和14年生まれ、早稲女で大の猫好き、生涯独身、1963年自費出版の詩集「青い部屋」で詩人デビュー、1981年「小さな貴婦人」で芥川賞の吉行理恵さん、2006年5月4日甲状腺癌で亡くなりました。(享年66)この作品「吉行理恵レクイエム 青い部屋」は、お母さんの吉行あぐりさんの編集で2007.5に発行されました。理恵さんの詩集、小説、エッセイのほかに、母の、兄の、姉の、往時の思いが寄せられています。
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詩のことはよくわからないけど、猫の婦人についての小品はおもしろかった。机の上から一歩も外にでかけていないような、気持ちだけがするするとつながっていって
書かれた近年なかなか読めないような詩的な作品。どこまでこれが続けられるのかわからないけれど。他のも読んでみたいとおもいました。
最後にあぐりさんが理恵さんの思い出を書かれているところのつたなさ・正直さが寂しさと思い出にあふれていてつらい。 -
脆く、清らかな魂の存在が本著には詰まっている。冒頭の母のひたすらに逆順の娘に詫びる文章は、胸痛くせずには読むことが出来ない。
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吉行家の末娘・理恵さんの作品をお母様のあぐりさんがまとめた作品集です。吉行家の人々といえば、ドラマで有名なお母様のあぐりさん(と夫君のエイスケさん)、長男で作家の淳之介さん、長女で女優の和子さん、そしてこの理恵さんなのですが、末娘の理恵さんには「詩人・作家」という肩書きがあるにしろ、もうひとつはっきりとしたイメージがわきにくいので、どういう方かに興味があって読んでみました。 20代の頃の自費出版の詩集「青い部屋」からの抜粋、芥川賞受賞作「小さな貴婦人」、最後の作品となった「靖国通り」などがまとめられています。理恵さんの選んだ題材は決して華やかではない(自身と飼い猫といった身の回りの素材)し、しかも寡作のために、いつまでも読み継がれる作品となるのは難しいのかな…と思いますが、やや陰鬱さを帯びながらも清潔で端正な文章が非常に印象的でした。 また、理恵さんの作品だけではなく、巻頭にはあぐりさんの文章、「青い部屋」には淳之介さんの附記、巻末には和子さんの文章が寄せられています。それにしても、吉行家の人々の書く文章はやはりどこか似ているのです。 ひっそりと逝ってしまわれた(ように感じる)理恵さんの作品をじっくり味わえたのと、吉行家の人々がどういう風に理恵さんをとらえていらっしゃったのかがよく分かる本でした。 (2008/1/12にAmazonにアップしたレビューをこちらにお引越しさせ、一部書き直しました)