- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894192126
感想・レビュー・書評
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ちょっと大人びた少年・ユーリが、不思議なうさぎと過ごした時間を語ります。
物語の始めから、別れの気配がひたひたとおしよせます。
いつそのときがくるのか、できるならそのときがこなければいいと、ひりひりした思いと共に読み進めました。
寮美千子さんの本を初めて読みましたが、とても澄んだ文章だと感じました。
冬の夜の空気のような。
物語を読み終え、最後のページにひっそりと添えられた文章を読んだとき、思わず涙が流れました。
献辞というかたい言葉が似合わない、とても美しい2行の文章。
この物語のラストシーンにこめられた祈りが、より一層かがやきを増しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やさしくて、輝いていて、
忘れていたことも
これからのじんせいも
こころから愛したくなるきれいな作品でした。 -
あつあつのドーナツとコーヒー、シナモンシュガー。夜の中に浮かぶ暖かなドーナツスタンドの灯り。「うさぎ」と「僕」のやわらかく切ない物語。いつ読んでも、心に少しの淋しさを感じる。
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この一冊に
心をたゆたせることができた人は
久しぶりに
書棚の宮澤賢治さんの一冊に
手が伸びることでしょう
いい時間
いい気持ちを
持つことが出来ます -
僕は僕で、何処へでも行きたいところに行ける。そんな君が羨ましかった。流星に見えたのは私の涙だったけれど、今願えば叶うような気がしていたのです。兎とユーリ、そこはふたりだけの宇宙。キラキラの王冠。君は王子さまか妖精か。僕は僕だよ、もっと遊ぼう。ドーナツ、綿菓子、シナモンの香り...なんだか魔法にかけられたみたいだよ。夜の静寂に月影。ヴァイオリンの音色が波音に変わったら、もうさよならだよ。満月の夜、君はVenusになって現れるのかな。今度出逢えたら ありがとう を言うよ。
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小学生の頃、参考書か何かにおすすめの本として載っていた。どうしても気になり親にねだって探し回った記憶があります。
切なくて優しくて、さらさらとした質感の空気が流れているように感じます。
買ってから十余年。覚えるほど読んだけれど、何度読んでも優しい寂寥感に包まれる宝物の様な本です。 -
再読
以前に図書館で借りたことがあったが無性に読みたくなったので購入。
今は喪ってしまった懐かしいようなせつない気持ち。かなしくて泣き出したくなるような暖かく大切なものを思い出したような。
詩的で哲学的で氷のように青く透き通ったお話でした。
何度も読み返すだろう枕元に置いておきたい一冊。
どこまでも透きとおっていて、月よりも、太陽よりも、星よりも、もっと遠くが見える空。永遠が見えてしまいそうな、青
「さようなら」と「ありがとう」 -
優しくて暖かな、けどほんのり切ない雰囲気が好きです。
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あつあつのドーナツとアメリカンコーヒー、シナモンシュガー、クラブ・ソーダの王冠、ヴァイオリン、渚に打ち寄せる波の音、少年と、兎。散りばめられた美しいモチーフが2人の思い出として心に残ります。
挿絵も入っていて童話のように読みやすい、リリカルな幻想小説です。山あり谷ありでどんどん物語が進んでいくという訳ではなく、詩的で不思議な空気感のある物語にずっと切なさが漂っていました。何度も繰り返されるユーリのモノローグに不安が煽られます。
ちょっと不思議で、切なくて、でも暖かい気持ちになる、さよならとありがとうのお話しでした。
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切ない物語。
物語とタイトルが、分かちがたく結びついている物語。