2011年長谷川慶太郎の大局を読む(CD付)

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894519251

感想・レビュー・書評

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  • 毎年年末に発行されるシリーズ。2010年末に発行されて、2011年の大局を考えているが、この頃は原発が今後の日本の力になると考えられていたことをみると、数ヶ月後先を見ることの難しさを感じぜずにはいられない。

    ただし、日本の経済、米国、中国、ヨーロッパ、新興国、民主党(菅政権)などをみると、2010年末の状況と当たったことと、外れたことがわかり感慨深い。できれば、毎年末に読んでみたいものだ。

  • 毎年の年末に長谷川慶太郎氏が来年の経済見通しについて本を書いていて、それを読むのを年中行事としています。日本の製造業は強いと主張してきた長谷川氏の論評が、ここ数年、「空洞化」等の懸念を示すようになってきて注目をしています。

    2010年の日本経済は2009年が最悪だっただけに昨年比でプラスとなっていますが、この勢いで成長できるのでしょうか、欧州や米国、中国もそれぞれ懸念材料を抱えているので、今後の経済動向を考える上で、この本はためになる情報が掲載されていたと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・ドル安で円が上がっているのではなく、中国による日本国債購入により円高になっている、中国はドルを売って円を手に入れて国債を購入する(p19)

    ・米国の農産物(小麦、大麦、トウモロコシ、大豆)の2010年の生産状況は、かつてない大豊作である(p23)

    ・米国の2009年の貿易赤字は3700億ドルだが、航空機は650億ドルの黒字(p24)

    ・シャープの亀山工場を購入したのが、中国のメーカ、薄型テレビの基本部品である液晶の供給力がアップした(p25)

    ・会社が1000億円を銀行から借りたら、いつ返済を迫られるか不安になるが、社債に切り替えれば金利は一定、満期までは返済不要であり社債発行が有利である(p31)

    ・川崎重工は海上自衛隊との共同開発でXC2という新型輸送機を開発して輸出まで可能にしたが、株価は下がった、それは銀行筋が売ったから(p32)

    ・日本の製造業が強いのは、1)技術開発力、2)機械工業、という2つの財産があるから(p40)

    ・日本の農業では生産の7割を受け持っているのは耕地面積10ヘクタール以上の大農家であり米国型であり、これらの農家は生き残れる(p42)

    ・電気自動車の運行コストはとても安い、ハイブリッド比較でキロ当たりコストは10倍も安い(p46)電気自動車の開発現場では、レアメタルを用いない部品へのリプレース、レアメタルを不要にする技術がどんどん行われている(p48)

    ・デレ触れ時代の需要減退をカバーするには、鉄道を含めたインフラ整備をするのが有効、インフラ関連を受注する日本企業は強い(p55)

    ・米国の電力供給の半分は石炭火力で殆の発電所が、完成してから30年以上経過した旧式ボイラータイプ、無公害ボイラーが製造できるのは三菱重工のみ(p75)

    ・常温超伝導で成果をあげつつあるのは、日本では「日本ガイシ」(p80)
    ・代金の支払が早く、回収が遅いのでそのギャップが貿易赤字となる、これにより国の信用を高め基軸通貨となったのが英国ポンド、今はドルが同じ立場(p95)

    ・米国内に埋蔵されちえる数十兆トンの「シェールガス」の開発が進みつつあり、米国の天然ガス不足が解消された、それによりアフリカでのLNG工場建設計画が頓挫(p105)

    ・最大で15万人いたイラク駐留米軍は、2010年8月には5万人、2011年中には完全撤退(p119)

    ・2009年中国のエネルギー消費量は、米国をぬいて100年ブリに首位となったが、GDPは米国の3分の1以下、エネルギー効率が非常に悪いことを示す(p130)

    ・中国で賃上げストが起きてる理由は、1)内陸の公共事業に人手が必要、2)急速な少子化、14歳以下の占める割合は1982年の33%から、2009年には18%(p141)

    ・中国では中央政府は弱い、日本でいう国税庁はなく、地方の行政機関がそこの税務署で集めた税金の一部を中央政府に上納する制度(p152)

    ・ドイツはユーロ導入により、マルク高に悩む必要がなくなり輸出が60%増加、ドイツ以外の15カ国市場が国内市場となった、GDPに占める輸出割合は40%、日本は16%(p169)

    ・ブラジルは相次ぐ油田発見により、産油国になった、トゥピ油田(80億バレル)、ララ油田(40億バレル)である、2007年11月には南西石油を買収(p185)

    ・ロシアは2010年の夏の干ばつにより、穀物作付面積の25%が壊滅した(p188)

    ・予算案は衆議院で通すことができるが、予算関連法案は参議院で可決されないと成立しない(p241)

    2010/12/29作成

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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