非効率主義宣言―暴走する効率主義への警告

  • 萌文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894910409

感想・レビュー・書評

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  • 効率は一見無駄なことから引き出される
    効率主義は結果のみにフォーカスしてしまうことを
    計算に入れて計画しなければならない
    部分的な高効率はそれが参加する大きな流に渦をつくってしまい
    流全体から見たとき意に反して非効率を生み出す

    ハーモニーしている全体をイメージすると
    部分部分の歪みが大切な要素となっていることに気付く
    ジグソーパズルの一片は凸凹で個性的だけれど
    全体がまとまると一つのトータルされた姿を浮かび出させる

    それぞれが耳をふさいで自分のパートにしがみつくと
    オーケストラがバラバラに固まり騒音のコダマになってしまう

    皆が互いを広く見渡せれば歪んでみえる部分もその集合からなる全体も
    そのゆとりも遊びも緊張も何一つ無駄のない流の一部でアドリブしだす
    無駄が無駄にならない無限性のつらなりが生まれ
    豊かさで抱擁する効率が満たしている空間は
    個々の部分にとってもその集いから見ても気持ちよく踊り
    過不足なく必要十分に動いている場となる

    変化していること自体が無駄のようでいながら有効な働きをする
    転ぶことで何かを発見し進むべき未踏の方向を知る
    そのプロセスの中で転んだことだけに見入ってしまうと
    マイナス-イメージとなって逃げだそうと考え出す
    その結果としてプロセス無視の数値だけに頼り
    依存社会を目指してしまう

    そのイメージが環境を含む自らを永遠の死へ導き落とし入れる
    為政者を演じる者も尾を振って従おうとする者も
    お互いに利益の誘惑で自分をだます結果にハマってしまう

    この本の表紙にある言葉が言うには
    ・・子育て・教育・医療・福祉などは元来非効率であってこそ力となる。
    手作り、試行錯誤の繰り返し、それを持てるゆとりが何よりも大切である。
    いずれも当面の数値目標を上げるよりも個々のプロセスに意味があり、
    過度の効率化を求めることはこれらの分野では自殺行為に等しい・・・
    とある
    文の冒頭に更に、政治・行政を大きな声を出して付け加えたいと思う

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著者プロフィール

'1937年群馬県に生まれる。「心の病」治療の権威として、また地域・家族ぐるみの精神衛生活動の先駆者として知られる精神科医である。その活動で出会った人々を描いた本書は、「自分の人生の前半そのもの」と自ら言う。人生の後半は東京のど真ん中の病院で都会人の心の守り人となり、現在も臨床医として第一線にいる。私たちを取り巻く今の時代、この”治す職人”の慈愛に満ちた目と指針はますます貴重になった。

「2007年 『こころの医者のフィールド・ノート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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