- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784895311489
作品紹介・あらすじ
種の絶滅状況が「絶滅危惧2類」(Vulnerable)、「絶滅危惧1B類」(Endangered)、「絶滅危惧1A類」(Critically Endangered)にある鳥類をすべて掲載。世界中の鳥を脅かす負の影響を要約。世界の主要生息地とそれを脅かすもの、その鳥相について説明。絶滅の恐れのある鳥種を救うために実施している保全活動を紹介。
感想・レビュー・書評
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2021/02/22 更新
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野生動物はみんなそうだが、鳥はとりわけかっこいい。空を飛ぶという、大きい動物としてはかなり無茶な能力を手に入れるために、そぎ落とし、まとめ、減らし、揃えた結果なのだと思う。こういうきれいな生き物が消えていっていいわけがない。
とはいえ、こういう自然保護目線の本を読むたびに思うのは、情緒的な自然保護論だけではなくて、どうしてそれを守らなければいけないのか、どうしたらそれを守れるのかを、ちゃんと筋道立てて説明して欲しい、ということだ。公害とか、行き過ぎた開発や狩猟とかは論外としても、人間の生態系と野生動物の生態系はどうしても相容れない部分がある。野生動物にとっては人間が滅びてくれるのが一番いい。それが無理ならせめて小さいエリアに引きこもって、そこから出てこないか、数をずっと減らして欲しい。ライオンとか狼といった食物連鎖の頂点の生き物たちはそうしてきたのだから。
そりゃたしかにそうだが、そう言われても、というのが大方の正直な感想ではあるまいか。理想的とは言わないが、よりよい人間たちと野生動物の世界のバランスがありそうな気がする。そういうものが読みたい。 -
鳥は野生動物の中でも、最も目にする機会が多く、かつ魅力的だ、と本書は述べます。僕は鳥に特別詳しいわけでもありませんが、出先で鳥を見れば、そこに来たことが嬉しくなり、家に鳥が来れば、よき環境に恵まれたと暖かな気持ちになります。
一方で、鳥は環境変化に敏感で、鳥の数が健全でないということは、状況が悪化していると。
という前置きを持って、前半はさまざまな鳥の生息環境と、その劣化状態をビジュアルで紹介しています。自然の攪乱もあることはあるけれど、基本は人の行為による直接、間接の絶滅危惧の数々。鳥も風景も美しい写真なだけに、状況が大変つらい。
では出来ること、ということで、国の役割、地域で出来ることがあげられています。いわゆる持続可能な生活・社会がそれらを守る、ということです。
口絵がまた物悲しい。結構どんより来るし、オチはわかってはいたことだけど、でもとてもよい本だと感じました。 -
空を自由に飛べる鳥に憧れます。海を渡る力を持つ鳥に憧れます。色鮮やかで自然の神秘を感じる鳥に憧れます。
鳥のまるっこいフォルムに癒されていますが、実に多くの鳥たちもまた、絶滅の危機に直面しているのですね。鳥を愛でる図鑑がわりに軽い気持ちでページをめくりましたが、色々と考えさせられました。
学術的な考察がもっかりしていて、読み応え充分でした。