かあさんをまつふゆ

  • 光村教育図書
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784895726993

作品紹介・あらすじ

外は雪。郵便屋さんは、今日も通り過ぎてゆく。母の帰りを待つ少女の心のうちを描いた、心にしみる絵本。コルデコット賞銀賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • まるで写真のような表紙絵。
    深みをもった写実的な水彩画は、挿絵画家E.B.ルイスによるもの。
    挿絵もテキストも叙情豊かで美しいのに、内容は切ない。

    説明は一切ないがたぶん第二次大戦中のアメリカの田舎町。
    あるアフリカ系アメリカ人の家族の母親が、遠いシカゴまで出稼ぎに出るという。
    『こくじんの女でも やとってくれるんですって。
     せんそうで男たちはみんな たたかいに出ていってしまったからよ』
    祖母と孫娘ふたりきりで、母の帰りを待つ日々が始まる。。。

    格差社会といったところで、日本など社会主義国のそれに比べたら遠く及ばない。
    餓死することもなく、職業だって選びさえしなければ何らかの稼ぐ手立てはある。
    しかし、人種差別という壁は仕事に就くことさえままならない。
    お話の中のお母さんは、汽車を洗う仕事をするという。
    戦争が無ければ、たぶん男たちがやっていた力仕事だ。
    それでも田舎に送金する日を夢見て、心を残しながら出稼ぎに出た。
    父は出征中、そして母は出稼ぎ。
    どんなにか心細く寂しいことだろう。

    ほとんどのページで、窓の外を見つめ続ける少女が描かれる。
    その明暗の描き方が素晴らしく、一級の芸術作品のようだ。
    大好きなお母さんへ手紙を書く場面だけ、少女はわずかに微笑んでいる。
    そして返事を待つ長い長い日々に、野良の仔猫を飼い始める。

    ラスト2ページでは、思わず安堵のため息がもれそう。
    手紙というものの大きな役割を、あらためて思い返す。
    うちでは猫なんか飼えないよと言っていた祖母が、暖炉の傍に猫用の小さな毛布を置いている。祖母もまた、孫娘を守る辛く寂しい日々を必死で生きていたのだ。
    ああ、良かった。切なくて読み聞かせにはとても使えないが、ひとりじっくりと読みたい。

    低学年からという表記があるが、せめて高学年以上にと思う。
    大人だったら(特に母親は)、この女の子の心情に心を揺さぶられることだろう。

  • 2020年国際アンデルセン賞受賞者決定|2020年のニュース(海外)|子どもと本に関するニュース|子どもの読書に関する情報提供|子どもの読書活動推進|国立国会図書館国際子ども図書館
    https://www.kodomo.go.jp/info/child/2020/2020-064.html

    かあさんをまつふゆ – バオバブの木と星のうた
    http://baobab.main.jp/archives/2038

    かあさんをまつふゆ Lewis, Earl B(著) - 光村教育図書 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784895726993

  • https://www.youtube.com/watch?v=XGPDS1Ie2-I

    世界のどこかに、自分を心から愛してくれる人がいる。
    自分もその人を心から愛している。
    だから世界を美しく思える。どこかにあると伝えられている宝物によって、屋敷中が輝いているように。どこかに井戸があるから、砂漠が美しいように。

  • 写実的で温かみのある水彩。
    時間の流れ、ふれあう肌の温かさまで伝わってくる。
    しみじみと、しみじみと胸が暖まる。

  • 2005年度コールデコット賞受賞作品

    「母さんはシカゴに仕事に行ってしまった。男たちがみんな戦争にいってしまい、シカゴでは黒人の女でも働くことが出来るから。おばあちゃんとふたりの押された少女エイダはかあさんの帰りを待つ。かあさんから手紙もお金も来ないけれど、エイダは手紙を書き、郵便屋さんを待つ。」

    「3人の黒人女性の美しさ。つましく働く美しさ。窓は、待っているエイダとおばあちゃんのいる家の内側と、かあさんが行ってしまった外の世界をつなぐ。静謐で凛としたたたずまいが、描かれていないにもかかわらず、外の世界への想像をかきたてる。」
    (『子どもの本から世界がみえる』かもがわ社 の紹介より)

  • ジャクリーン ウッドソン (著), E.B. ルイス (イラスト), Jacqueline Woodson (原著), E.B. Lewis (原著), さくま ゆみこ (翻訳)

  • 内容自体は低学年から十分理解できるけれど、黒人や女性の立場などにも思いを巡らしてほしいから、高学年向けかなぁ。

  •  エイダの母さんは、仕事をしにシカゴに行った。シカゴでは、男たちが戦争に行ったため、黒人の女でもやとってくれるのだと言って。エイダは、おばあちゃんといっしょに、母さんの帰りをまつ。

  • 良い話しではあるけど、若干シンプル過ぎるかなぁ・・・でもストレートに社会的な問題を扱ってたのは良かった!E・B・ルイスの絵好き!もっと見てみたいなぁ・・・。

  • 戦時中、黒人も女性も労働力として貴重になる。

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