インフォアーツ論: ネットワーク的知性とはなにか? (新書y 79)

著者 :
  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784896916959

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  • 素人集団の負のパワーは圧倒的



    『自由を考える』(https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4140019670)では可能性を見出された「匿名性」も、ここでは問題点として指摘されてしまっていますね。

     たくさんの匿名希望さんから、出所不明の情報が常時大量に垂れ流されるインターネット。「責任者出てこいーー!!」と言っても、その発信者は目の前に現れないし、責任感があるのかどうか怪しい時もあります。

     大人がいない――! この一言でしょう。

     ネットユーザー人口が少ない頃は、「ファンの熱気がじかに伝わってくる、可愛げのある空間」という楽しみがあったけれど、一般化されたことで湿気が入りこんできた★ インターネットは、鮮度の高い情報も得られる一方で、コンテンツが根腐れしやすい高温多湿地帯に変わってしまったのです。

     素人集団の負のパワーは圧倒的。どこかで食い止めなければ、ネットを通じて言葉で人を傷つける人もいる。自己顕示欲の暴走から、憶測で不正確なことを発信する人もいる。しかも全世界に向けて! コントロールが必要です。

     実はいま、私自身が、顔や本名を出さなくてもすむ気楽さから発信しています。顔を出せと言われたら、やめてしまうかもしれません(笑)。無責任と言われたら、否定できるかな……★
     ただ、現実世界は、何の悪気もなくても意見のありそうな人間が煙たがられるところです。ペンネームでモノを書けると、リアルの閉塞感を超えて考え事を進めたり表せたりできる。そこをかっているのです。
     でも、ネットが、非常識な人にとっても快適なものになってしまったのは問題ですね。

     現況を「裏目に出ている」と考えた著者は、利用者が情報リテラシーを高める必要性を訴え、「ネットワーカ的知性」を育むことを求めます。「知性」は「品性」に置き換えてもよいかも★

     今のネットのありようには批判的な内容ですが、、ネタばれは避けるけど、落ち着いて状況整理したうえで、具体的で興味深い提案も盛りこまれた一冊。

  • [ 内容 ]
    日本語圏のネットにおいて二一世紀初頭は大きな節目にあたる。
    二〇〇三年から始まる高校の「情報科」は、その有力な分岐点になるが、構想されているその内容は、およそ「インターネット的」なるものが排除された古めかしい情報工学教育の域を出ない。
    いま切実に求められているのは、インターネットの驚異的な展開によって再編されつつあるネットワーク社会を生きぬくための知識と知恵、すなわちインフォアーツなのだ。
    新しい躍動的なネット社会への扉を開くために発せられた問題提起の書。

    [ 目次 ]
    第1章 大公開時代―自我とネットと市民主義
    第2章 メビウスの裏目―彩なすネットの言説世界
    第3章 情報教育をほどく―インフォテックの包囲網
    第4章 ネットワーカー的知性としてのインフォアーツ
    第5章 着地の戦略―苗床集団における情報主体の構築
    第6章 つながる分散的知性―ラッダイト主義を超えて

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • インフォアーツとは、インフォテックに対抗するものとして構想されたネットワーク時代に対応した知恵とわっざの総称。
    高校、大学での情報科目の内容充実が急務だ。
    そもそも情報の専門家ってのは何者だろうか?

  • 要約の講義で使われた本。ちょっと勉強になった。メディア・リテラシーとは何かをちょっとだけ知ることができた。

  • 要約の講義で使われた本。ちょっと勉強になった。メディア・リテラシーとは何かをちょっとだけ知ることができた。

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著者プロフィール

1955年、大阪府生まれ。国学院大学教授。専攻は社会学・メディア文化論。著書に『社会学感覚』『社会学の作法・初級編』(ともに文化書房博文社)、『インターネット市民スタイル』(論創社)、『インフォアーツ論』(洋泉社)ほか。

「2003年 『健康ブームを読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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