ショーの製塩工場 18世紀 (磯崎新の建築談義 # 10)

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  • / ISBN・EAN: 9784897373928

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  • ショーの製塩工場 18世紀
    (和書)2013年04月02日 15:56
    2001 六耀社 磯崎 新, 篠山 紀信


    全訳「芸術・習俗・法制との関係から考察された建築」
    クロード=ニコラ・ルドゥー 
    中央公論美術出版

    読んでみたくなった。

    ルドゥーという人から建築を考えるといろんなことが見えてくるということがこの本の特色です。

    「呪われた建築家」 
    ヴィジョナリーアー・キテクト=実現した建築より実現しなかった計画案によりその名を残した建築家

    ルドゥーとサド(『悪徳の栄え』澁澤龍彦訳など)のこの二つの想像力の飛翔が同じ基盤をもっていたのではないだろうかと感じているという

    今で言うスーパーフラットになると、必ず澱(異物)が存在する。それが繰り返される出来事性がある。

    磯崎新
    「ヨーロッパに行って、上から光が入ってくる空間を知った」

    ヨーロッパ建築の理解の仕方

    ?建築物を形で捉えるのではなくて建築空間を捉えることが建築に接近する方法だということを学んだ。

    ?その形のない部分を形につくっていくためにとりあえず採用した純粋幾何学形態シリーズが今度は逆にルドゥーらの建築に近づいた、そのことによって彼らが古典主義を使うときに幾何学を下敷きにしていたという形式の部分がわかってきました。

    ?ヨーロッパの建物の歴史的な建築物を情報化したパターンというか、クリシェとして記号化された情報として見る見方です、そのコラージュをやったらどうなるかということでつくばセンタービルに出てくるような流れです。

    シャルル・フーリエ、ロバート・オーウェン  空想的社会主義者

    『ルドゥーは革命様式である』

    フランス革命政府から断頭台送りになりそうになったルドゥーのデザインを見たりすると反革命様式と呼ばざるを得ないかもしれない。しかし本人はこれこそ革命的だと思っている。こんな矛盾が見えるとき私は呪われ挫折した側に味方したくなり、だから革命様式といってしまうという。

  • やはり写真が圧巻である。このシリーズは大きさの割りに少々高価なのだが、買うだけの価値がある。

    以前、磯崎新+篠山紀信で建築行脚シリーズとして出版されていた大型本の単行本版。以前の建築行脚シリーズでは、各巻にその建築の専門家の解説が記載されており学術的な色彩が濃かったが、単行本化に際して、磯崎新の建築談義という形で対談に変わっている(この巻では建築史家の五十嵐太郎氏との対談)。

    世界遺産にも登録されているアルケ・スナンの製塩工場(ショーの製塩工場のほうが名前が通っているか?)。半円形のプラン上に分棟配置され、純粋幾何学によって構成された建築群は、18世紀においては明らかに異端であったろう。しかしその異端性ゆえに、20世紀中庸以降再評価されて現在に至っている。

    単行本化に際して対談形式にしたことで、現在におけるルドゥー、およびその同時代の建築家・作品の位置付けが試みられている点がよい。

    ルドゥーは実作もさることながら、ドローイングがまた不思議で面白い。そちらもまたお薦め。

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著者プロフィール

磯崎新(いそざき・あらた) 1931年生まれ(85歳)。建築家。代表作「つくばセンタービル」でポストモダン建築の旗手と目された。1996年ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞受賞。

「2017年 『空間へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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