名文探偵、向田邦子の謎を解く

著者 :
  • いそっぷ社
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本棚登録 : 57
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900963528

作品紹介・あらすじ

父の死に顔に母がかけたという"豆絞り"の嘘とは?向田邦子は"軍人"が好きだった、というのは本当か。名作「かわうそ」のラスト1行にある"写真機"の意味。後年テレビで性を、それも"不倫"を主題にした訳は?向田ドラマの演出家であり、盟友でもあった著者が推理小説の手法で読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 死して尚、人気の高い作家、脚本家でもある向田邦子と親交のあった筆者が向田の文章、作品を解説していく。私は向田をリアルタイムで知る世代である。発表当時、それまでにない市井の人の昭和の普通の生活を作品にして、しかも細かい情景、行動など昭和を生きてきて人々を「なるほど」とうならせた。鴨下も書いているが、彼女の記憶力のよさには舌を巻く。だれもが経験してきた幼い頃の思い出や行動は大人になり、記憶の引き出し奥深くしまい込んでいる。そのような思い出しもしない事柄を彼女は我々の前にあらわにした。そして皆が「そうだそうだ」と思い出させてくれたのだ。
    この本の最後の方に書かれているが、昭和を知らない世代が彼女の作品を読むとき、正しく理解するためには作品に登場する時代と、もう一つそれが書かれ世に出た時代背景を正しく知らないと、その作品の本当の意味するところを正確には理解できないと言うことだ。すでに向田作品は歴史の一ページになろうとしているのだ。
    もう一度、彼女の年齢を超えてしまった今、その作品を読み直してみよう。

  •  1935年生まれ、鴨下信一氏が、向田邦子(1929年生まれ)作品を様々な角度から眺め、向田邦子に迫っていきます。「名文探偵、向田邦子の謎を解く」、2011.7発行。①驚くべき記憶力と一方で覚え違いの歌w:野なかの薔薇→夜中の薔薇、めぐる盃→眠る盃 ②シビアな人間観察:好き嫌いに基づく「倫理」、そして「倫理」には「美学」が並行 ③小説とエッセイ、どちらが真実に近いのか ④テレビの脚本家、エッセイスト→小説家は50を過ぎてから ⑤昭和の家族と家庭を描いた作家。

  • 文学
    writing
    本の本

  • 向田邦子をよく知る演出家ゆえに、面白いエピソードや解釈があり、面白かった。後半時代との関連性など不要な箇所と向田邦子を未読の読者向けの配慮がある箇所がかえって本をわかりづらくしている気がする。しかし、太田光の向田邦子論を最近読んだので、この本を読んで更に向田邦子を再読したくなった。

  • 著者は演出家だそうで、数々の名ドラマを手がけもちろん向田先品も何作かある。
    でもまあなんという題名だこと、ちょっと恥ずかしい。でも向田邦子に関連する書物はスルーできないのである。

    演出家だから、作品を読み込んで掘り下げて、裏の裏まで解き明かそうという気概はわかるけれど、実はこの作品は根源は「神話」である。とか動物は人間の化身であるから云々、本当かな~??        向田さん自身そこまで考えて書いていたのかな~~

    登場人物のちょっとした言動で、そこに隠されている意味や、理由などを感じ取り、なるほどね。やっぱり向田邦子はうまいなぁ。
    私は、そんな程度でいい。
    そんな深いところまで考えていたら、感動するところで涙も出なくなっちゃう気がする。

  • 向田邦子さんの作品を読んだのはずいぶん昔のことなので、細かい部分はほとんど覚えていないが、まだ家に本があるはずなので、読み返そうかとも思う。
    なるほど、あの作品の裏にはこういった事情があったのか、とか、こんなふうに読むのかという新しい発見があった。
    当時は、なんだか不思議な読後感だなあと思っていただけだったのだが、作品が書かれた時代背景を重ね合わせると見えてくるものがたくさんあるものだ。

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