ブラック・アトランティック: 近代性と二重意識

  • 月曜社
3.50
  • (3)
  • (1)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 71
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901477260

作品紹介・あらすじ

空間や歴史の伝統的な概念のラディカルな再考。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読んだものの理解したとは言いがたい…。

    <blockquote>アフリカとヨーロッパでもなく、根っことなるものを奪われたディアスポラとしての黒人がどう折り目をつけたかということなんだろうけれども。

    そして同時に強調されるのは、そこにとりついて離れない不安である。

    自らを排除する論理を逆用して自らを解放する戦術の可能性は、逆に自らを解放する論理に、自らを疎外する契機が潜んでいることを示唆するからだ。


    この不安は、突き詰めると、決して「黒人たち」に固有のものではなく、むしろ啓蒙のプロジェクトそのもの、近代そのものにつきまとう不安である。近代に生きる人間は、潜在的に、誰もがそれぞれのしかたで「黒人」、つまり排除されるカテゴリーに囲い込まれる危険を負わされた存在なのである。</blockquote>

    という解説が理解の助けになるかなぁ。

  • まるで「会社四季報」のような外観の大著で、内容も一筋縄ではいかないが、ポスト構造主義のあと、カルチャル・スタディーズ、ポストコロニアル、ジェンダー論等と拡がった現代思想の代表作 。
    従って読者の側にも多様な視点、切り口での取り組みが要求されるが、西洋近代批判のスタンスはフーコーとの親和性が高く、奴隷制を精神医学や監獄に、音楽を性に読み替えてみることも可能だ。
    抑圧される側の抵抗の戦略としての本質主義・真正性への懐疑は、お茶漬けナショナリズムへの警鐘である。とすれば正にいまこの時の日本人にとっても切迫した話である。(結局は誰もがディアスポラ?)
    鍵概念の一つであるヴァナキュラー(世俗的)な地平での音楽が担ってきた役割は、果たして今後も有効だろうか? そう願いたい、などと想い、ずっとエリントンを流しながら読んだ。

  • 8月に読み終えるつもりが本日9月4日に読了。本当に理解したとはとうてい言えず。以下は読んでいた時に書いたつぶやき。

    これは8月中に読み終えなきゃならんのだが、本当に「黒い大西洋」で難破してる感じ。とにかく読みにくすぎる。私の理解・知識不足もあるけど、もっと翻訳どうにかならなかったのかなー。今、最終章にきてちょっと読み易い感じがしてきたけど。複数の翻訳者が関わっているようなので、各人の技量もあるのかなー。ギルロイの英語原文もネイティブにさえ悪文らしいが、それにしてもなーと思わせる。いつかは原文を読まなきゃだけど、ゲンナリだな。ギルロイはyoutubeで見たらドレッドのカッコいいおっさんだった。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教員。カルチュラル・スタディーズ。
 主な著書にThe Black Atlantic: Modernity and Double Consciousness(Harvard University Press,1993〔上野俊哉・毛利嘉孝・鈴木慎一郎訳『ブラック・アトランティック』月曜社、2006〕)、Between Camps: Race, Identity and Nationalism at the End of the Colour Line(Routledge, 2000)、Postcolonial Melancholia (Columbia University Press, 2006)など。

「2012年 『ディアスポラの力を結集する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ポール・ギルロイの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×