西洋珍職業づくし: 数奇な稼業の物語

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903487939

作品紹介・あらすじ

移動貸しトイレ業、何でも呑みます屋、蟻の蛹採り、小便壺清掃人、砂売り、コーヒー嗅ぎ担当兵、気送郵便局員、輿かつぎ…今では姿を消してしまった数々の職業の背後にどんな仕事が、どんな日常が、そして社会のどんな発展が隠されていたのか?数奇な運命をたどったさまざまな稼業の秘密が、時に楽しく、やがて哀しく、解き明かされる。

感想・レビュー・書評

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  • かつて中部ヨーロッパに存在した職業24種。
    その仕事の内容と必要性、衰退について、詳細に物語る。
    1移動貸しトイレ業  2 何でも呑みます屋 3 蟻の蛹採り
    4 乳母 5 大道演歌師 6 鯨骨加工職人
    7 洗濯職人、小便壺清掃人 8 コーヒー嗅ぎ担当兵
    9 従僕トルコ人、宮廷ムーア人、島勤めインディアン
    10 炭焼き 11 蝋燭の芯切り係 12 石版印刷工
    13 屑屋、古布回収業 14 ビー玉職人
    15 ロザリオ職人、琥珀細工職人 16 にせ医者
    17 気送郵便局員 18 博労 19 砂売り 20 刑吏
    21 輿担ぎ 22 影絵肖像画家 23 遍歴説教師 24 野蜂飼い
    原注、参考文献、挿絵について、索引、有り。
    見開きに職業の簡易な紹介、特徴、活躍期、挿絵、背景。
    続いて5~11ページの物語。

    それらは必要性によって生まれ、消えていった多種多様な存在。
    良きも悪しきも、当時の生活の一端として不可欠な職業。
    技術の進歩や宗教改革、時代の変遷の中で衰退していったが、
    その多くが、第二次世界大戦が終わるまで存続していたという。
    トイレの問題、劇場内の照明、鑑賞用鳥の餌、床掃除用の砂等、
    必要ではあるのに、差別や偏見、僅かな収入の悲しき職業。
    また、江戸時代の日本の瓦版売りの読売みたいな、大道演歌師、
    江戸時代の日本とは何か違う、屑屋&古布回収業や炭焼き等、
    日本にある、またはあった職業と比較するのも面白かった。

  • 表紙をめくると「移動貸しトイレ屋に小便壺清掃人、コーヒー嗅ぎ担当兵に砂売り屋など、現代人の眼から見れば珍妙、奇妙な生業のかずかず。時代の生活世界を反映し、その必要性に応じて生み出されてきたさまざまな商売。」と書かれている。

    読んでみると本当にこんな仕事があったのかと、びっくりするものがある。また、西洋文学を読むとよく出てくる、乳母や炭焼の仕事内容が具体的によくわかった。
    中でも気送郵便の章に私は関心を持った。前世紀、パリの地下に気送管網が張り巡らされていて、その中を郵便物が行き交っていて、普通の郵便よりずっと早く到着していたそうだ。今で言うFAXのような感じなのであろう。

    19世紀中頃から、世界の首都の地下で多く利用されていたそうだ。私が初めてパリに行ったのが1988年で、その僅か4年前まで、その気送郵便が存在していたなんてと驚いている。

    この本に出てくる職業は、今では姿を消してしまっている。これらの職業があった時代の生活様式を想像しながら西洋文学を読んでみたら、また面白いと思った。

    図書館スタッフ(東生駒):ミラベル・ジャム

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/799190

  • ふむ

  • 歴史
    ビジネス

  •  世の中には色々な職業がある。そんな中、西洋社会で実際存在していた一風変わった職業が紹介されている。歴史上の物かと思っていたら、著書で取り上げられている職業の多くが第2次世界大戦終了まで存在していたとあり驚いた。

     職業を通して当時の生活がどのようなものか「垣間見せてくれる窓」と著者が述べている。コーヒー嗅ぎ担当兵、蝋燭の芯切り係、砂売り、輿担ぎなど様々な職業が紹介されている。

     コーヒー嗅ぎ担当兵は、プロイセンのフリードリッヒ大王に任命された老練兵を動員して、税金を払うのがイヤで隠しているコーヒーを嗅ぎ分けた。言って見れば、「マルサの老人たち」だ。当然、人々からは嫌われていたが、もっと嫌われていた職業があった。それは、カツラの臭い嗅ぎ。今の時代にいたら、カツラを付けていると疑惑になっているあの司会者も戦々恐々としていることだろう。

     奇妙な職業がこれからも生まれるのだろうか。それが気になる。そしてその奇妙な職業がロボットに取って代わられる可能性があるのかどうかも気になる。

  • 200年以上も昔の珍しい異国のお話と笑っていられない、その時は必要だったお仕事の話。200年後、同じように自分の仕事が珍しがられているかもしれないのだから。 

  • 女性の職業に興味があるので、乳母のことをこちらに書いてあります。

    「西洋“珍”職業づくし―数奇な稼業の物語」乳母
    http://rimaroom.jugem.jp/?eid=1660

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