- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903538037
感想・レビュー・書評
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光市母子殺害事件を取材したノンフィクション。
弁護団による出版差し止め請求などをめぐる一連の報道から、著者の売名のためのキワモノ本を想像していた。実際に読んでみたら、意外にまっとうで真摯な内容だった。
著者は、「福田君」(=事件を起こした元少年)本人はもとより、その父親と継母、元同級生たち、弁護団、被害者遺族の本村氏など、さまざまな関係者に次々と取材をかける。そして、取材拒否にあってもめげずにアタックをくり返す。この敢闘精神は大したものだ。
とくに、「福田君」が拘置所から友人に出した「不謹慎な手紙」(例の、「被害者さんのことですやろ?」うんぬんの手紙)について、手紙を受け取った友人に直接取材して舞台裏を解き明かしている点は、本書のスクープといってよいと思う。
ただし、本書でつぶさに再現されている著者の取材過程を見ると、相手の心情への配慮に欠ける傍若無人ぶりにウンザリさせられる。
たとえば、著者が「福田君」の実家にアポなし取材をかけ、一人で留守番していた9歳の異母弟に「お兄ちゃんの写真見せて」と頼む場面がある。のちに「福田君」の父親がそのことで著者に怒るのだが、これは怒りを買って当然だろう。
また、取材時のやりとりをテープ起こしのようにダラダラと書き連ねた部分が多く、完成したノンフィクション作品というより、たんなる取材メモに近い印象を受ける。
本書について、ノンフィクション作家の奥野修司が「インタビューの結果を読者に放り投げている、レベルの低い本」と酷評していたが、その評価にもある程度うなずける。
ただし、表現の稚拙さ、取材手法の問題点はあっても、突撃取材で得た関係者の膨大な発言自体がそれぞれ興味深く、一読の価値はある本だ。
少なくとも、週刊誌等の報道では人間離れしたモンスターとしてしか描かれない「福田君」について、本書には一個の人間としての像がくっきりと刻みつけられている。
といっても、それは読んでいて胸の悪くなるような人間像ではあるのだが……。
何より気持ち悪いのは、「福田君」が(手紙や面会を通じて)取材に応じていたのは著者が若い女性だからだということが、行間から察せられるところ。
著者が拘置所に送った最初の手紙に対し、「福田君」が書いた返事には次のような一節がある。
《心配してくれてありがと。外でデートとかしたかったね♡ なんて言ってみてもいい?
(中略)
ぼくも美智子さんのこと知りたいなー。今日はお手紙のお礼までに。ありがとね 美智子さん。今日はゆっくり眠れそうです。次も書くね♡》
最初の「美智子さん」の上には、「みっちゃん」とルビが振ってある。この時点では面識のない相手に対して「みっちゃん」て……。
《福田君が女性に甘えようとする行為を、弁護団では「抱きつき行為」と呼んで、警戒している。マスコミ関係者の間では、福田君が女性と接したがることはすでに有名で、報道が過熱していた差し戻し控訴審の審理中など、あえて女性記者を選んで福田君に接触させていたという。(本書140ページ)》
で、妙齢の女性ライターである著者にも「福田君」は心を開くのだが、弁護団と支援者団体の横槍によって(著者は明言を避けているが、そう推察できる)、途中から面会できなくなるのだった。 -
内容うんぬんより筆者の性格? が目に付くというか。
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加害者側の目線で語られているものを見たかったので
その意味では読んでよかったと思う。
とはいえもっとフラットな立場から論じられたんじゃないかという気もする。
報道される際に加害者が叩かれるのは当然のことなのだろうけど
叩かれる=弱者、というような観点に立ってしまったのか
どうも加害者側に寄り添った記述が多いように感じた。
もっと言っちゃえば弁護団にイメージを操作された、的な。
それともあたしがこの本を読んでそういう歪んだ受け取り方をしただけなのか。
どっちにしても偏りすぎという感は否めない。 -
こういう考え方があっても良いとは思う。
ただ、もう少し深い考えがあった方が良いかな。
書いてあることが事実だとして、
加害者が本当に悔いていて、狡猾ではなく素朴で繊細な人柄だったとして、家庭環境が良くなかったとして、それで何が言いたいのか?が良く分からなかった。
ただ根はいい子みたいだからを死刑にしたくないとかではなく、じゃあどうすべきか?とか、司法・マスコミ・弁護士の在り方などに対する問題提起とかが必要ではと感じた。
そこまであると、関係者とも良い議論が出来たのではと思う。
正直、この本に書いてあることがどこまで本当か判断がつかない。
そりゃ、みんな自分に都合の良いこと言うと思うんだよね。誰々にそそのかされたとか。自分はそんなつもりじゃなかったとか。
また、ニュートラルな感じで取材してない気がするんだよね。取材拒否に対して取材は受けて当然みたいなトーンを感じた。自分も経験あるんだけど、人間て聞きたいことしか聞かないから。思い込みがあると同じインタビューしても全然違う意見が出てきたり。。。
そのあたりが、出版で加害者側とも色々揉めた原因かなと思ったり。 -
「福田君」とは光市母子殺害事件の犯人元少年の実名。著者は福田君とのインタビューを通じて彼が「死刑」となることの意味を見出したいのだそうな。著者が自作の中でどんな戯言を述べようと、それは著者への評価(いい意味でも悪い意味でも)につながるのだから著者の勝手だろうと思う。だがしかし、こういう本を著そうとするならば、まずは亡くなられた被害者に対する追悼の意を最初に表すべきではないのか?。福田君が著者に宛てた手紙から始める所にインパクト狙いという著者のあさはかな目論見が透けて見える。また、巻末で解説している今枝弁護士についても被害者を悼む言葉など一言もないくせに”犯人の「言の葉」に込められた魂の逡巡を読み解いてほしい”などとは笑止千万。被害者不在で犯人の人権のみ留意するという、いわゆる「人権弁護士」の典型であろう。そういう、人間としてごく当たり前であろう礼節すら持ち合わせない人間が何を述べたところで誰の心にも届くまい。福田君を殺して何になるのか?。ご遺族が極刑を望んでおられるのだから「何になる」もあるまい。問いかけそのものが無意味である。一刻も早い死刑の確定と刑の執行を願ってやまない。
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筆者(女性)が取材申し込みの手紙を獄中の被告に送ったら、まだ、一面識もないのにラブレターみたいな返事がきたそう。キモいの一言。著者は死刑に反対らしいが、私は読んでて死刑にしてほしいと思った。少なくとも二度と娑婆には出てきて欲しくない。再犯率高そう。
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まぢにこの本胸くそわるい。
イラっとする
この著者はなんなんだ?
こんなクソみたいな本読んだのは初めて
買ってはいけない本です
こんな本を置いてた本屋さんのセンス…終わってる
買ってしまったあたし…ほんとにイライラする -
著者に、 「 不遜 」 の二文字を叩きつけたい。
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「福田君を殺して何になる」を出版して何になる?と問いたい。
実名はともかくとして、顔写真まで載せて何になるのでしょう?
筆者は、被害者の旦那さんに取材申し込みをして断られてますが、断られたときの電話の内容をそのまま掲載しています。断ってるのに、その電話の内容を掲載することに関してもどうかと思います。
女性記者から福田君に手紙を書かせて、不謹慎な内容の返信を入手しようとしているマスコミがいるそうですが、これもその一種だと思います。
福田君を殺して何になるのかといえば、秩序を守る事になるんです。
売名行為だけの本ですので、こんな本を買ってはいけない。
この著者には1円の印税も渡したくはないです。
私は買わずに図書館で読みました。
図書館の予算で入手したものではなく、寄付された書物ということで、私の税金が使われていない事に安心しました。 -
光市母子殺人事件。
著者が、加害者との面会が実現しちゃったことで、有頂天になって書いた本、かな。一応、加害者以外への取材も試みているが、主要な関係者からはことごとく取材拒否され、まるでそれを「あなた達はおかしい」ってノリで載せてて相当痛い。加害者父親への取材も、いくら相手が加害者側とは言え、読んでて胸くそが悪くなる。その他、得られてる証言(そのほとんどは匿名)も、又聞きが多かったり、そもそも本当の証言なのかさえも怪しい。加害者との面会の中で、加害者が自分の死刑について「自分が死んでも誰も救われない」と発言するが、そもそも誰かを救うために死刑は執行される訳じゃないだろう。最後の方で、本村さんに電話で取材を申し込んで、案の定断られるやりとりがあるのだが、この本で読む価値があるのは唯一ここだけ。 -
死刑存廃論は元よりより根元的になぜこんな悲惨な事件を起こしてしまうのかを考えさせられる本。親の愛情?本人の先天的な欠陥?社会にも責任はある?いろんな疑問が湧いてくる。そしてただ死刑執行を待つ身。こんな事件を起こしてまで何故まだ生への執着があるのか?答えは簡単に出ないが考え続けなければならない問題
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殺してなんになる?。死刑にする意味が本当にないのか?
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著者の姿勢に疑問は浮かぶのは確か。
ただ他方向の一面を見せてもらったので考えるきっかけができた。 -
古本で見つけてなんとなく気になったので購入。
普段ノンフィクションというものをほとんど読まないため、言われているようなこの本の構成があまりうまくない、かどうかは判断できません。ただ筆者のインタビューの姿勢にやや疑問を覚えたのは確かです。
この事件に関しては、事件の内実よりもその周辺ばかり(特にあの余りに唐突で突飛な弁護内容など)が注目され報道されており、加害者の少年が本当は何を考えているのか、というものがほとんど見えてきませんでした。
この本を読んで感じたのは、当たり前のことですがそこに確かに加害者の少年が存在している、ということです。
少年との会話については、ほとんど著者の意見などが書かれていないことが、そう感じさせたのかも知れません。
ただ、もう一歩核心に迫ってほしかった。 -
判決が出たけれど、光市母子殺害事件の加害者側に焦点を当てた内容。ニュースだけでは分からないことばかりで、一つの事実として知ることができて良かった。
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「なぜ君は絶望と闘えたのか」「光市事件 弁護団は何を立証したのか」に続いて(間はあいたけど)3冊目。
なぜこの本が叩かれるのかわからない。上の2冊を読まないとそう思うのかなあ?
とてもよい本、出されるべき本。 -
光市の事件の加害者について、「事件前の彼を知る人や弁護人などへの1年以上にわたる取材を通して見えてきた、彼の姿を伝えたい」(p.19)という本。
1年前にこの本が出るときに、加害者側が出版の差し止めを求め、著者と出版社側が抗弁するもようが報じられたのは見ていた。著者側の主張は、おおよそのところ、匿名報道のなかで、加害者の少年がどんどんモンスターにされている、名前のない顔もわからない報道では一人の人間としてイメージができなくなる、少年がどんな人物かを知るには、たとえばどう呼ばれていたかも重要だ、だから実名だ、ということのようだった。
私は、呼び名(友達にどう呼ばれていたかとか)も含めて、周到に用意した「仮名」でも、著者の意図するところは果たせるのではないかと思ったりもしたが、そもそもこの本が図書館に入るのかどうか、リクエストして読むか(読みたいか?)というと、そこまで読みたい気持ちも起こらず、そうして1年経ってふと図書館でみたら書架ありだったので借りてみた。
光市事件に関しては、私はテレビの報道などはほとんど見ていないが、これまでに本になったものを何冊か読んできた。去年のWeフォーラムで、死刑事件の被害者遺族である原田正治さんの分科会があり、それをWeに掲載するためにまとめた際に、なんどか原田さんとお話しし、その前後には死刑に関する本も新旧いろいろ読んだ。
読んでみても、これは「実名」でないとできないことだったのか?という思いは残った。正直なところ、加害者の中学の卒業アルバムの写真が掲載されているのにはびっくりした。
「たとえ福田君が迷惑だと感じても、彼がなぜこんな凄惨な事件を起こしたのか、彼はどんな人間で、今何を思っているのかを私は知りたい。それを知らなければ、再発防止策など考えようもないはずだ」(p.18)と著者は書いている。
著者は、数多くの取材拒否も受け、時にはその拒否のもようも書きながら、「彼はどんな人間で、今何を思っているのか」を書いていく。
私の読後感はあまりよくなかった。とくに加害者の父親への取材や、弁護団への取材のもようを書いているところは、なんというか「あなたたちは私の取材に答えて当然なのに、どうして答えないのか」という感じが強くて、(私だったら、この人に取材されたくないなー)と思った。
著者の数々の取材は、いちいち録音してテープ起こしでもしたのか?と思うような、電話のやりとりや、その場のやりとりとして載せられている。拘置所での加害者との面会も録音などはできないだろうと思うのだが、これは可能な限り、著者が「再現」したということなんかなー?と思いながら読んだ。
「福田君を殺して何になる」のか、著者はその答えがほしかったといい、本の終わりのところで、自分にはそれが得られなかったと書く。著者はその後も取材を続けているのか、この本をつくったところで一段落なのか、どうなのだろうと思った。
そして、加害者の少年(といっても、もう30になろうとする人だが)はこの本を読んだだろうか、どう思っているだろうかと、そんなことも思う。 -
先に『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』を読むべきでした。そちらからの引用が多数入っています。恣意的な部分引用なのか、文意を損なわないようにしたエッセンスの引用なのか先行の図書を読んでいないと分かりづらいです。
(でもこっちの方が字が大きくて読みやすいのでついこちらから読んでしまいました)
この本を読むと、光市母子殺人事件の被告は反省していない訳じゃないけれど、社会性の発達に頗る問題があり、その反省は端的で近視眼的なものに留まっているようです。
そして被告の父親はひどく独りよがりないばり屋で、今後とも被告にいい影響を与えそうもない感じ。
著者は福田君に死刑になってほしくないと言うけれど、この本を書いて、世に出して、被告に有利なことってあるかしら。本当に死刑になってほしくないと思っているのか疑わしい気がします。 -
マスコミ報道が正しいとは思いませんが、それを疑うなら同時にこの本も疑う必要があることになる。
全てを疑えと.... -
死刑が確定している光市母子殺害事件首謀者のインタビュー。
あるとき出版差し止め請求が出されたので、買っておこうと思って読んでみた。
本として稚拙な部分が多かった気がするけれど、巻末の弁護士の解説にもある通り、福田君の生の声を伝えたという意味では貴重なものだろう。
[09.11.3] -
2010.3.15読了。
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光市母子殺人事件の当時18歳だった犯人少年Aについて実名で描かれた本。
「福田くんを殺して何になる」
フリージャーナリストと筆者が福田孝行、その父親、関係者に対して取材を行った本。
肝心の中身はというと、取材をするのにこんなに苦労したんだ的な、
そして、犯人とのやり取りをただただ書き連ねただけの内容。
内容としては非常に薄っぺらいと感じましたな。。。
この本を出版した目的はなんだったのでしょうかな。
全く意味がわからない。
変な空虚な気持ちで一杯になりました。
目的の行方不明。
この本が出版される時はかなり話題になっていたのは記憶に新しいが、中身がこれでは・・・
この本に対して私は
「この本を書いて何になる」って感じましたぞ。。。
フォッフォッフォ。。。 -
増田美智子は一体何者なのだぜ?