幸せについて

著者 :
  • ナナロク社
4.13
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本棚登録 : 1672
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904292846

作品紹介・あらすじ

俺、いま幸せなんだよね。
歳とってカラダが重くなって、朝っぱらから昼寝をしたい気分だけど、
ココロはなんか余分なものがなくなって、軽くなってる。軽いのは軽薄とは違うよ。
快活っていうのが近いかな、青空みたいなココロ、でも少しは雲もある。
(本文より)

豊かな人生経験と、詩人としてのみずみずしい感性から生み出された谷川俊太郎オリジナルの「幸せ」論。
短いことばと手書きの文字で書かれた本書、70年近くを詩人として生きてきた谷川さんの人生の知恵とことばがたくさん詰まった1冊です。

感想・レビュー・書評

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  • ときどき思う
    死んでからヒトは、生きていたことが、
    生きているだけでどんなに幸せだったか悟るんじゃないかって。


    谷川俊太郎のこの文章を読んで、
    そうなのかな、そうなのかな、って、
    ずいぶんいろいろ 考えてしまった。

  • 表紙が何種類かあった。
    表紙の言葉が私にはいちばん響いた。

    「一度でも
     ナマで幸せを
     体験していれば
     コトバの幸せの嘘に
     だまされることはない」

    「ニセの幸せと
     ホントの幸せ
     両方とも美しい
     見分けるのは難しい」

    「小さな幸せは
     根っこで大きな幸せと
     つながっているから
     ジグソーパズルの一片ではない」

  • 『幸せについて』谷川俊太郎氏

    日常の尊さ ★★★★★
    言葉がもつ空気 ★★★★★
    行間の美しさ ★★★★★

    好きなもののことは、私有しなくても見るだけ、聞くだけ、考えるだけで幸せになれる。これは、他の生物にはない人間の幸せな特質ではないか。83ページ。
    ――――――――
    【購読動機】
    谷川さんの詩が、定期購読の新聞に掲載されています。
    その詩を読むと、自然にほっとする感情を抱きます。
    そんな体験をしたので、改めて谷川さんの詩の世界へ・・・と思ったのでした。
    詩は、おそらく3年以上読んでいませんでした。
    ――――――――
    【読み終えて】
    谷川さんの詩は、日常をうたったものが多い印象を受けます。
    日常生活で見る景色や、感じた季節の具合などをうたっています。
    谷川さんの詩を通じて、言葉が奏でる空気、そして言葉と言葉の行間の美しさを感じ取ることができます。
    秋のおでかけのついでに「幸せについて」をポケットに忍ばせてみてはいかがでしょうか?
    目の前の風景が、少しだけ色合いの違った風景に映るかもしれません。
    ――――――――
    【「幸せについて」より】数値はページ。
    要するに本というのは人に何かを教えたり、情報をもたらしたり、楽しませたりすることで、人を幸せの方向に導くものだと思うのです。100

    幸せについて語る言葉は掃いて捨てるほどありますが、どれも明快なものではありません。幸せという美しい蝶は、ピンでとめて標本にすることが出来ないもののようです。107

    何かが始まる幸せ、何かが終わる幸せ。ヒトは毎日違う幸せをそれと気づかずに味わっている。

    好きなもののことは、私有しなくても見るだけ、聞くだけ、考えるだけで幸せになれる。これは、他の生物にはない人間の幸せな特質ではないか。83

  • 幸せについての散文詩、と言っていいのかな。
    私も疲れ切った時によく死んだ魚の目で虚空をみつめながら「しあわせってなんなんだ」とか考えたりするけれど、まぁ当然幸せに決まった形なんて無いよね。"今、ここ"を生きる自分がしあわせであれば、ひとまずそれで良いだろうと、最近の私はそういうことにしている。

    **
    当人が自分は幸せだと感じることができたら、外の条件がどうであろうと、その人は幸せなんだ。でもこんな言い方は本当すぎて嘘っぽい。

    幸せはささやかでいい、ささやかがいい、不幸はいつだってささやかじゃすまないんだから。

    幸せはお金で買えないというけど、お金で買える幸せもあるはず。幸せがお金で買えると思ったときは、ケチケチするな! 自分の幸せだけじゃなく、見知らぬ他人の幸せでも。

    幸せには退屈という一面がある。これは必ずしも歓びと矛盾しない。

  • タイトル通り幸せについて沢山の考えや思いやいろんなことが書かれている。選ばれた言葉で。すとんと腑に落ちるもの。どうかなと思うもの。人それぞれ何を思うかは違うけど、谷川さんの言葉になった「幸せ」がいくつか心に響く。そんな本。

  • 幸せについて、谷川俊太郎が柔らかい言葉で優しく語りかけてくれる感じがする本。哲学的深みはあまりないが、彼一流の視点の鋭さ・言葉の柔らかさ・日本語のリズムを楽しむためにはボリュームサイズもいい本。

  • サラッと読めるけど幸せについて思いを馳せることができる一冊。サラッと読めるのは、1ページに1つ詩のような、インタビューの一部を切り取ったメモのようなものが載っており、単純に分量の意味です。でも、読んでいると答えのない「幸せ」について読者なりの気づきや思いが浮かんで消えるそんな不思議な本です。

    ●不幸せはいつだってささやかじゃない
    わっ!確かに。ネガティブなことは印象強く意識付けられる性質があると言われている人間ですが、だからこそ、ちょっと思い出してみても不幸せはいつだってささやかじゃないですよね。思いがけず足の小指をぶつけただけでもその時はささやかじゃないですよね。

    ●幸せなんてただのコトバにすぎない
    本書を読んでいくと、なにかゴールのように見えていた「幸せ」が砂漠でオアシスが見えてしまっていただけのような幻想に思えてきました。「お金があって有名だから幸せ」のように人と比べられるような概念ではないし、「お金があって有名」でも、お腹が空いていたらその人はきっと「不幸せ」を感じているでしょう。他人に幸せを分けたり、共有するというのはできそうでできないという思いが浮かんできました。

    ●男子が本当に幸せなときに言ってしまう一人称とは?
    自分の周りは、あてはまっていました笑。あなたの場合はどうでしたか??

  • タイトルにもある通り、幸せの在り方について考えさせられる作品です。「幸せはささやかでいい、ささやかがいい、不幸はいつだってささやかじゃすまないんだから。」という言葉が印象に残っています。過去や未来にとらわれず、いまある幸せを大切にして生きたいと感じました。

  • 物とかできごとは私の幸せをつくる要素であって、幸せそのものは私の中にある。
    誰かの幸せは誰かの不幸だったりするし、幸せは誰1人同じじゃなくて平等じゃなくて、だからこそ幸せに助けられて人間は生きていけるのかな。
    つらつらーっと書いてる文が時々心にぶっささったり、しみたり、なるほどなーとなったり、
    谷川さんの文は何度も何度も味わって読んで楽しみたくなる。

  • 幸せ、それは大きな幸せと深い幸せがある。
    色々な時代を生きてきた著者だからこそ、一言一句の言葉の重みが強く伝わった。何度も読み返したい。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。詩人。1952年、21歳のときに詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来、子どもの本、作詞、シナリオ、翻訳など幅広く活躍。主な著書に、『谷川俊太郎詩集』『みみをすます』『ことばあそびうた』「あかちゃんから絵本」シリーズ、訳書に『スイミー』等がある。

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