ガケ書房の頃

著者 :
  • 夏葉社
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本棚登録 : 375
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904816196

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌にもよく取り上げられる有名書店だったので、順風満帆なのだろうと思っていましたがとんでもなく大変な運営だったことが分かってびっくりでした。
    個人経営の書店はどこもカツカツで、儲かっている所なんて無いというのはよく分かっていましたが、これだけ名前を知られている書店でもこうなのですから町の本屋さんが苦しいのは当たり前です。
    ぐずぐずな路線を走っていた青年が、一念発起して書店の経営に乗り出すのですが、色々知らない事ばかりなのであちらへゴチン、こちらへゴチン。
    きちんと書店経営に乗り出したというよりかは、背水の陣でこれが駄目なら僕には何もない位の勢いで始めた「ガケ書房」。こんなに書店ってままならないものなんだなと胸が痛みました。家賃や取次への支払いをする為に借金を繰り返して、しまいには個人の私財まで投入しなければならない。どんな商売も大変なんですが書店は一発逆転がないだけにジリ貧になってしまうようです。
    この前読んだ「奇跡の本屋をつくりたい」の札幌くすみ書房も、色々な仕掛けをして結構な本を売っているにも関わらず資金繰りに困窮して最終的に閉店してしまっています。
    大変な出版不況の時代に船をこぎ出した冒険記と読むのは簡単なのですが、これだけ知名度があっても経営が成り立たない、個人書店という仕事が既にビジネスとして崩壊しているという事実がとても悲しいです。
    今でも新刊書を扱う個人書店がぽつぽつ出て来ていますが、ビールを出したりイベント貸ししたり雑貨を売ったりと色々な事をして差別化を図ろうと必死です。そういう本屋さんに行った時には必ず本を買うようにしていますが、本って本屋さんに入るお金が安すぎるよなあ・・・。

  • 花田菜々子さんがどこかでおすすめしていたので読んでみた。めちゃんこおもしろかった、、
    本屋って大変なんだなぁって思ったりも。
    あのスタイリッシュでサブカル臭なガケ書房にこんな苦労があったとは露とも知らずって感じだったから、目からウロコで面白かった。そしてガケ書房→ホホホ座だったんだね。ほえ~
    酸いも甘いも、というか酸い多めだったけど、これがリアルなんだなぁって思えて、しみじみ読んだ。
    そりゃ「楽しい」だけじゃない。でも、だからこそ、その日々の中できらりと光るものがあれば、胸を打つのかなとも思った。
    山下さんの行動力も素晴らしすぎて。
    店員を自らスカウトするとか、ガケ書房閉店の際に石の壁の石をもってってもらうイベントにするとか。

  • 著者が本屋さんという生業に到着するまでの過程や

    本屋さんを営む中での楽しさや苦労、それがひしひしと伝わってくる一冊です。

    自分探しともいえる日々の中で、いっぱいの葛藤を抱えながら

    自分の本当にやりたいことを見つける、それを続ける大変さをとっても

    感じました。平日に読むとやっぱり本屋さんに行きたくなっちゃう。

    今週末は3連休だし、いっぱい本買いしてこよう。

  • 書店員ドラマ中

  • とある方のインスタのストーリーか何かを拝見して気になった本。
    自分にとって、これはフィクションかと思うほどの期間を過ごした著者の青年期。さまざまな会社やバイトを経験して、そしてガケ書房の開業、ホホホ座への改名。
    著者のこれまでの生き方が全て活きてホホホ座という形になったのだなと自己解釈する。
    「本屋で買った本は全部お土産だ」コト消費的な考えなのかなと思う。
    この本はあの本屋で買ったな、あ、あのとき確かと想起することは楽しい。
    自分の中にまた何かがひらけた感じがして嬉しい、本屋に行きたい。誰かと本屋に行きたい。
    そして本を買いたい。

  • わたしはずっと本を読むのが苦手だと言ってきた。先日、仕事を辞め、1ヶ月ほど暇になったのをきっかけに、何となく本を読んでみようと思った。ひとつ、何となく大型書店で買った小説を読み終えたら、嬉しくなった。そして面白かった。読書へのハードルが下がった気持ちになった。次に何読もうかと思っていたら、随分前に友人から借りていた本を思い出し、これを読んだ。大学の近所にあったガケ書房の本。学生の頃、時々、ちょっと緊張しながらお店に入って時間を潰したり、やっぱり読書が苦手だったから雑貨なんかを買ったりしたのを思い出した。
    借りてから随分と遅くなってしまったが、今読んでよかった。

  • 京都に住んでたころガケ書房には何度か行ったことがあったので、気になって購入。
    大筋としては著者の青春の記録、本屋を立ち上げて閉めるまでの物語ですが、その端々で「本屋を経営するとはどういうことなのか」、一般人として考えたこともなかった世界のことを結構細かく書かれてて興味深かったし、街なかの本屋さんを見る目が変わりました。こんなに大変な仕組みだとは知らなかった。。
    また小沢健二さんのエピソードでは、人格者は大衆が見ていないところでも人格者なんだなと思いました。

  • 2018/7/30購入
    2018/8/4読了

  • 「目利きという幻想を商売にしている人が選んだ<一見、間違いのないモノ>が欲しいという心理の底には、対価に見合った保証が欲しい、失敗して無駄金を使いたくないという不況の象徴のようなものがあるように思う。」

    ガケ書房を訪れることが出来たのは、一度だけ。
    楽しかった。
    口元を緩ませながら、店内をふわふわ歩き回った気持ちを今も覚えている。
    今作はそのガケ書房が開店するまで、してから、そして閉店までを書いたものだが、心に刺さる言葉がたくさん。
    閉店前の、小沢健二とのやり取りで胸が詰まった。

  • 2016.5月
    なんとも深くて濃い。潔くさらけ出した本音。すごいな。なんとなくマニアックで近寄りがたい店という勝手なイメージを持ってたけど(行ったことないのに)全然違った。行ってみたかったな、ガケ書房。人間、行動力だと思う。人ってやらなきゃいけない時は自分も驚くくらいものすごい行動力を発揮したりする。山下さんにとってのガケ書房は必然だったんだな。書店員として目の前だけを見つめるのではなく、全体を、そのコミュニティを、冷静に俯瞰的に見なきゃいけないなと思った。

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著者プロフィール

山下賢二(やました・けんじ)
1972年京都市生まれ。21歳のころ、三島宏之と写真雑誌「ハイキーン」を創刊。その後、出版社の雑誌部、印刷工、古書店、新刊書店勤務などを経て、2004年にガケ書房をオープン。目立つ外観と独特の品揃え、店内音楽ライブなどで全国のファンに愛された。2015年4月1日、ガケ書房を移転・改名し、ホホホ座をオープン。著書に『やましたくんはしゃべらない』(岩崎書店)、『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』(夏葉社)、共著に『ホホホ座の反省文』(ミシマ社)、編著に『わたしがカフェをはじめた日。』(小学館)がある。

「2021年 『ガケ書房の頃 完全版 そしてホホホ座へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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