時間観念の歴史――コレージュ・ド・フランス講義 1902-1903年度

  • 書肆心水
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906917921

感想・レビュー・書評

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  • ベルクソンがコレージュ・ド・フランスで行った、「時間観念の歴史」に関する講義録である。遺言で、自身が示した著作以外の公刊を禁じたベルクソンだが、すでに講義録や書簡集が刊行されている。本書は、そのなかでも、プロの速記者による筆記録を基にしているという点で傑出しており、ベルクソンの息づかいまでが聞こえるような内容にまとまっている。
    とりわけ、難解な問題を分かりやすい喩えで説明する、ベルクソンならではの語り口で、読者は「時間」という問題に引き込まれていく。
    本書では「持続」などのキーワードが哲学史のなかで位置付けられているため、ベルクソン哲学の入門書としても適切である。

  • 哲学者ベルクソンが、「時間」をテーマに、西洋哲学史を講義したのが本書。いまの量子力学の時間論と平行して読んだのだけど、それと照らし合わせても、古びていない。

    当時、コレージュ・ド・フランスの本講義の席取りがたいへんだったらしい。
    それもそのはず。古代ギリシャ哲学、プラトン、アリストテレス、プロティノスの、ここまでわかりやすくて深い要約を読んだのは初めてのこと。

    当時の主にフランス人たちは、自分たちの根っこが古代ギリシャ哲学にあることを知ってさぞ驚いたことだろう。その驚きを追体験するようだった。

    ここで展開される講義は、ベルクソン自身の著作を裏付ける思考実験としてすごく豊かなものになっているのだけれど、ベルクソンは我田引水に陥らないように気をつけてもいる。その誠実さにいちいち感動。

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著者プロフィール

1859-1941。パリ生まれ。フランスの哲学者。コラージュ・ド・フランス教授(1900)。アカデミー・フランセーズ会員(1914)。ノーベル文学賞(1927)。主著に『意識に直接与えられたものについての試論』(1889)、『物質と記憶』(1896)、『創造的進化』(1907)、『道徳と宗教の二源泉』(1932)など。

「2012年 『ベルクソン書簡集 Ⅰ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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