13坪の本屋の奇跡 「闘い、そしてつながる」隆祥館書店の70年
- ころから株式会社 (2019年11月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784907239435
作品紹介・あらすじ
いま「町の本屋」が消えていっている。
本が売れないから、というのは理由のひとつでしかない。
そこには、「売りたい本が来ないから」という理由がある。
「いらない本が送りつけられるから」という理由もある。
どういうことだろうかーー
創業70周年を迎えた大阪・谷六のわずか13坪の本屋「隆祥館書店」からいまの出版業界はどう見えるのか?
ジャーナリスト木村元彦が、町の本屋の「闘い」を丹念に描きだす。
感想・レビュー・書評
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現在、書店は軒並みというくらい大手のチェーン店に顧客を奪われ閉店している。
人気本、ベストセラー本など入荷がないのに苦労して…と。
また、紙の本が売れない…など。
さまざまな要因はあるだろう。
ここは、「闘い、そしてつながる」隆祥館書店。
70年、店主の二村知子さんが、谷町6丁目の本屋をお父さんから引き継ぎ、頑張っている。
お客さんの好みをよく知りとても上手に勧めている。
以前、NHKの番組でも、セブンルールでも観たことがあった。
コロナ禍の中でもいろいろなイベントを企画しているようだ。
彼女は、本当に本が好きでたくさんの人に勧めたい気持ちが伝わってくる。
タイトルの意味がわかる。
是非、行きたい本屋さんである。
一万円選書も応募したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
町から本屋が消えていく。実際、最近は出先の大型書店やAmazonで書籍を買うことが増えた。Kindleの電子書籍も利用している。買いたくても近場に本屋がないのだ。
かつてお小遣いを握って、雑誌や本を買いに走った個人書店も今はない。これは文化の衰退ではなかろうか。
本書は大阪は谷六の小さな本屋・隆祥館さんが、不公平な配本制度に苦しみながら、地元に根づいた商いを続ける闘いの記録である。一応出版界の端くれにいながら、流通の細かい話、特に見計らい配本制度は知らなかった。恥ずかしい。
はっきり言って出版は斜陽産業だと思う。エンタメ系はもちろん、必要不可欠な教科書や専門書ですら売れない時代である。セレクトショップ的な変わった書店も出てきてはいるが、それはやはり変化球である。身近に隆祥館さんのような本屋さんがあるなら、応援したいなと思う。 -
大阪谷町で70年続く13坪の本屋「隆祥堂書店」
出版社3000社、書店8000軒に対して取次は大手2社の寡占状態という出版業界にあって、小さな書店がいかに闘い、読者とつながってきたかを『オシムの言葉』のノンフィクションライターが描き出す
同日入帳、ランク配本、見計らい配本……第1部は小規模書店を苦しめる取次の理不尽な制度に闘いを挑んだ書店主 二村善明 の気骨の生涯を描く
後半は経営を受け継いで営業を続ける現店主、長女の 二村知子 の挑戦の記録
町の本屋の生き残りをかけて東日本大震災以降9年で242回、月平均2.5回にわたって開催されている「作家と読者の集い」から、藤岡陽子、小出裕章、井村雅代、鎌田實の講演録を収録
版元は取次を通さない直取引の出版社「ころから」
(だからこそ書けた出版流通のタブーの数々)
絵本作家の降矢なながカバーと扉のイラストを描いている -
お薦めの本です。
隆祥館書店、この本で初めて知りました。こんな本屋さんが近くにあれば、毎日通いたくなるかも。
それにしても、本の取次配本システムはなんとかならないのか。町の本屋さんを窮地に追い込んでいるのは、amazonだと思っていたけど、このシステムも大きな要因だと思う。
出版元もこういうシステムの改善に乗り出すべきだと思った。 -
大手流通業の跋扈に加えてそもそも本が売れない今。小さな本屋・隆祥館の,街の本屋としての矜持をかけた闘いを描くルポ。本流通の実情(同日入帳問題,ランク配本,見計らい配本)も詳述。
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まさに書店受難時代。ただでさえ本が売れないのに、売れそうな本ほど小さい本屋には入って来ない。そして数年前のムックを勝手に送ってきて、すぐに金を払えと言われる。けれど返品しても直ぐにお金は入って来ない。これで良く経営成り立っているなと逆に感心します。
大阪の隆祥館書店はわずか13坪にもかかわらず、全国的に有名な書店です。本へ顧客へ愛情を注ぎ、先代は本書で有るように書店の権利を勝ち取る為に立ちあがった、義に生きた男。そして二代目の二村知子さんは父の意思を受け継ぎつつも、著者を招聘しての講演会を200回以上続けるという偉業を継続しています。
小さな書店でも人を呼ぶことは出来るという証明のような書店であります。実直にいい本を勧めつづけてきた信頼と、企画力と実行力。それを兼ね備えた2代目の知子さん。本とは関係無いので小さい声でいいますが(すごい美人)です。
色々な本系ムックで見かけた超美人が一人いましたが、この書店の経営者だったんですね。うーんびっくり。
話逸れましたが、一途に勤勉に書店を経営してきた親子の一代記としても素晴らしいし、いかに書店という商売が成り立たず、特殊な企業努力をしないとジリ貧になってしまうかという現実を知るためにもいい本です。
誰も彼もアイディア出して実行したり交渉したり出来る訳ではないので、真っ当に物を売って真っ当に生活が出来る商売にならないものでしょうか。このままでは小さな本屋さん本当に無くなってしまうと思います。
微力ながら月5000円は新刊書籍をリアル書店、それも出来れば個人書店で買うように心がけています。
この本屋さんは大阪なのでなかなか行く機会無いですが、近くの書店を応援しながらエールを送りたいと思います。 -
徒歩圏内にあった本屋さんがなくなって久しい。
まぁ、買いにも行かなかったが…
本を読みたい人に寄り添ってくれるお店なら
もっと買いに行ってただろう。
書かれてる通り、
大型店優遇の配本構造は問題だと思う。
が、しかしだ…
結局のところ店のあり様でしょ。
もっと突っ込んで言えば店主の。
廃業した店の半分は、
お客さんに早々に見切りつけられたのでは?
我が家の近所にあった本屋のように…
隆祥館書店さんに行ってみたくなりました。
たぶん足繁く通うようになるんじゃないかな。
残念ながら遠いのですが…
鎌田實さんの著書を読んでみようと思います。 -
取次のシステムをなんとしても変えていきたい。
というのは本当にそう思う。書店の問題も原発の問題も日本という残念な国の有り様をまざまざと見せつけられる思いがした。私たちは本を読む事は大事だけれど、そこに書かれている事が真実かどうかを見極める力も大事だと思う。本当のことを知るために本が必要で本当に良い本を教えてくれる町の本屋は無くしてはならない。