翼 (鉄筆文庫 し 1-1)

著者 :
  • 鉄筆
3.12
  • (26)
  • (89)
  • (160)
  • (69)
  • (14)
本棚登録 : 1210
感想 : 130
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907580001

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久々の白石一文
    相変わらずどこかしこになつかしい。

    白石一文という作家は〜
    剥ぎ取って、剥いで、突き詰めて
    最後のさいごに残ったものを真実と吐露する。
    見詰めて、己を見詰めて見詰めすぎるくらい見詰めて〜


    確かに正しいかもしれない、
    真実は一つだから

    本文よりー
    「僕は、誰だって真実の人生を見つけることができると思ってる。
    真実の人生を手に入れさえすれば、こんな嘘だらけの人生ときれいさっぱり縁を切ることができるんだ」

    自分はいいかもしれないが、巻き込まれた人らはどうなる
    切り捨てられた周りは溜まったもんじゃない。
    嘘だらけと言われての家族。
    家族を不幸にしても手に入れたい真実って。

    それでも切るー
    途中の感想で中途半端だが。
    エゴだよね。

    福岡生まれの福岡育ちの自分は
    作者と同じ
    出てくる場所もいろんなことも
    手にもるようにわかる

    こう突き放してみたものの
    わかりすぎるところもあってこわい。
    自分も変わってるからよく分かる、

    本文より
    「僕は本当にすごいへンな人間なんだ」

    「ヘンすぎるから一生懸命にまともに振る舞ってる。」
    「物心ついた時から自分が仲間外れと覚った人間のことだよ。
    ホームラン五十本打てる人間は
    隠して人と同じに打ちたいように力を抑える

    すべての望みは
    この世界でひっそりと生きていきたいんだ。、普通の女の子、男の子になることなんだよ。」
    長谷川岳志、ー

    良すぎても、疎外感
    悪くても疎外感

    だったら世に言う天才、スボーツ界でのスーパスターは出ないね。
    ふーん。、傲慢じゃない。
    素直にモテる力発揮していいんじゃない。
    頭が良すぎる上での、苦しみ。
    生き方を複雑にしてる。
    生きる目的は、自分の感情だけではない、
    何のために生きてる?
    世のためとまでは言わないが
    長谷川岳志は医者だから
    充分できるのに〜

    ぜんぶひっくるめて
    幸不幸は別にして分かるのは分かる

    それぞれが好き勝手に真実を求め
    今ある基盤は嘘だとチャラにしたら
    どうなるのかしら?

    途中のレビューなんてろくなものじゃない〜
    だけど途中で書きたくなった。

    「ブクログの方に教わりたい。、おききしたい。)

    しかしかくいう自分も勝手にきって切りまくってきたかもしれないが。
    人を傷けた側だけどね。

    「翼」
    いろいろ聖子の人生
    主人公「田宮里江子」の人生
    長谷川岳志の人生
    里江子の義理の妹朝子の生き方
    なかなか
    おもしろかった。
    表題「翼」ーふーん。そうね

    田宮里江子は聡明で
    本当に賢かった。

    長谷川岳志に向かって
    「誰かの不幸を前提にした幸福なんて、この世界に存在できるはずがない。人を傷つけてまで幸せになる権利なんて誰にだって、絶対に、絶対に、ないわ」
    そして人の不幸の前に成り立つ幸福はないと断言できる。

    自分もつくづく真面目な人間だとおもう。
    しかし
    これを言える勇気を持ってる人がどれだけいるか
    煩悩に負け、感情に赴き
    そこにいろんなドラマが生まれる。

    最後まで読むと
    レビューは変わる。悲しすぎる。
    「わが心にも千億の翼を」

    「僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるわけじゃないよ。愛する人を幸せにするためにあるのだし、そして何より自分自身がしあわせになるためにあるのだ。」と、長谷川岳志はいう。

    あー未熟だなぁ、自分

    感情は数学でもない〜
    スパッと割り切れるものではない。
    最後は泣けた。理屈ではないからね。

    白石節炸裂
    また他の作品も読みたい。








     

  • 私たちは手にした幸せより先に死ねれば、それが最高の人生なんでしょうね。

    俺たちは他人の心の中に自分という手紙を配って歩く配達人にすぎないのかもしれんなあ。配達人が郵便受けに差し込む手紙の中身を知らないように、俺たちも自分がどんな人間なのかちっとも知らずに、それを丸ごと人に預けてるだけなのかもしれん。

    人間は智恵や理性では絶対に行動しないからね。例外なく感情のままに行動する。

    僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるのではないよ。愛する人を幸せにし、自分自身が幸福になるためにあるんだ。

    運命の相手とは出会うだけじゃきっと駄目なんだよ。最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断することだ。そう決める覚悟を持ったときに、初めてその相手は真実の運命の人になるんだと思う。

  • 白石一文さんの作品、初めて読みました。

    愛、人生、運命の人。
    それぞれの表現がびっくりするほど腑に落ちる。

    「誰かの不幸を前提にした幸福なんて、この世界に存在できるはずがない…」と言うりえこ。

    「僕たちの人生はだれかを不幸にしないためにあるわけじゃないよ…」と、岳志。

    「最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断すること」岳志。

    「きみだけがずっとそばにいてくれるのなら、それでもいいんじゃないか」岳志とりえこ。

    良いとか悪いとかではなくて、言葉にできない思いを持ってる人ってきっといると思う。
    決断かぁ…

  • 改めて白石作品好きだって思った。
    何冊か白石作品を読んで思ったのは女性目線の作品に心揺さぶられる。
    共感できる部分やハッと気付かされることが多く胸にストンと落ちる。
    (以前読んだ男性目線の作品はイマイチ共感できなかった笑)
    本作についても朝子の手紙、里江子のラストに向けての気持ちの変化に自然と寄り添うように読んでいる自分に言葉では上手く言い表せない心地良さがあった。
    読後感はいつもちょっぴりさみしい気持ちになる。

  • 9年前に別社で出版されたものを既読であったのをすっかり忘れて読んでしまったことに登録して気づいた。前回は「世の中の社会人はこんな七面倒臭いことを考えて生きてるのか?」って言ってたのに、今回はその七面倒臭い語りをフムフムと読み入っていた。己の加齢を感じる。

  • 序盤からやけに辛気くせー話だなと思って、そういう系苦手なんで読むのやめようかと思った。が、中盤徐々に興味が湧いて読むのが止まらなくなる。
    結局最後まで辛気臭い感じで終わるがつまらなくはない。登場人物全員に腹が立ち、また同情できる。

    ところで最後に作品解説してる梅原さん、職業からして一般人のようだが作者とはどういう関係なの??
    『「私と白石さん」的なヌルい散文でお茶を濁すような事(解説)はしたくない!』と豪語されていたが、むしろそっちの方が気になるので解説してほしいんだが…。

  • 白石作品の中では好きな方かな。
    主人公は田宮里江子。浜松に本社を置くメーカーの課長代理。東京のクリニックで偶然に10年ぶりに長谷川岳志と再会する。
    恋愛や結婚、それ以上の運命。人生をどう生きるかなど哲学的で少し悲観的で、強引なところもあったけど、個人的には面白かった。

  • 導入からしばらく、読みあぐねてしまった…が、後半は一気に読了。

    そんなに好きなら難しいこと言わずに初めから一緒にいればいいのに…とおばさんはじれったく思う。

    医師の仕事についてのくだり。ぐっときた。

    自分の仕事は?とふりかえっても、この人たちほど難しく考えてやってこなかった。
    ここまで考え考え生きてくるのはさぞ大変だったことだろうと思う。

  • 「僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるわけじゃないよ。愛する人を幸せにするためにあるのだし、そして、何よりも自分自身が幸福になるためにあるんだ」
    きみがずっとそばにいてくれるのなら、それでもいいんじゃないかと、ただ共に生き、共に死にたかっただけ。登場人物の岳志の里江子に対する想いや行動は否定されてしまうものだろうけれど、自分の幸せを追求する、好きな人と過ごしていく人生でありたいっていう凄くシンプルな欲求だと思える。
    叶わないと知って絶望した結末…しがらみで幸せになれないって何なんだろう。

  • 読破しての感想は、よかった。この言葉に尽きる。
    帯に泣けると書いていたが、涙することはなかった。

著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白石一文の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×