中学生から知りたいウクライナのこと

  • ミシマ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909394712

作品紹介・あらすじ

生きることの歴史、生きのびるための道。

黒土地帯、第二次ポーランド分割、コサック…地理や世界史の教科書にも載っているこうした言葉に血を通わせる。
「ウクライナを知る」第一歩はここからはじまる。

二人の歴史学者が意を決しておこなった講義・対談を完全再現。緊急発刊!
MSLive! BOOKSシリーズ

「小国を見過ごすことのない」歴史の学び方を、今こそ!
・ロシアが絶対に許されない理由…?
・西側諸国、日本が犯してきた罪…?
・「プーチンが悪い」という個人還元主義では、負の連鎖は止まらない…?

【イベント参加者の声】
・歴史を知ることで、ニュースの解像度が上がり、そこに暮らす人びとの顔が見えてくるような感覚をおぼえました。
・軍事評論家や国際政治学者の解説ではなく、こういう話が聞きたかったです。
・「国」と「人」をいっしょくたにせず、どのように平和を築いていくのか。自分の姿勢を問い直す貴重な機会でした。

【MSLive! BOOKSとは?】
ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、「MSLive!」。
「MSLive! BOOKS」は、オンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。

感想・レビュー・書評

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  • ウクライナで起きていることをどう見ればいいのか示唆を与えてくれる書。
    プーチンはアメリカのやってきたことを真似をしているだけなのだ。ロシアの振る舞いは理解不能だし、ウクライナ侵攻は断じて許されないけど、しかし、アメリカは絶対の正義ではない。

    そして、ウクライナという国のことをもっと知ること、それが我々日本人には求められる。


    ところで…
    安倍元首相銃撃事件には驚いた。銃社会ではない日本でこのような惨劇が起きたことに大きなショックを受けた。非常に残念な事件だし、暴挙に対して激しい怒りを感じる。日本という国がこの事件をきっかけに衰退することがないといいけど…とても不安。

    心から安倍さんのご冥福をお祈りする。

  • MSLive! 緊急企画「歴史学者と学ぶ ウクライナのこと」(出演:藤原辰史・小山哲)ダイジェスト - YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=MUaCgxBxNeQ

    【アーカイブ】藤原辰史・小山哲「歴史学者と学ぶ ウクライナのこと」 | ミシマ社(視聴期限は6月30日)
    https://mishimasha.com/news/289/

    自由と平和のための京大有志の会
    https://www.kyotounivfreedom.com/

    中学生から知りたいウクライナのこと | 書籍 | ミシマ社
    https://mishimasha.com/books/9784909394712/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ◆周縁から地を這う目線[評]伊藤千尋(ジャーナリスト)
      <書評>『中学生から知りたい ウクライナのこと』小山哲、藤原辰史 著:東京新聞 TO...
      ◆周縁から地を這う目線[評]伊藤千尋(ジャーナリスト)
      <書評>『中学生から知りたい ウクライナのこと』小山哲、藤原辰史 著:東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/192704?rct=book
      2022/07/31
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベスト 『中学生から知りたい ウクライナのこと』 | 教文館ナルニア国
      https://bit.ly/3zBQx95
      ベスト 『中学生から知りたい ウクライナのこと』 | 教文館ナルニア国
      https://bit.ly/3zBQx95
      2022/08/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      2/28(水)小山哲・藤原辰史 「中学生から知りたいウクライナのこと――侵攻から2年が経って」...(ミシマ社)
      https://mishi...
      2/28(水)小山哲・藤原辰史 「中学生から知りたいウクライナのこと――侵攻から2年が経って」...(ミシマ社)
      https://mishimasha-books.shop/items/659d2b06e0d47805e5c1532d
      2024/02/22
  • 広島への原爆投下から78年の今日
    この本を読んだ感想を書いている

    「ウクライナ」
    私たちの年代は世界史で「ソ連邦」とひとくくりで学び
    教科書も1・2ページだった
    以後ほとんど無知のままの私をあざ笑うかのような
    ウクライナのすさまじい歴史
    驚きと恥ずかしさで読み終えた

    二人の歴史学者が、たくさんのことを教えてくれた

    ・常に侵略され国境は変えられてきた
    ・プーチンはクレイジイだと捨ておくわけにはいかない
    でも彼だけではない
    ・欧米諸国、特にアメリカがアジアで行ってきた侵略は忘れてはならない
    ・今、日本はNATOアメリカ側につき、軍備を拡張しようとしている

    中学生から婆さんまでたくさんの方に読んでいただきたいなあ

    ≪ その国の 歴史と文化 なぞる旅 ≫

  • ポーランド史を専門とする歴史学者と食と農を専門とする歴史学者のウクライナに関する講義・対談。生きることの歴史、生きのびるための道。ポーランド・リトアニア・ウクライナとロシア。これらの地域が民族的にも宗教的にも言語的にも隣国との関係においても複雑な状況を抱えてきた歴史を学ぶことができる。単純化されたメディアの報道や教育、それらに影響された自己の歴史観を覆してくれます。「歴史を悪用して....」「.....非難します。」という京大有志の会のサイトに掲載された声明文を読後に再度読み直しました。
    ミシマ社の本は面白い。

  • ウクライナでの戦争について、何が問題となっているのか、その背景を含め、とても分かりやすく書かれている。取っ掛かりに適した一冊。

    これを読むと、ウクライナで「日常」を過ごしていた人々たち、子どもたちが、不当に生きることを侵害されていること。
    人の当たり前の日々を、国がアレコレと大義名分を立てて奪っていること。(その大義名分は、過去からずっと続いている)
    そして、そのことに心を痛ませているロシアの人々もまた、奪われた側にいることが、分かる。

    なのに、日本では、大国に負けない武装や、核兵器の保有を支持するような意見が見られていて、そのことを「プーチンの猿真似」と厳しく評している。

    「あとがき」で、小山さんが、戦争ばっかりの「歴史」を学ぶことが嫌いになったと書いていた。
    私はそうした戦争や事件、侵略を、過去の出来事として頭に入れることしかしてこなかったと恥じた。

    本当に、習ったことは、戦ってばかりの人間だ。

    そして、目の前でもやはり戦争は刻まれて、その影響を私たちも受けている。
    知らずに済まされない時なのだと思う。

  • 「かつてのことを知りたいという意欲が減退して、終わったことを蒸し返すなという風潮、あらゆる言語を日本語と英語という二言語で把握しようとする傾向の強い日本」
    現在の中学歴史や地理の知識は本当に多くなっており、中学生に戻って大人の認識を鍛えなおすという意味合いでの題名とのこと。地政学、国際政治論的な分析が少なく、歴史学的な分析が多い、現状分析だけでは理解できない深い背景を知ることが目的とも触れている。北米外交がすべてに優先するのは危険と指摘。
    構造的暴力とは、社会の仕組みの中で構造化されている不平等のことを意味し、貧困、飢餓、抑圧を例にしていた。歴史学という学問は戦争から出発していて、征服と迫害と戦争ばかりという指摘にも納得。

    覚書
    ポーランドという国から見たウクライナ、善悪二元論の相対化となる視点
    地政学はナチスが中東欧侵略占領の根拠に悪用した歴史あり
    ウクライナ出身 ヴォロディーミル・ホロヴィッツ 
    ピュートル・チャイコフスキー 交響曲第2番ウクライナ民謡が取り入れられている
    歴史は一度学んだら終わりではない、学びなおして、点検し、少しでも改善し続ける努力が大事
    歴史を知ることはそのまま自分を知ることにつながる
    宗教言語が違い、一つの政治勢力の下でまとまった時期はほとんどない
    ウクライナの農業問題
    ミサイルを飛ばす人の目線ではなく、日々の生活のなかで学校に行ったり、仕事をしていたりする人たち、実際に暮らしの現場にいて、
    公園で、病院や、家のなかで、ミサイルが上から降ってくる立場におかれた人たちの目線を感じること
    ウクライナの平均月額賃金 190ユーロ ロシア474ユーロ ベラルーシ320と比較してかなり低い

    津村記久子さんのメッセージ
    『ウクライナ侵攻に関して
    ウクライナ国民が、他のどの国の人間の意図も含まない自分たち自身で、ウクライナの未来を決定する権利を持つことを改めて強く支持します。
    ウクライナの皆さんは、私たち民主主義の国に住む者全員の代表者です。皆さんの苦痛は、私たちが分かち合うべき苦痛です。私たちの苦痛です。
    ウクライナの人々が、生きて在るべき場所に帰り、自分たちの暮らしを取り戻し。その中で笑えるようになることを、心の底から祈っています。』

  • 〇ウクライナの人たちが自分の意思だけで、これからの未来を考える日がおとずれることを祈ってます。
    〇歴史の流れと地域としてのウクライナを見る
    〇日本、日本人のことを考える
    〇ウクライナのニュースに触れるときの芯が出来たように思う

    ◎はじめに
     戦場から離れた国に住む人々の当事者意識の減退、関心の低下、倦怠。「胸の痛み」が持続しないことが歴史を繰り返させるのではないか
     “中学生から”と銘打っているが内容をカジュアルダウンするのではなく、大人の認識を鍛え直す意
     ポーランド近世史研究者である小山哲也さんのポーランドから眺めたウクライナという地域の見方
     本書では、地政学的な国際政治論的な分析は少ない。歴史学的な分析が多い
     本書はこれから歴史的検証にさらされる

    1:ウクライナの人々に連帯する声明
     自由と平和のための京大有志の会

    2:ウクライナ侵攻について
     歴史がは過去を通じて現在を理解しようとする試みでもある
     「ウクライナ危機を前にして」2022.2.24の記事
      生活と文化と歴史への無関心が危機を招く
      相国をいけにえにささげる大国意識
      個人に焦点を当てすぎる世論
      ←プーチン個人の分析に重点を置きすぎではないか
      ←「明日美容院へいく」私たちと地続きにある生活感覚から、侵攻の暴力を感じなければならない。
      ←国境近くの村では、ウクライナのナショナリズムに脅威を感じ、ロシアを信頼する人もいる
      ←世界的な土壌劣化の時代にウクライナが焦点になる意味
      日本独自の国際世論を
      ←非英語の情報の発信
       過剰に危機を煽っていないか一歩引いてみる記事が日本で少ない

     ロシアの行動は国際法違反
     ロシアとロシア人を同一視してはいけない
     プーチン病気説には警戒を
      誰がプーチンを支持しているのか、誰がプーチンと外交してきたのか
     歴史を学びなおすこと
     NATOの罪
      ロシアは仮想敵でなくなったのに、再定義をロシアに理解できるかたちで提示できなかった
      NATOの「平和維持活動」という論理がロシアによって用いられている
     ロシアの真に非難できるために
      戦争からの人間的側面の排除…戦争が見世物になっていないか
      イラク戦争の残したもの
     旧来の戦争観では追いつかない
      コロナ禍中の軍事侵攻
      ハイブリッド戦争
      ←サイバー攻撃、情報戦争、無人機、原子力発電所の包囲
       生活の前提の破壊
     日本は当事者である
      直接日本への攻撃が無かったとしてもアメリカの戦争に加わるシステムが整備されている
     歴史の教える「核兵器」の恐ろしさ
      台湾での武力衝突を想定した要塞化が進んでいる南西諸島についての本土の無関心
      …沖縄、国民を犠牲にしていないか
     日本の政治家もプーチンになりうる
      正か負か、二通りしか道を示さないものへの懐疑
     学ぶとはハンドルの操作を学ぶこと
     観たくない現実を観る力
      敵に立ちむかう人が敵に似てくる傾向
      直線的思考は視野を狭める
      力の論理を骨抜きにする思想と言葉
      音楽、絵画、舞踏などの芸術、学問の世界的ネットワーク
      …国家間の利害を超えた共有すべき価値が、商業主義に傷つけられてはいるが残っている

    3:講義・歴史学者と学ぶウクライナのこと
    ・地域としてのウクライナの歴史
     地域としてのウクライナの歴史と深い関わりを持つポーランド
     ポーランドからみるウクライナの歴史
     「スープの問題」
     ポーランドのバルシチとウクライナ風バルシチ
     「ウクライナという地域」
     ウクライナ語意…地域の端っこ、地域のなか
     連綿と「ウクライナ」としての輪郭を持った地域では無く、いろいろな集団や勢力が、交じり合う、衝突しあう。そんな空閑地・領域、地域である。
     歴史の一貫性はあるが、日本の歴史の一貫性とは違う
     広大なステップ地域
     東方のキリスト教、イスラーム、ユダヤの三つの宗教が共存する

     9c から13c キエフ=ルーシが興る
      ヴォロディミール(ウラジミール)大公
       コンスタンティノープルのキリスト教の洗礼
       ※ポーランドはローマ・カトリック教会

     13c末 モンゴル軍の侵入
      キプチャク・ハン(ジョチ・ウルス)国
       イスラーム教
       ※以前からユダヤ教徒も住んでいた

     14c末 ポーランド王国とリトアニア大公国、同君連合
      ←現在のウクライナの地域を含む

     15cから16c
      クリミアのタタール、ウクライナ・コサック(群れを離れた人たち)
      ←農業・漁業のかたわら、略奪をして生計を立てる
     ポーランド王権、彼らの武力を欲する
      ←コサックの登録制度…軍事的な活躍を望む
       …コサック社会の中の亀裂

     16c から17c
      ポーランド貴族、ウクライナの領域に植民を行う
      大航海時代、陸路で未開の「ウクライナ」を支配したい。
      ←タタール(オスマン帝国)とコサックが壁

     17c末 歪みが爆発
      コサックと農民の大反乱
      ボフダン・フメリニツキー
      へトマン国家…地方ごとに連隊に組織され、ラーダ(評議会)で選ばれたへトマン(コサックの頭領)の統制に服する

     17c半ば 「ペレヤスラウ協定」
      モスクワ大公とウクライナのコサック
       ←カトリックのポーランドと対抗するため
        宗教的に近かった
        ウクライナが自治を保ちながら、モスクワ大公に臣従する
        …プーチンに重要視されている
       ←実際は十数年しか維持されなかった
        1677ポーランドとロシアの間でアンドルゾヴォ休戦条約が結ばれ、ウクライナはへトマン国家とポーランド王国領に分割される
        南部は一時期オスマン帝国領になった
        1699カルロヴィッツ条約でポーランド領に
     曖昧な国境線が縦横に走っていた
      ※国境は近代に入ってから、パスポートコントロールによる出入国管理の仕組みにより、線として機能するようになる

     18c後半 
      ウクライナ・コサックのへトマン制度を廃止(ロシア・エカチェリーナ2世)
      小ロシアと呼ばれるようになる
      ポーランド分割…ポーランド・リトニア共和国が三つの国によって分割され、消滅する
       西ウクライナとロシア帝国の領域
     19c  ウクライナ民族運動
     ウクライナ民族文化の台頭と弾圧
      大学の設立
      「60年代の人々」…民族運動、ウクライナ文化の復興に尽力(20世紀の半ば過ぎにも登場)
      ロシア帝国はウクライナ語を弾圧する
       教育を目的とするウクライナ語での出版を禁止
       「存在しなかったし、存在していないし、これからも存在しえない」
      エスム法…ウクライナ語による教育出版活動禁止令
     ロシアとの関係
      19c後半から緊張が続く
      第一次ロシア革命、第二次ロシア革命でロシア帝国が揺らぎ、ウクライナ民族運動が息を吹き返す
      1922ソヴィエト連邦成立
       ウクライナの東はソ連に
       「ウクライナ化政策」…ウクライナ共和国では、ウクライナ語で教育してよいし、文化を大切にしてよい
        ←1933にはまた抑圧される
      ウクライナ民族運動組織とナチス・ドイツの提携
      ポーランドの支配下の西ウクライナ
       民族主義的な独立運動
       ポーランド人が地主でウクライナ人が従属する階級的な社会構造
       ローマ・カトリックとギリシア・カトリック
       ポーランド語とウクライナ語
       1939ポーランド消滅
        ウクライナ統一のため、ソ連と戦うにはドイツの勢力拡大が助けになると考えた
        一時期、ナチス・ドイツと提携
       1941独ソ戦争
        ウクライナ民族主義組織(OUN)はドイツ軍と協力して、ソ連軍と戦い、ウクライナ独立国宣言 
        ←ドイツが認めなかった
         指導者ステパン・バンデラ逮捕、その後ドイツはウクライナを占領
        →プーチンにウクライナ侵攻の歴史的な理由付けにされている
        ☆今の政権と直接結びついていない

     ウクライナのユダヤ人ー民族主義のはざまで
      ポーランド時代、貴族たちはユダヤ人の助けを借りて領地経営を行う
      ←コサックや農民たちのユダヤ人への反発
       略奪や虐殺
       二十世紀のユダヤ人はすべての国家や民族集団から迫害を受けていた
     第二次世界大戦中のポーランドとウクライナ
      互いに虐殺しあう、勝者のない戦い
      ウクライナ蜂起軍(UPA )と国内軍(AK )
     現在ポーランドでは、ウクライナの難民をあたたかく受け入れている
     ウクライナにあった二つの「民主主義」
      シュラフタ民主主義
      コサック民主主義
     ☆専制君主でない政治の仕組みを近世に体験した地域
     

    ・小国を見過ごすことのない歴史の学び方
     大国の勝ち組目線の歴史からの脱却
     中東欧や南欧は、様々な宗教・言語・民族・文化が入り混じった地域
     パルチザン(非正規軍)
     ※満州国・朝鮮人パルチザン
     「流血地帯」としての中東欧
      “ナチス”は西欧諸国の歴史の例外ではない、むしろ主流の中から生まれた
      プーチンのロシアも歴史の例外ではない
       ←サイバー攻撃もドローン攻撃もプーチン起源じゃない
     バルカン半島から見る近現代史
     「ロシアの政治的展開を問う唯一正当な方法は、『我々自身』、すなわち西側を問うことだ。」
     農業問題としてのウクライナ
      肥沃な黒土地帯チェルノーゼム
      …小麦、家畜の餌のとうもろこし
      …農業大国ロシアの農業大国ウクライナへの侵攻である
     レーニンとの対立から生まれた中央ラーダ
      1917十月革命
       ボリシェヴィキ政権とレーニンの革命ウクライナ人民共和国
     パンの講和:ブレスト=リトフスク条約
     ←ドイツの武器が欲しい、ウクライナの穀物が欲しい
     ヒトラーにとっての「失われた土地」
     「歴史の戦争」ーウクライナの大飢饉
      都市が農村を搾取する
     1932-33ホロドモール…飢えと抹殺 ソ連史上最悪の飢饉
     軍需産業が盛んな土地、科学技術が進んでいた
     『おっぱいとトラクター』
     ソ連とナチス・ドイツは中東欧を互いに蹂躙し尽くした、その国々の1つがウクライナ
     歴史的視点と皮膚感覚、両方からの言葉を
      東南アジア、中東に目を向けることの大切さ

    4:対談・歴史学者と学ぶウクライナのこと
     ミサイルが振ってくる側におかれた人の目線で
     これは侵略である
     歴史の悪用
      都合のいいところだけを、歴史の中からつまみ食い
     ポーランドに押し寄せる難民
     「さまよう人々が、大黒中心の国際政治の取引の材料として利用される可能性生み出したことを、非難します」
     戦禍を生きのびようとしているウクライナの人たち
     厳しい言論統制のもとでそれでも勇気を持って戦争反対の声をあげているロシアの人たち
     ウクライナの人々の痛みを自分たちの問題として考えようとする姿勢を持っている、世界中の人たち
     子どもたちの被害
     もう一度、日本の歴史もふり返る
     私たちは戦争の当事者である
     戦争を非難する言葉の歴史
      ヴェトナム戦争における反戦運動
     生きのびるために名誉をかけて戦うということ
      市民の戦い
      ワルシャワ蜂起

    ・質疑応答
     占領は「保護」からはじまる
     1:この戦争はなぜ今起こったのでしょうか
     2:ロシア語やウクライナ語といった使用言語と、人々のアイデンティティにはどのような関係がありますか

     中立国になるために
     3:この戦争は、いつ、どのようなかたちで終わるのでしょうか。小国が大国のパワーゲームから逃れ、中立国として生きのびるような、解決方法はないのでしょうか

     ウクライナ国民の確立
     4:ウクライナの人々はどのようにして、地政的、民族的、もしくは宗教的に、現在の国家というかたちでの自決を達成したのですか
     5:日本の安全保障においてウクライナ寄りの発言をしすぎると、ロシアから目をつけられるのではないでしょうか北方領土や北海道に侵攻してくる可能性はありませんか。
     
     戦争の終わり方
     6:戦争の終わり方はどのようなものでしょうか
     7:各国の文化人が連帯するという希望は持てるでしょうか。

     フェイクを打ち破る可能性
     8:情報戦の名においてフェイクニュースが飛び交っています。これに対抗する方法として、どのような「実践」を考えていけるでしょうか。実証的事実を訴えるだけでは、今のメディア環境ではフェイクに打ち負かされてしまうと感じます。
     9:そうしたアートの言葉に触れるための本を教えてください

    5:中学生から知りたいウクライナのこと
    ・今こそ構造的暴力を考える
     「普通の暮らし」という言葉への批判
     奴隷は消えていない
     貧者はますます貧しくなる
     エッセンシャルワーカーとなるウクライナの女性の移民
     コロナ禍の戦争が低賃金労働に拍車をかける
     プーチンを叩く「正義」が株価を上げる
      ※投資家の教養と倫理

    ・ウクライナの歴史を知るための読書案内
     『ウクライナを知るための65章』
     『物語 ウクライナの歴史』
     『ポーランド・ウクライナ・バルト史』
     『ブレスト教会合同』
     『ウクライナ・ナショナリズム-独立のディレンマ』
     『ガリツィアのユダヤ人ーポーランド人とウクライナ人のはざまで』
     『隣人が敵国人になる日ー第一次世界大戦と東中欧の諸民族』
     『悲しみの収穫 ウクライナ大飢饉ースターリンの農業集団化と飢饉テロ』
     『ウクライナの発見ーポーランド文学・美術の十九世紀』
     『ウクライナー歴史の復元を模索する』
     『ウクライナ・ファンブック』

    ◎おわりに
     歴史学が戦争から出発した学問なのだと懐疑的な気持ちになったとき、16世紀のポーランドに「ワルシャワ連盟協約」という宗派間の平和を保障する取り決めが在ったことを知り、救われた。
     「われわれは異なった信仰と諸教会における差異のために血を流すことをしない」
     戦争を知らないことは素晴らしいが、認識しないという意味での「戦争を知らない」ことは、知的にも倫理的にも良くないことではないか。

  • 紛争で注目されるウクライナはどのような国なのか。
    プーチンはただ、クレイジーだから進攻しているのか。
    中学生にもわかりやすく解説してくれる。みんなで読んで考えていかなくてはならない。

  • ウクライナ情勢が気になる今、「中学生」とタイトルにある通り、平易な文章で書かれていてわかりやすかった。本の中でもあがっていたが、ポーランド分割とウクライナが結びついていなくて、きっと多くの歴史観は、「小国の歴史」=「領土の変遷も多くてややこしくて大変」=「ぽろぽろとこぼれ落ちているもの」になってしまっていると思う。これを機に、様々な視点から世界を見ることができるように各国史にも注目していきたい。
    そして、どのようにこの危機が終わりになるかはわからないと筆者たちも述べているが、一刻も早くウクライナの人々が安心して生活ができるようになってほしい、祈りながら正しい立場に立てたら、と思う。

  • 政治とか国の未来とか、積極的に参加できかねているのは自分が何も知らないのに無責任なことをしたくないという気持ちがあるのだ。こんな歳になってもまだまだ知るところから始めてます。

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著者プロフィール

1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。著書に『ワルシャワ連盟協約(一五七三年)』、共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。

「2022年 『中学生から知りたいウクライナのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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