- Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
- / ISBN・EAN: 9784931284081
作品紹介・あらすじ
限られた時間、生きる喜び…。老年を迎えた、高名な画家の娘ペネラピ・キーリングを主人公に、イギリスの戦前、戦中、そして戦後ほぼ半世紀を経た現在と、家族三世代の物語が、イングランド南部のコーンワル、コッツウォルド、ロンドンを舞台に繰り広げられる。
感想・レビュー・書評
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神保町のブックフェスティバルで出会った本。
イギリス版大河ドラマ。出会えて良かった本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本と出会えて良かった。
九月が、彼女の月がきた
彼女のうちに息づく生命は、
この月にこそ弾む
彼女は葉を落とした木々を、
炉に燃える火を愛する。
だからぼくは一年のうちで、
この九月と十月とを
彼女に帰するのだ
ぼくの一年のすべての日々は彼女のもの
彼女はその多くの日々を
すでにぼくにとって耐えがたくし
あるいは謎多きものとしているが
それよりもはるかに数多くの日々を、
えもいわず、幸せなものとしてくれている。
彼女はぼくの毎日に一抹の香りをのこし、
ぼくがめぐらした壁には
彼女の影が軽やかにおどっている。
彼女の丈なす髪は、
ぼくのすべての滝にまつわり
ロンドンのすべての街路は、
思い出のくちづけをちりばめている。
ルーイス・マクニース 『秋の日記』より -
色々な場面や時代を切り取り、ペネラピという一人の型破りながら堂々とした女性とその家族を、ペネラピの祖父の絵の記憶を通して描いていく秀作。
ペネラピの住まいの美しさ、彼女自身の強さとは連動しているイメージで、全く違うタイプの娘二人と、その住まいに関わってくる人々の人間関係が細やかに描かれている。
二次大戦中の話も出てくるので、ヨーロッパの状況に関して少々の知識は必要かもしれない。 -
上・下
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「この人生においては、よいものは決して失われることはないのです。それはその人の一部となり、人格の形成にあずかるのです」という主人公の言葉に感銘を受けました。つらいことが続いて自暴自棄になってしまいそうな時に思い出したい言葉です。主人公ペネラピの一生を描いた大河ドラマは圧巻の一言につきます。女性にぜひ読んで欲しい傑作です。