論語物語

著者 :
  • まどか出版
4.29
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本棚登録 : 85
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784944235421

作品紹介・あらすじ

-『論語』は「天の書」であるとともに「地の書」である。孔子は一生こつこつと地上を歩きながら、天の言葉を語るようになった人である。天の言葉は語ったが、彼には神秘もなければ、奇蹟もなかった。いわば、地の声をもって天の言葉を語った人なのである。…こうした『論語』のなかの言葉を、読過の際の感激にまかせて、それぞれに小さな物語に仕立ててみたいというのが本書の意図である。
 と、『論語』とともに生きた著者・下村湖人は本書の序文で語る。本書はその意図が活き、『論語』の真髄を小説として、物語として、イメージゆたかに読み取ることができる。

感想・レビュー・書評

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  • 斉藤孝の『読書する人だけがたどり着ける場所』から読みました。
    『論語』を孔子と弟子の対話を「物語」として書いてあるため、とても読みやすかったです。28個の物語で構成されており、それらを個別で捉えることも、全体として捉えることもできる本でした。
     また、各物語の初めに書き下し文が書いてあり、物語の1小節を読んでからもう一度書き下し文を読むと、それがすらすらと読めました。

     個人的に最もグッと来たのは「一以て貫く」の物語でした。
     学びの語源は「真似る」というのは広く知られています。教えるとはただ言葉だけでなく、その礼や生活の全てを通して実行されている。そして、ただ師を「真似る」だけでは本当に「学んでいる」とは言えない。と私は結び付けました。
    教師になったとき、子どもたちに何かを教える際、言葉、教科書、態度それら全てを使うこと、つまり「私」という人格の全てを用いて「真似」をし、子どもたちが自ら伸ばしたいと思うことや、私の真似をしたくないということを気付かせ、考えさせることがある種の使命だと考えました。
     誰もが知る聖人「孔子」、これまで読んだ本において、徳川家康、福沢諭吉。渋沢栄一も『論語』から学んでいました。
    「孔子その人生において「奇蹟」が一切ないという点で私は西洋哲学よりも孔子の生き方を真似たい」と述べた渋沢栄一に大賛成です。

  • ペンネーム 青空さん 推薦

     著者の下村湖人が,『論語』にある数行の文から,1つの物語をつくり上げ,そのような物語が幾重にも連なる短編集です.
     著者は,「二千数百年前のシナ,中国を知る者からしたらあきたらない点も多々あると思うが,私はただ「心」を描けばそれでよかった」と記しています.
     孔子の教えを通して,今を生きる人々の心を描けたらそれで良かったということです.
     この本を通して,著者の下村湖人が心酔したという『論語』そのものについても興味を持ってみてはいかがでしょうか.

  • 人生の教科書。わかりやすく書いてくれてる内容なのだろうけど、現代の本ばかり読んでいる私には難しいところがありました。

    もっと論語の世界を知りたくなりました。

  • 面白いです。論語を読むならどうぞ。

  • 論語の心を、面白いストーリーにして、読ませてくれる。論語の入門書として、また、人生案内の書として、誰にでも安心してお勧めできる本だと思った。私は、個人的に、こならず、こならんや、こならんや、のストーリーが好きだ。孔子のような聖人といわれる人が、小さなこを眺めて嘆いている姿を想像すると、おかしくなってしまう。

  • 論語エピソード。
    何度が読んで自分の言葉にしたい。

  • 孔子と弟子たちのやりとりが生き生きと描かれ面白い。
    Febeでオーディオブック版を購入。

  • 仁(他人への寛容)
    義⇔利


  • FeBeのオーディオブックで聞きました。「論語」は倫理で勉強した程度の知識しかなかったですが、このように人間味があるとは意外でした。
    孔子の考えの深さの印象深さもさることながら、弟子や諸侯の小人(俗人)っぷりに人間味を感じました。

    孔子のそばで様々なことを聞いていても妬みや打算が出てしまったり、支配階級であっても孔子に対して恐れを感じて遠ざける、でも打算から近くに寄りたい、など。
    孔子の考えは共感しきれなくても、周囲の小人っぷりには非常に共感できる。あー、こういう気持ちはよく分かる。私もこう感じるだろう!って。
    その小人に共感した後に、孔子の言葉を聞くと頭が下がります。弟子だったら頭下がりっぱなしでクビが曲がっちゃったことでしょう。

    また、言葉よりも実践を要求するのも印象的でした。
    ビジネス書、啓発書を清涼飲料水のような感じで読んでいる私なんて、すぐクビです。

    朗読版は声もしぶく非常に楽しめました。(※)些細な点で気になったのは、求道=きゅうどう、と読んでいたこと。キリスト教だと「きゅうどう」、仏教だと「ぐどう」、儒教だとどっちだ!?時代によって読みが違っているそうだけど「ぐどう」がしっくりくるかな。

    書籍版も購入して文字でも味わいたいです。

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著者プロフィール

1884年佐賀県生まれ。作家、社会教育家。1955年没。主著に『次郎物語』『教育的反省』ほか多数。

「2020年 『青年の思索のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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