猫丸(nyancomaru)さんの感想
2018年4月5日
井上孝治写真展「想い出の街」 - 蕃茄庵日録(ばんかあん。国立駅前・ギャラリービブリオ店主のブログ) http://d.hatena.ne.jp/banka-an/20180319 コミーのPR 昭和が終わろうとしていた1989年。九州の老舗百貨店「岩田屋」は、長い間の地域とのつながりを振り返り、未来につなげる想いを込めて企業キャンペーンを企画した。タイトルは「想い出の街」。 関係者はイメージに合う古い写真を探し回ったが見つからない。もはや中止かと思われたとき、偶然からアマチュア写真家の井上孝治が昭和30年代に撮影した郷愁に満ち溢れたモノクロ写真を発見する。キャンペーンは息を吹き返し、大反響を巻き起こす。 井上孝治はそのときすでに70歳だったが、このキャンペーンをきっかけに3冊の写真集『想い出の街』『こどものいた街』『あの頃』が出版され、1990年のパリ写真月間への出品、1993年のアルル国際写真フェスティバル招待へとつながっていく。 岩田屋がキャンペーンを展開した当時、数年間だけ福岡に住んだフリーライター黒岩比佐子は、写真集『想い出の街』の年譜作成を依頼され井上と会う。この井上との出会いから10年後、黒岩は『音のない記憶 ろうあの天才写真家 井上孝治の生涯』を書き上げた。絶版となっていた文庫判『音のない記憶』を基に判型を改め、黒岩のブログ「古書の森日記」からの文章も加えての復刊。 井上孝治写真館所蔵の写真54点を掲載。判型:四六判並製 300ページ https://www.komy.jp/corporate/story/
1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ノンフィクション・ライター。図書館へ通い、古書店で発掘した資料から、明治の人物、世相にあらたな光をあてつづけた。 『「食道楽」の人 村井弦斎』でサントリー学芸賞、『編集者 国木田独歩のj時代』で角川財団学芸賞、『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』で読売文学賞を受賞。 他の著書に『音のない記憶』『忘れえぬ声を聴く』『明治のお嬢さま』など。10年間で10冊の著書を刊行した。惜しまれつつ、2010年没。 「2018年 『歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史』 で使われていた紹介文から引用しています。」