空中庭園 通常版 [DVD]

監督 : 豊田利晃 
出演 : 小泉今日子  鈴木杏  板尾創路  広田雅裕  國村隼  瑛太  今宿麻美 
  • ポニーキャニオン
3.36
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  • (14)
本棚登録 : 673
感想 : 154
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013110649

感想・レビュー・書評

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  • 「たったひとつだけ、私は家族に隠していることがある」


    「何事もつつみ隠さず、タブーをつくらず、できるだけすべてのことを分かち合う」 
    それが、母親らしいことを何ひとつしてくれなかったさと子への反発から、いつも笑顔で幸せな家庭であり続けようとする絵里子の決めた京橋家のルールだ。
    だが、絵里子の意に反して、家族はそれぞれに秘密を持っていた。
    夫の貴史は麻子とミーナと言うふたりの愛人の間を行き来し、娘のマナは不登校を続け、建築物に興味を持つ引きこもりがちな息子のコウは父の愛人と知らずにミーナを家庭教師に迎えてしまう。
    そんなある日、絵里子はさと子とミーナの合同誕生パーティを開く。
    ところが、酔っ払ったミーナのお陰で家族の秘密が次々に露呈、絵里子の築き上げてきた家庭はもろくも崩れ去った。
    しかし、自身の誕生日。
    さと子からのバースデイ・コールによってわだかまりの解けた絵里子は再生することが叶い、プレゼントを抱え帰宅して来た家族を温かく迎えるのであった。

  • 「本当に大事なことは墓場まで持って行くのよ」
    隠し事がなく全て開けっ広げなのが必ずしも良い事とは言えない。
    隠し事をしないという”逆オートロック”状態でも、実は何か別の場所に鍵をかけていたのかもしれない。
    思い込みが現実をも変えてしまう。
    ラストのスローモーションで玄関のカギを開けに行くシーンはきっと彼女の心の鍵が解放されたのかもしれない。
    しかし爽快なラストのようにも思えるけれど旦那の浮気はどうなるんだろう。家庭を守る為に嘘をつくのだろうか?
    「嘘」でスイートリトルライズを思い出した。
    守りたいものにも嘘は必要なんだと思う。
    血の雨は圧巻ではあったが、小泉今日子の顔全部真っ赤になってる画はちょっとやりすぎ感が否めない…

  • ゆれるゆれる 花のかご
    まわるまわる 観覧車
    くりかえし やりなおす
    ゆれる 家族の学芸会
    まわる 正直のための嘘
    ゆれるまわる ホントの家族

    って思わずポエムしてしまう…。観終ったあとも、しばらく自分も揺れてる気がした。

    ソニンちゃんに驚いたー。

  • 隠し事をしないと言うルールの下で暮らす家族の、崩壊と再生を描いたブラック・コメディ。
    ああ何だろうこの見終わった後の気持ちは。何だかものすごく痛いんだけど、どこにでもあるようなものを見ている気分だった。他人の家庭を覗いている様な。
    自分の過去や自分の母親を反面教師にしながら、理想の家庭を作り上げた結果が家族の中に秘密は持たないはずだったのに、実際の家族はそれぞれが言えないような秘密を持っている。ルールを作った母親までも。言わなくていいことばかりを食卓を囲んで語り、言わなければいけないことは言わない。ものすごく見ていて可笑しく、不自然な家族だった。それが理想だと思い込むことが幸せとは限らず、そんな不自然な中で暮らす家族は屈折していき、不満がたまり、吐き出せない気持ちを外で秘密に変えているような感じがした。
    溜まりに溜まった不満をぶつけ合う誕生日パーティのシーンの迫力はすごい。「あんたさぁ、死ねよ」「お母さん、もう死ねば?」なんてそれまで完璧な笑顔の仮面をかぶっていた主人公の口から吐かれるそのギャップが、鳥肌が立つような気持ちになる。夫や娘、息子たちの秘密も気づいていてそれを暴いて暴いて暴いて。母親への積もり積もった不満をぶつけて。
    実際、母親に愛されなかったんだと小泉今日子演じる主人公が思い込んでいたのか、本当に愛されていなかったのか分からなかった。だけど、思い込むことで記憶が書き換えられていたのは事実。逆に自分との思い出が母親の中で毎日いい方へ書き換わっていたのも印象的だった。

    今まで抱えていた不満をぶつけ合って、吐き出してしまった家族は、再生され新しく生まれ変わる。生まれ変わることが出来るのは、家族だから。家族だからやり直すことができる。たとえ繰り返したとしても。不満を吐き出しぶつけあうことで再生した京橋家。帰りのバスの中での会話が非常に良かった。理想なんかに捕らわれなくても、やっぱり家族なんだと思った。誕生日を祝う電話を受けて、再生した主人公エリコ。庭で血の雨を浴び、血まみれで泣きながら叫ぶ。新生児がそうであるように、新しく生まれ変わったんだと思う。思い込んでいたものや抱えていたものが一気に崩れて。
    帰宅した家族が開かないドアの前でしている会話を聞いて、涙が出た。その涙は感動の涙とは違う。何故だか分からないけれど、ものすごく涙が出た。瞬間的にあふれ出した涙だった。

    小泉今日子を初めとして、女性陣の好演がよかった。永作博美、ソニン、大楠道代など非常に迫力ある演技でした。小泉今日子がコンビニで娘に肩を叩かれて振り返るシーンの凄みは強烈なものがある。鈴木杏が援助交際は悲しかった(´Д⊂ヽ
    豊田利晃監督の作品は以前ポルノスターを見たことがあるけど、あれは何かものすごく意味が分からない上に不快な気持ちにしかなれなかった。これもどっちかというと不快寄りな映画だとは思うけれど、非常に深くて考えさせられた。心にくる。オープニング、団地がぐるぐる回っていたり、回想シーンが横向きだったりする独特のカメラワークにはセンスを感じた。酔いそうだったけれどw

  • 小説を読んだので、DVDもかりてみることに。

    感想…小説よりどろどろ感を出していて、想像ではもっとふわふわした感じだったから意外!

    舞台が行ったことある場所だったから、映画の中でよく出てくるかと思ったらそうでもなかった〈神戸:モザイク〉

    んー期待しすぎた。キャストは面白かったけど。

  • 原作よりも楽しめた気がする。それでも☆3つ。

  • 65点。ニュータウン、援交、不倫、そういったものが社会学系の本のネタになっていたのはもう随分昔のような気がするがこの映画は典型的すぎるほどにベタな設定。ニュータウンはこの家族のメタファーでありタイトルも。生命の誕生は主人公の救済のメタファーなどなど。象徴がベタすぎる。途中マジなのか狙ってるのか分からないが吹き出してしまったシーンもあってなんだかなぁ、と最後まで鑑賞しTSUTAYAのケースに戻す際にようやくわかった。ケースにはジャンル『人情・喜劇』と書いてあったのだ。
    うーん。なるほどね、TSUTAYAさんスルドイ。
    余談だがアメリカの学者が「機能不全」の徴候として以下を挙げている。
    「家庭になんらかのルールがある、役割分担がある。家族に共有されている秘密がある、他人が入り込むことへの抵抗がある、プライバシーが保たれない、家族への忠誠が要求される、家族間の葛藤や対立が否認され無視される」など。
    この反対が「完全に機能している家族」である。あり得るか。
    この映画を「家族について考えさせられた」という人は家族とはどのようなものを想定しているのだろうか。話をきいてみたい。

  • すごくリアルだった。
    いっさい隠し事をしないってやっぱ難しいんだろうな。たとえ家族だとしても言わない方がいいことってあるんだと思う。『ばれない嘘はうそじゃない。』すごく響いた言葉でした。
    でもやっぱり最後の終わり方見てると家族って深い所で繋がってて最後の自分の支えでもあるんだなと思った。

  • おうおうおう、気持ち悪い映画だな、おい。
    家族映画がなんだかやんわりが多い中、
    これはぐるぐる回るわ、ゆらゆら揺れるわ、気持ち悪い。
    気持ち悪い、ほんと笑。

    これがラスト、ハッピーエンドなのかどうなのか、不安な後味。
    それは、たぶん成功していることなんだなあと思いました。

  • 最後の方のシーンが結構きもい!!!
    家族についての映画だが、若干家族全体というよりも母親の重いだけが強すぎてあまり全体的な家族としての役割をえがかれていたわけではないかと。母親ならわかるかも。。。この映画のよいところ。。
    思い込みの引き起こす恐ろしさ、映像がそれをあらわしているけど、実際問ここまでいくと精神病の映画としか思えない。
    もっと早く【愛】というものを出していたらこんなに重々しい感じにはならなかったかも。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。1991年、阪本順治監督の『王手』の脚本家として映画界に登場。その後、阪本順治監督『ビリケン』(1996年)の脚本を手掛けた他、演劇部隊や劇画の原作なども手掛ける。1998年、千原浩史(千原ジュニア)主演『ポルノスター』で監督デビュー。その年の日本映画監督協会新人賞を受賞する。2001年に初のドキュメンタリー映画『アンチェイン』を監督。2002年には人気漫画家・松本大洋の『青い春』を松田龍平主演で映画化し、大ヒットを記録。ドイツのニッポン・コネクション映画祭で観客賞を受賞。2003年『ナイン・ソウルズ』、2005年、直木賞作家角田光代の原作『空中庭園』(主演:小泉今日子)を監督。2009年『蘇りの血』(主演:中村達也)、2012年『IM FLASH!』(主演:藤原竜也、松田龍平)、2014年『クローズEXPLODE』(主演:東出昌大)を監督。2015~2016年舞台『怪獣の教え』を演出。2018年『泣き虫しょったんの奇跡』(主演:松田龍平)、2019年短編映画『狼煙が呼ぶ』を監督。2020年ドキュメンタリー映画『プラネティスト』が公開。

「2021年 『7.24映画戦争2019-2021』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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