本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
感想・レビュー・書評
-
「講座・現象学」シリーズの第2巻で、現象学における主要なテーマについての論文が収録されています。
とりあげられているテーマは、「現象学の方法」「自我と時間」「身体」「物と空間」「世界と自然」「人間存在の社会性」「人間存在の歴史性」「人格と倫理」です。ただし、執筆者によって、論文のスタイルに大きなちがいがあります。「現象学の方法」の章を執筆している立松弘孝や「自我と時間」の章を担当している成田常雄は、フッサールの議論に緻密な検討をくわえ、それぞれのテーマがフッサールの思索のなかでどのように考えられていたのかということを明らかにしています。
他方、市川浩が執筆している「身体」の章や、山崎庸佑が執筆している「人間存在の社会性」の章では、執筆者自身の現象学的考察が展開されています。とくに市川は、フッサールやその他の現象学者たちの議論への参照はほとんどおこなわれておらず、自身の身体論をもとにさまざまな哲学的問題へと思索をひろげています。
木田元が執筆担当の「世界と自然」の章は、フッサールからシェーラー、ハイデガー、メルロ=ポンティへといたる現象学運動のなかで当該テーマがどのように展開されていったのかということをコンパクトに解説しており、バランスのとれた論考になっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山崎庸佑「人間存在の社会性」
全2件中 1 - 2件を表示