夜明けの土地 (1977年) (集英社文庫)

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  • まだ学生の神代は、御曹司の長女でガラスデザイナーの波津子の男を寄せ付けないミステリアスな部分に惹かれ、結婚を申し込む。しかし、神代も波津子も素直になれず別れ、そのまま5年の月日が流れてしまった。御曹司の次女の三絵子と、友人で三絵子の恋人笛木に後押しされ、神代は波津子にもう一度会うことを決意するが…。

    昭和な小説であり、純文学というわけでもないが言う手も何も起きないし、結局見るべきところは神代と波津子が素直になれない気持ちをいかに変えていくかということを、外から眺めた部分で察するという小説である。

    古いタッチの小説のため、読みにくいかと思ったが全くそういうところもなく、比喩や情景描写でこねくり回す用のものもない。素直に文章を読むことができるし、特に気合を入れないと読めない小説ではない。

    一方で結核、八郎潟など、あの時代でないと感じられない部分も多々あるうえ、起伏のなだらかさで、読み進むがつかめないという感じもあろう。

    終盤で三島由紀夫や川端康成的なデカダンに近いことが起こったりもするが、最後も日本映画的。

    ちょっと古いかな。

  • 2015.09.02

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