工作者宣言 (1969年)

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  • 「秘島図鑑」つながり。今は無人島だけれど、その昔、人の暮らしがあった、臥蛇島に心惹かれて、著者が、臥蛇島について書いた「びろう樹の死時計」の章を読みたくて。まだこの時は、十年後の島民全員移住だなんて思いもせず。/かつお漁が盛んで、薩摩への年貢として運び。”なにしろ御一新前には島津の殿さんも「臥蛇の船はまだか、まだか」と待ちこがれていたといいますからな”/「だがほんとに苦しかったのは、祖国復帰直後のことです」蘇鉄を食い、びろう樹を喰らい、官吏の全島移住、無人牧場案にも首をふりつづけ。/「ここは私たちの島です。先祖代々、私たちが育ててきたのです。村じゃなくて私たちです。私たちにとってかけがえのない唯一の存在の場は日本でもなければ鹿児島県でもなく、十島村でさえもありません。この島です。私たちは臥蛇であり、臥蛇は私たちなのです。」/私は神役が世襲でないことよりも、神意によって生涯それをおしつけられるのでなく、人々のなっとくする理由さえあれば辞めてもよいということに興味をおぼえた。/限界状況のなかでこそ人間は生を意味づけるための旗を必要とするのだ。そのために善意と啓蒙が何の役割も果たさないのは、私の短い滞在のうちに幾度となく思い知らされたことであった。たとえば燈台のテレビは十島一の文明を誇る中之島の二十数名が新鋭動力船にのりこみ二十九キロの海上を渡って見にくるほどの魅力をもっているのであるが、それとても奇妙な食いちがいの上に成り立っている娯楽なのである。/

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