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- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
感想・レビュー・書評
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「変目伝」によって、深刻・悲惨小説の作家としてその名を高めた広津柳浪。
その後は、題材のどぎつさが作品の中心となったが、それゆえ当時の批判はその点に集中しがちであった。
そこで、あえて尋常の人物を題材にしたのが「今戸心中」であった。
心中ものや、遊女/遊郭が描かれることの多かった当時であるから、「今戸心中」も当然そうした流れの中で読まれたことだろう。
とくに、樋口一葉との比較は、内容のレベルでも、また文体のレベルでも大変面白い。
同じ遊女を描いても、一葉と異なり柳浪は、吉里をあくまでも男の視線から描き出す。
さらに、心中という題材とその結末の描き方にしても、たとえば「今戸心中」と「にごりえ」では大きく異なる(逆にそれ以外のところはそっくり)。
なぜ、柳浪は明らかなかたちで心中を描かなかったのか。
そこにこの作品の限界と可能性がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「変目傳」
「今戸心中」
「雨」
なんで?と問いかけ責めることをためらうような、どうしようもない不幸と寄り添って生きてしまう人たちの話。 -
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