息もできない [DVD]

監督 : ヤン・イクチュン 
出演 : ヤン・イクチュン  キム・コッピ  イ・ファン  チョン・マンシク  ユン・スンフン 
  • Happinet(SB)(D)
4.10
  • (177)
  • (219)
  • (81)
  • (19)
  • (2)
本棚登録 : 1006
感想 : 210
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953029743

感想・レビュー・書評

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  • 見終わったあと、いろいろ感想レビューをよんだが、これはかなり観る人を選ぶ映画です。

    ほとんどの方々はこの映画をただの「お話」や「作品」だと認識しておられる様ですが、これは「リアル」です。現実なんです。
    見始めてびっくりしました。これはわたしの過去であり、現在であり、やがては触れなければならない将来です。本当に経験したことのある人にしかわからないです。暴力を振るうサンフンの表情も、暴力を見ているヨニの表情も実際に見たことがあります。レビュー内で、感情移入出来なかった的なことを書かれている方も何名かおられましたが、現実味がなかったですか?私も実際に経験したときは現実だけど現実味がなかったです。これが現実だと思い出すと絶望でした。これは、こういう話です。韓国だから日本だからとかそういう話ではないです。どこにでもある話です。暴力がそこにあるかぎり。

    実際なはなし、暴力で育ったものはもう暴力から逃れることは出来ません。それは暴力を振るうことも振るわれることもなくなっても。サンフンも暴力で育ったから暴力や暴言以外のコミュニケーションが上手く出来ないんです。ほんとうはもう断ち切りたいのに。

    暴力から生まれる感情を誰かにわかって欲しいけど、わかってもいないくせにわかった気にはなって欲しくないんです。監督ヤン・イクチュンもそうだと思います。なかなかよくわからないでしょう?だからこの映画は人を選ぶんです。
    でも、こういうことが世の中に散らばっていて、今もこのやるせなさから脚をとられている糞蠅がいることを知っていて欲しいです。

  • 寝る前にこの映画を見たら、ざわざわして夜うなされてしまった・・・。

    心に傷を負ったヤクザと少女の交流というと「レオン」みたいな話かと思いきや、あんな心温まる(?)話ではなく、2人の抱える家庭状況の悲惨さは救いようがない。このドロドロした「恨」は韓国映画の真骨頂。

    借金の取立てをしている主人公が「今日でこの仕事やめるよ~」「甥っ子の学芸会を身に行くんだ~」と言う時点で死亡フラグが立つわけで、ここでしらける人もいそうですが、残された人たちのラストシーンでの笑顔を見ると、彼が不幸と暴力の連鎖を断ち切るために我が身を犠牲をしたのでは、と思えてきます(2人が恋愛関係になかったことにも救いがあります)。とはいっても、彼は新たに1人の凶暴な男を目覚めさせてしまっているわけで、不幸と暴力の連鎖は続いていることが示唆されます。この終わり方には胸がざわざわします。

  • すきなせりふがあったけどわすれてしまった おもいだされたときしるす

    つたえたいことみちびこうとするおもいやかんがえがあってのことだとしても、殴られる方には暴力を振るわれたことだけが真実だ (かきたすかも)

  • し―ば―ら―ま―
    し―ば―ら―ま―

    なんとまぁ汚い言葉ばっかり笑

    字幕映画は苦手やけど、この作品は、吹き替えてしまったら味がしなくなると思った。

    これ以上ないくらいにパツンパツンに張り詰めた人間関係。
    子供から見て、母親に手をあげる父親ほど腐ったものは他にないと思った。

    漢江での膝枕のシーン。
    泣くのが下手な彼の涙にグッときた。
    泣き方なんて忘れてたんやろな。
    とっくの昔に通り越してた感情は。

    何も残さず、未来なんて願ってないような彼の生き様は、孤高で悲しい。
    どんな過去を持っていようと、今どんな辛い状況で生きていようと、そこから暴力が生まれていいはずがない …とは言い切れなくなってくる。

    最後、中途半端に染まった気の弱い兄の行動が、母親の敵討ちになったことだけがこの物語の救いかな。

    2012年01月03日 

  • なんて映画だ!という想いが最後になるにつれ右肩上がりだった。韓国版レオンという印象も強い。

  • 暴力の中で育ち、愛を知らないヤクザが暴力に怯えず、自分に対等に接する少女に出会い、人と向き合い接する事を知る。
    姉や甥、事務所の社長、そして憎み続けている父親。こんなに近くに自分を愛してくれている人たちが居ることに気付く。
    ヤクザから足を洗い、少女と皆と共に陽の当たる世界で生きていこうとするが、犯した罪は消えず。無情にも暴力の因果に殺される。

    あとに続く看取るシーン、一人のヤクザもとで集まったそれぞれ無関係の人々が本人がいなくなった後も集まり、笑い合うシーンは胸を締めつけ
    まさに息もできない

    ラストシーンで少女は弟とヤクザを重ねるが
    弟を救えるのか、それとも母親のように…

  • ☆☆☆☆

  • こ、これも凄かった…。
    この作品はたまたま目に止まっただけ。
    でも強烈…何度肩に力が入ったことか。
    見終えて、ただただ放心状態な今。

    負の連鎖、だけど、人との出会いや触れ合いで変わっていくもの。
    その過程の、主人公の表情が印象的だった。無表情から、喜怒哀楽を見せていく様子に救われた。

    愛情をもって接しているはずだけど下手すぎて、それが憎悪に変わる。主人公は下手すぎただけなのだろうなと。
    あの件も、下手さゆえの、誤解が産んだ悲劇。そんな気がした。

    主人公の存在が繋げた人たちの最後の笑顔に、胸が熱くなった。

    うん、これも、とても好きだ。

  • ズッしりと強烈やったな。

    ほんまに、罪な親はあかん。
    負の連鎖やな…。

    >_<

  • 劇場でも見たけどやはり素晴らしい

  • 息もできない。言葉も出ない。胸が苦しい。
    言葉をどれだけ重ねてもこの映画を言い表したことにはならない。理屈じゃないのだね。
    頭から頭への映画ではない、肌から肌への、魂から魂への映画。

    世の中にはたくさんの人たちがどん底の中でもがき、傷つきながらも生きている。
    生きることの価値が感じられないような生活で、地べたを這いずり回って暮らしている人たちがいる。

    それでも生きろ、生きろ、とこの作品は訴える。
    そんな直球すぎるテーマはともすれば作品全体がひどく陳腐になってしまいかねない取扱い注意の諸刃の剣なのだけど、この作品の説得力たるや凄まじい。
    作り手自身の、必死な思いで生に食らいつき現実に向き合う姿勢が画面を通して伝わってくる。だからこんなにも心にまっすぐ届くのだろう。
    (というかね、顔がとにかくいいよね、ヤン・イクチュン。優しくて怖くて、不器用で感情表現が下手、どこかあどけなさが残っていて根はイイ奴の代名詞的な顔)


    ラストも素晴らしい。

    あそこで監督は「彼」を、「彼ら」を、それでも許すべき存在だとみなしたのだと思う。許すに値する存在だと。その“許す”ということがどれだけ難しいことかを作品内で描いた上で。だからあのラストは重く響く。
    「そいつには誰かが必要なのだ。誰かが救ってやらなければならない。放っておいてはいけない。新たな暴力が生まれる前に。救いようがなくなる前に」
    なんとタフな優しさだろう。
    「許し、助けてやらなければならない相手がそこにいる。どうかその人を、見捨てないでほしい」
    それがいかに難しいことか、生半可な覚悟じゃできないかを誰よりも知っているであろう監督からの密やかな叫び、痛切なる願い。

    決して綺麗事ではない。この映画のどこにも綺麗事はない。世界が陰惨であるがゆえの祈りがただそこには込められているのだと思う。

    そしてあるいは、というかつまるところ、この映画はこうも発しているのだろう。
    「あなたは救われなければならない」

  • すごくよかったと思う。
    ヤクザというかチンピラと、女子高生が次第に邂逅していく物語が個人的に好きなのもあるが、何よりも演者さんが本当にみんな素晴らしい演技をしていた。
    主人公・サンフンの中にある憎しみや悲しみ、そしてどうにもできない寂しさと愛しさがすごく胸を打った。
    家族へのどうにもならない憎しみと愛情がないまぜになって、葛藤の先の葛藤を生み出していたと思う。
    ありきたりなストーリーといえばそうなのかもしれないけれども、すごく泣けたし、表現が本当に良かった。

  • どんなに憎んでも憎みきれない存在と行き場の無い怒りや悲しみの表現がリアル。
    絡み合う因果応報の先がドラマチックで観終わった後は深いため息が出た。
    良い映画を観ました。

  • 今まで観た韓国映画の中では一番。
    そんな括りをとっぱらってもベスト級の秀作でした。

    韓流暴力エンターテイメントはあまり好きじゃないけどこれは別物。

    無意識にも心の奥底で愛情を渇望しているサンフン。
    彼の暴力は胸をかきむしるような行き場のない感情の炎。
    これも「愛のむき出し」だ。

    とにかく観るべき映画。

    サンフンとヨニの漢江の岸辺でのシーンがたまらない。

  • 韓国のわめいたり、号泣したり、暴れたり、狂ったりする映画がまたぞろ文明社会で賞賛を浴びていると苦々しく思い公開時はまったく見る気がしなかったけれど、実際見てみたら素晴らしかった。

    主演はどこの演技上手なヤクザを拾って来たのかと思うぐらい、ヤクザ者の役柄がはまっていたが、ヤン・イクチュン監督本人と知りさらに驚く。

    親の暴力により大変不幸な家庭環境で育ったヤクザ者の主人公が、“理解者”らしき女子高生の友人を得て、ヤクザ稼業から足を洗うと決意するも、時すでに遅し、主人公がばらまいた暴力、怒り、呪いの種は、彼自身の首を絞めることになる。。。という話。監督は地方の映画学校出身で、長編第一作目。これだけ洗練された作品を撮ってしまうとは、ちょっと信じられない思いだった。凡百の韓国映画との違いは何だろう。。。娯楽性がありながら、概要を限りなく抽象化できるところかなと思った。

  • 家庭内暴力と暴力の連鎖がテーマになっているため,バイオレンスシーンが多い.ただ,それは暴力に対する嫌悪を引き起こすという意味で成功しているのかもしれない.「殴るヤツは自分が殴られると思っていない」という主人公の台詞は,この映画のハイライトだろう.

  • いいとか悪いとかおもしろいとかおもしろくないとか。なんだかもうそういう次元ではなくて。

    死んでしまえばいいのにと叫びながら心の奥底では生きてほしいと願っている。全てがくそくらえだと思いながら世の中にはまだもっとあたたかいものがあるんじゃないかと探している。

    毎日は苦しくて、痛くて、叫んでも、なかなかその声は届かない。
    やっとみつけた光は掴もうと手をのばすと霞んでしまう。
    それでも、見つけたい。信じたい。愛したい。

  • 冒頭、ちゃらちゃらしたわかい男が罵声をあびせながら水商売風の女をなぐっている。そこに坊主頭のチンピラが乱入してきて男をボコボコにするのだけれど、直後「なぐられっぱなしでいいとおもってるのかあばずれ!」と女にも立て続けにビンタが飛ぶ。きょとんとする女。きょとんとするおれ。なにこのギドク・ワールド!とおもったが、それははじめだけで、オープニング・クレジット以降は意外とオーソドックスな物語だった。母と妹を父に殺されたサンフン(監督、主演のヤン・イクチュン)母を亡くしボケた父のめんどうをみながら淡々と家事をこなす勝ち気な女子高生ヨニ(キム・コッピ)悪友の紹介でヤクザに弟子入りするヨニの弟ヨンジュ(イ・ファン)サンフンの上司で孤児のマンシク(チョン・マンシク)そしてサンフンの甥ヒョンイン(キム・ヒス)と腹違いの姉でシングルマザーのヒョンソ(イ・スンヨン)かれらは傷つき、孤独を抱えた人々で、血縁や家庭にがんじがらめにされつつも、みんなひとりぼっちだ。最悪な邂逅をしたものの奇妙な縁でむすばれたサンフンとヨニを通じて、そんなかれらがよりそいあう。出会い頭に唾を吐きかける男とふつうは仲良くしないものだから、ふたりが親しくなるのは通常ならば奇異なながれだろう。でもこの映画においてはそれがごく自然なことにかんじられる。片方が女子高生で片方がすこし年嵩の男だけれど、年齢差もぜんぜん気にならない。そのつながりの夢のような儚さは、ガッシボッカとかじゃなくペシペシという打撃音と同様リアルだ。役者たちの面構えもいちいちすばらしい。

  • 3回泣きました(ToT)
    主人公がどうしようもない奴なのに何故か魅かれていきます。
    登場人物の全てが本当にいそうなリアリティを感じるほどすばらしい演技をしています。
    最初の登場シーンで主人公サンフンがどういうキャラなのかをたった数分で表現。この主演・監督のヤン・イクチュンが只者でないことがわかります。
    そこからラストまでまったく無駄がなくあっという間です。

  • 評価の高い映画だったので観てみたが、私にはこの映画の良さが全く理解できません。面白くないです。

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