新幹線大爆破 [DVD]

監督 : 佐藤純弥 
出演 : 高倉健  千葉真一  宇津井健  山本圭  丹波哲郎 
  • TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
3.66
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988101160495

感想・レビュー・書評

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  • 「ひかり109号に爆弾を仕掛けた」
    鉄道公安部にかかってきた電話。犯人は告げる。「新幹線が時速80km以下になると爆発する」
    犯人は「100ドル紙幣で500万ドル(当時の価格で15億円だそうだ)で」と要求する。
    博多までノンストップで9時間。乗客は1300人。
    警察の合同対策本部、鉄道公安部と、犯人の知恵比べが始まった。

    犯人グループリーダー沖田に高倉健、鉄道司令の倉持に宇津井健、ひかり109号運転手に千葉真一などのトップスター大集結!ちょい役でもなかなか豪華な俳優が出ている。ウルトラマンの黒部進もいた 笑
    さすがトップ俳優を集めたこと、そして2時間半の長さのため、新幹線爆発危機のアクションパニックの面だけでなく、警察庁の捜査、爆発の分析、そして犯人グループ三人の人間関係や過去も丁寧に書いている。
    犯人は、自動車工場が潰れた沖田、集団就職で東京に来たヒロシ、学生運動の過激派マサルだ。彼らは自分を見捨てた社会に対して「誰も殺さない、誰も殺されない完全犯罪」を目論んだのだが、そんなものができるはずがない、取り返しの付かない事態も起きてしまう。

    次々に起こるトラブル。
     前の新幹線が故障したのでギリギリ速度を落とさなければいけない。
     乗客がもう暴動寸前とか。乗客には、金を握らせて止めようとする商社マン、パニックの様子を撮影しようとするテレビクルーもいる。でも死の新幹線に1500人も乗っているにしては乗客大人しかったよ。
     新幹線で博多に護送される犯人が15人乗っていて(この設定必要だった?)、その中のひとりは沖田たちの犯行を知っている者だったとか。
     乗客に妊婦がいて、出産が始まってしまって危険な状態になる。
     そして金を受け取った沖田は爆弾解除方法を記したメモの場所を伝えるが、その場所は警察が取りに行く前に火事で燃えてしまうという有り得ん不幸な偶然まで起こる。

    そして警察も犯人もドジを繰り返すので、鉄道司令は警察にイライラ、現場運転手は指示する司令にイライラ、そして視聴者としても「犯人!現場に遺留品遺すな!」「警察!こんなド素人犯人を何度も取り逃がすって何よ」という感じがちょっとしてくる 笑 2時間半全然退屈しなかったからいいんですけどね。
    映画『スピード』の元にもなっているので、元ネタがこれかーという場面も色々ありました。
    しかしアメリカのエンタメ映画と違いこちらの映画では、不幸なことが起きたり、自分の決断が許せない人がいたり(大勢を救うために少数を殺していいのか?その決断をするのが自分だったら?)、社会問題も透けて見えたりと、奥深い造りになっていると思います。

    この映画は、国鉄が「新幹線が危険と思われるような題名、そして類似犯が出るかもしれない」ということで協力を得られなかったらしい。そこで駅や新幹線走行の場面は、隠し撮り(!?)とミニチュアで創ったそうな。うん、ミニチュアは見ていてわかるのですが、不自然さは全く無くて良かったです。映画作成チームの根性を見ました。
    映画では、新幹線がどんなに安全で、関係者がどんなに誇りを持っているか、そして複雑な新幹線をどうやって管理しているかちゃんと描かれていましたよ。犯行も「新幹線の安全対策を犯人に逆手に取られた」からだし。

    2時間半の長さでしたが、犯人側、警察側、鉄道司令側、現場側とすべての事情が書かれ、全員の懸命さもみられ、なかなか楽しめました。

  • ニコニコ動画の高倉健追悼一挙放送の1本として視聴しました。
    以前からちょっと見てみたいなあと思っていたので、ちょうどいいと思い拝見しました。

    「ひかり109号に爆発物を仕掛けた。時速80㎞以下になると爆発する」という強迫電話が国鉄にかかる。
    乗客1500人の運命は?!犯人の目的は一体?!
    映画は新幹線の人々、国鉄管制室の管制官・警察の人々、犯人グループと目まぐるしく場面が変わり、スピーディにテンポよく話が進んでいきます。
    何故か犯人である高倉健さんを応援せずにはいられない(笑)
    というか、警察がもうなんだこいつら殴りたいという気持ちになり、新幹線の運転士である千葉真一さんには落ち着いて!でも頑張って!となり、管制官である宇津井健さんにはそりゃあ辞めたくもなる…と同情し…。
    どの登場人物も思わず感情移入してしまうお話でした。

    中々、手を出すことができず見ていなかったのを悔やむほど面白い映画で、当時の日本映画の勢いを感じることができ、見てよかったなあと思いました。
    映画「スピード」の元ネタであったそうで、所々ああっこんなんあったなあ!という感じで楽しめたので、そちらのほうも見ておくと二度楽しめます。

  • まず、新幹線の爆破を題材にした着眼点が素晴らしい。犯人、警察、国鉄のそれぞれの立場から描かれるドラマ。キャストも豪華で、もったいないぐらいの使い方。こんな映画が日本にもあったとは。

  •  これ,スマホが当たり前の社会では,絶体に考えつかない設定の映画だね。スマホがあったら,すぐにいろんな情報がみんなに伝わって,こんな映画の展開になるのは無理。そういう意味では,なかなか貴重な映画だわ。
     昔の新幹線がカッコイイ。すれ違うところとか,並行して走る場面なんて,なかなか…。鉄道ファンには,新幹線の管制塔みたいなやつ(国鉄管制室)が出てくるだけでもうれしいだろうな。そういえば,国鉄ももうないや。
     世界に誇る超特急新幹線を舞台にし,日本人の有名な役者が勢揃いして作り上げるた映画は,確かに見応えがある。
     高倉健を始めとして,宇津井健,千葉真一,山本圭,織田あきら,田中邦衛,丹波哲郎などなど。まだいっぱい出てくるよ~。
      犯罪の動機は説明されるのだが,いまいち,必然性に欠けるのが残念。

    《NHKプレミアムシネマ》の解説より
     ある日、国鉄本社に、東京発博多行き新幹線ひかり109号に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が入る。爆弾は、時速80キロ以下に減速すると爆発するようセットされているという。さらに犯人は、いたずらでないことを証明するため、貨物列車を爆破し、
    500万ドルを要求する。犯人、警察、鉄道職員の息詰まる攻防は.…。
     高倉健はじめ、当時のオールスターキャストで映画化、海外でも高く評価されたパ
    ニック・サスペンスの名作。

  • 新幹線に爆弾を仕掛けた男たち。時代設定は公開年と同年代、70年代前半とみていいのか。高度成長の後、石油ショックの影響で世の中なにか落ち込んでた。経営する下請け工場が倒産した男(高倉健)、学生運動崩れの東大中退男(山本圭)、中学卒業後集団就職で東京に出てきたが職場を転々としている若者、この時代と社会から弾き飛ばされた男たちが爆弾をしかけ金をとろうとする。・・がちょっとその動機の描き方が弱い気がする。

    国鉄という言葉もなつかしい。運航司令塔の宇津井健、警察の丹波哲郎、それぞれがイメージ通りの役で演じている。若い。もっと短くてもいいかも。

    1975日本
    2020.5.12BSプレミアム

  • 晩年の健さんは数年に1作の割合で映画が作られた。健さんによる健さんの為の映画。そして、観る側は健さんを堪能する。主人公は健さん そのものという感じがした。

    この映画、健さん主演ではあるけど、健さん一人がメインではない。その当時の一線級の俳優陣も五分に渡合っている。特別出演になっているが、この当時から丹波哲郎は偉い役を偉そうに演じている。

    今から45年前の公開。この当時の事は記憶はないが、どこか懐かしさを感じる。新宿高層ビル群のビルが建設中になっていた。電話が黒電話。録音の大きなテープレコーダー。刑事の逆探お願いしますのセリフ。幼い頃に見た刑事ドラマの光景を思い出した。博多までの駅で今ある駅がなかったり。当時は最新最先端の機能や装備も、まだまだアナログ感満載だったりしている。

    かえって、それが機械万能ではない、まだまだ人間の手の方が上という物を感じられた。今では作れない、あの当時だから作れて、楽しめる事の出来た映画なんだろうか

  •  1975年、東映。佐藤純弥監督、高倉健主演。『スピード』のモチーフとなったとされるパニック・サスペンス。
     山本薩夫の『皇帝のいない8月』を見たあとだったので、列車系のパニック映画としてどうしても既視感がつきまとう(こちらの方が先なんだけれど)。いや、確かに手に汗握る展開ではあるのだが、そして、高倉健と山本圭と郷鍈治それぞれの背負った物語も時代の刻印を感じさせるのだが、けっきょくどうして彼らが「完全犯罪」を思いついたのかがいまひとつ触れられない。
     だが、犯人の要求を丸呑みしてでも乗客の人命を優先させようとし、ときには警察とも対決を辞さない「国鉄マン」たちの姿勢は、改めて見るととても新鮮で、「人命は地球より重い」という発想を、この社会は何十年もかけて漂白してしまったのだなあ、という感慨に耽る。それにしても「男男」した映画ではある

  • 新幹線に仕掛けられた爆弾は時速80キロ以下で爆発する。
    車内には1500人の乗客がおり、その中には無断でロケをするミュージシャン(岩城滉一)、護送中の犯人と監視する警官、産気づく妊婦と介助する女医、運転や爆弾撤去に忙しい運転手(千葉真一と小林稔侍)などがいる。指令を出す宇津井健と千葉真一とのやりとり、高倉健率いる犯人の一味と丹波哲郎らとの追跡劇、犯人一味らの不幸な半生、家庭内暴力と飲酒などなど。

    失踪するしかない新幹線をメインの舞台にした見事な群像劇だと思った。だけどプロットに既視感があって純粋に楽しめなかった。もしかするとこのドラマをもとにしたドラマがその後作られすぎたからだろうか。もっと早くみておくべきだった。

  • 評価:★★★★★

    最初に本作に興味を持ったのは、関根勤が劇中における宇津井健と千葉真一のやり取りのモノマネをしていたから。

    その後、運良く名画座で上映があり、友人と観に行ったのだが、上映が終了するなり彼は何も言わず席を立ち、早足で出口へと歩き出した。

    映画が気に入らなかったのかと思い、追いかけて聞いてみると彼はこういった。

    「歩き出さずにはいられない、すごい映画だった」

    なんだかよくわからないが、気持ちはわかる。

    本作はそういう得体のしれないエナジーに満ちているのだ。

    物語は東京発博多行きの新幹線に爆弾を仕掛けたという脅迫電話で動き出す。

    犯人が要求するのは現金15億円。

    爆弾は時速80キロまで減速すると爆発する仕掛けになっており、博多に到着するまでの数時間で犯人と警察、国鉄の3者による息詰まる攻防戦が繰り広げられる。

    設定を聞いてピンときた方も多いと思うが、本作は「ハリウッド映画『スピード』の元ネタだ」とよくいわれる。

    広告宣伝の失敗などがあり国内では不入りだった本作だが、その後海外で高く評価されたらしいので真偽はわからないがあり得ない話ではないだろう。

    なお、余談だが北朝鮮のスパイ養成機関では他のスパイ映画、テロ映画などとともに本作も授業の一環として生徒に鑑賞させているらしい。

    高速鉄道網の整備は人々の生活の変化を象徴し、その波に飲まれ、社会から見捨てられた“持たざる”者たちが、“持つ”者たちに一矢報いようと爪を立てる。

    高倉健という人は常に損得のものさしでは測れないものを体現する役者だ。

    そういう意味では本作で犯人グループのリーダーを演じるにはうってつけともいえる。

    観客は彼に感情移入する半面、彼が絶対に勝てないであろうこともわかっている。

    下衆な言い方かもしれないが、犯罪者が主人公の映画において、主人公がどんな風に破滅してくれるのかを観るのはひとつの楽しみ方じゃないだろうか。

    1975年の公開当時(僕の生まれた年!)、たぶんヌーベルバーグが流行っていた影響があるのだろうが、監督の佐藤純彌は高倉健を映像的に「かっこ良すぎず」でも「かっこよく」破滅させてくれた。

    不謹慎にも「こういう風に死ねたらいいな」と思ってしまうような死に方だ。

    最初の「新幹線大爆破」というタイトルが出るところは、いかにもB級映画という感じで、それだけでげんなりして観る気が失せる人もいるかと思うが、そこだけ踏ん張れれば、後はもうラストまで目が離せなくなること請け合いの傑作だ。

  • 1975年作品。時速80kmで爆発する爆弾を新幹線にしかけた犯人を追うパニックムービー。犯人役には高倉健、新幹線の外部管制官に宇津井健、新幹線の運転手に千葉真一。他にも丹波哲郎、志村喬、田中邦衛、竜雷太などスターが集結。豪華なキャスティングに負けじと、次から次へと事件が起こり、回想シーンもてんこ盛りで、飽きさせない演出も見事。

    そのうえ、ストーリーも単に過剰なアクションシーンを盛り込んだだけの荒唐無稽にはなっていない。当時の日本経済発展の象徴である新幹線に挑むのが、そんな経済発展に取り残された中小企業経営者という対照。上からも下からもプレッシャーをかけられる中間管理者の苦悩。地方の若者たちの就職難。そんな社会的テーマも含みつつも、ハードボイルドな娯楽大作に仕上げている。

    とはいえ、爆弾の設計図が喫茶店の火事で消失するというムリヤリな展開は、再考の余地がなかったんだろうか。

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