エンデの遺言「根源からお金を問うこと」 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 昔放送されたNHKの特集を本にしたもの。
    たまに地域通貨とか〇〇券みたいな政策がでるが、お金が回るようにし、地域経済活性化の取り組み、ということか、と。あまり考えていなかったが、たしかにそうだ。
    本はアマゾンではなく、地域の本屋で買うとか、そういうことで雇用が維持されるのだろう。


  • 利益の源泉は、格差である。

    実のところ、ヘッジファンドが
    享受してきたあまりに高い利益の
    源泉は、世界に存在するありと
    あらゆる種類の「格差」である。

    規制格差、為替格差(実体経済と為替と
    の乖離を含む)、価格差、税率格差、
    そしてなによりも貧富の格差。

    すなわち人びとの生活の
    格差なのであり、およそ国と国を
    隔てる「格差」あるところ、
    その間隙を衝いてマネーの
    利益チャンスは無限に広がっていく。 

    それらの格差を生みだすものは 
    それぞれの国を隔てる経済的発展段階の相違に
    由来する格差にほかならず、
    「格差が格差を生む」構造こそが
    「利が利を生む」マネーの運動を可能にし、 
    高度の利益の源泉として
    マネーを支えていることがわかる。


    金とドルの交換停止いわゆる
    ニクソンショック以来、
    お金の価値が、実体のない景気や
    次々とつくられる市場創出によって
    揺れ動くマネーゲームが続いています。

    実体経済とは無縁な膨大な
    投機マネーが瞬時に世界を駆けめぐっています。

    一方で「虚のお金」ではなく、
    自然や人の営みや、他人を思いやる
    心などを支える「実のお金」を
    切実に希求する人も増えています。

    「成長を前提にし、成長を強制する
    性格をもつ現行の金融システムが、
    この競争社会を生みだしている
    根本原因だ」というエンデの言葉について、
    改めて考えさせられます。

    世界はそれと気づかないまま、
    灰色の男たち(『モモ』)に
    支配されているのです。

    しかし、現在の金融システムが
    唯一絶対のものではありません。
    別のお金への模索も始まっています。

    自分のコミュニティを育てあげ、
    サステイナブル(持続可能)な社会を
    維持するための水=お金と考える
    思想が練りあげられているのです。

    交換リング、地域通貨、
    ソーシャルバンクなど試みの
    ありようは多様です。

    地域も欧米、オセアニア、アジアなど
    地球規模に広がっています。

    エンデは「現代の金融システムは
    たかだか数百年で人がつくった
    システムだから、その限界や
    不合理に気づけば変えることもできる」と
    希望を語っています。

    僕は個人的には、お金を「時間」と
    交換するものと考えています。

    美味しいものを食べること、
    家族を一緒に過ごす時間、
    旅をする時間、
    それを交換することができる
    お金は素晴らしいものと思っています。

  • 途中、経済の専門的な内容やら、これまでの経済の歴史やらがありさらーーっと流し読みした部分もあったけど、いい本でした!

    エンデは『時間』と『お金』のことをどんな風に、
    児童文学にのせて伝えたかったのか??この本でなんとな〜く形が見えました。

    素人考えで、膨張し続ける経済はおかしいし、かと言って不況も困るよなー。なんて思ってたのだけど

    寿命のあるお金、というか、価値が減っていく通貨というか、地域限定通貨みたいな物に希望がみえました。
    溜め込むから悪循環なんだけど、貯金ないと生活心配じゃないですか。そこでの、『使わざる得ないお金』いいルールだと思う。

  • 題名のとおりお金を根源から問う内容。お金は腐らないばかりかプラス利子が増殖し時に暴走する。複利の効果は現在の預貯金の超低金利では実感がないが、その効果は指数的で際限のないものになる。未来のお金を考えさせられた。

  • 物々交換を滑らかにするための手段だったお金が、利息や利子によって利が利を生むことを持って至上とするお金になってしまったことに警鐘を鳴らす。そして、その解決策の一つである利子のない世界を幅広く紹介する本。

    詳細は下記。
    https://note.com/t06901ky/n/n9bc6d68265b1

  • シルビオ・ゲゼルの自由貨幣について書かれている。ゲゼルの入門書的な内容だ。
    Twitterなどの経済関係のtweetでもあまり出てこないマイナー思想だが、とても理にかなっている。もっと掘り下げて知りたいと思う。

  •  「経済は友愛で成り立っている」
     今の世の中だと、不相応な言葉に思えるが、理由を読んでみると、納得できた。
     友愛に対し、友愛で答えれば、理想的な世の中なのだろう。
     だとすると、今の世の経済による貧富の差は、
    自由競争を言い訳にして、友愛に対し、同じだけの愛で答えず、その差額を儲けに費やしたものなのだろうか。

  •  既存の経済学に挑戦すると息巻いておきながら、そもそも経済学の基本的知識がかけているのでは。。

  • お金そのものが商品化され、利子によりお金が自己増殖するシステムは「ガン細胞」のようで危険と著者はいう。

  •  お金とは何か? 『モモ』や『はてしない物語』の作者として有名なミヒャエル・エンデの生前インタビューをもとに、著者らグループが綿密な取材に基づいて構成した渾身の一冊。漠然と感じていた現代通貨システムへの疑問を明確にしてくれると同時に、不安と絶望をも突きつけられた。

     金本位制における貨幣は金の代用品であり、現物の金によってその価値を裏付けられていた。では現在の制度における貨幣の価値は何によって裏付けられているか? 教科書的には「国家の信用」であるが、それは要するに何によっても裏付けられていないということだ。薄々感じていたことを本書ははっきり指摘している。

     ドルも円も、何によっても担保されていない。だからこそいくらでも発行できる。お金でお金を買って利子が付いて、資産が青天井に膨れ上がる。しかし、この世に存在する商品(お金で買えるモノやサービス)の総量をはるかに越える通貨が存在するということは、何を意味するのだろう。この経済は本質的にバブルだということではないのか。

     さて本書の中ではゲゼルの自由貨幣を初めさまざまな形での通貨が紹介されている。それらはいずれも国の中央銀行が発行する通貨とは異なるシステムで運営されている。残念ながら日本では日本銀行券以外の通貨を発行することは禁じられているが、米国を初めいくつかの国では条件付きで合法のようだ。

     ただぞれらはいずれも小さなコミュニティの中でしか成立していない。日本全体のように規模の大きな経済圏で通用させるにはシステムが脆弱すぎるだろう。しかし、いつかは円もドルも致命的な破綻を迎えるのではないか、そんな心配がふつふつと湧いてくる。

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著者プロフィール

1948年生まれ。
映画監督。大正大学特命教授。71年東京大学法学部卒業。NHKディレクター、プロデューサーとして『がん宣告』『シルクロード』『チベット死者の書』『エンデの遺言』などを制作。長編ドキュメンタリー映画作品として『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ"』『大津波3.11 未来への記憶』『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』がある。

「2017年 『むのたけじ 笑う101歳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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