- Amazon.co.jp ・電子書籍 (191ページ)
感想・レビュー・書評
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3.5
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「感動」とは感情が動くと書き、決して心に対して良い影響ばかりを指すものではない。
人間は人間の神になることはできないのに、恋はそれを叶えてしまう。不完全な神と不健全な関係性は理性と幸福に対する理念を破壊する。特に神になり得る場合というと、自分には手が届かない存在であるから尚更だ。
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青年期特有の愛に悩みや生に対する自由意志を露わにするウェルテルは、人間や事物に対する考え方が偏屈でなく素直すぎている。センチメンタルな人間は、他人に流されやすく自分の中の考えが悪い方向にいきがちだが、ウェルテルは少し違う。
明確な目標や考えが根底にあり、ロッテへの深淵なる愛情が自分の身を持ってこの世に証明をするべく生を絶ったと思える最後だった。愛がが認められなくて、ただ愛を苦悩として受け取るには継続的な生を受け入れられなかった。
ゲーテは同じ様に愛に苦しんだが、自死から逃れるために逆説的小説に仕上げたとも言える。死は美化出来るものでは到底ない事、この小説を保って肌で感じられた。
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20代のときに読んだのとはまた違った印象を受け、味わい深かった。死ぬまでにまだ1、2度読み返したいけど、読み返せるだろうか。
2019年6月24日(月)kindle版を購入。同日読み始め7月5日(金)に読み終える。書籍版を持っていたけど、人にあげてしまったのでkindle版を購入し直した。 -
ゲーテによる若者のためのメンヘラ小説。
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独りよがりな感傷だって美しい。
自分の中に閉じこもっていてろくに相手を見なくて、仕事の方も成果が出ない。そんな心境というのが全然遠くなくて、退屈もなく読めた。それはゲーテの書き口の普遍性ゆえなのか。
一高的な〜とかロマン主義的な〜とかといったものが、初めて違和感なく受け容れられた気がする。
もっと感情に素直に生きようかしら。