若きウェルテルの悩み(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 3.5

  • 「感動」とは感情が動くと書き、決して心に対して良い影響ばかりを指すものではない。

    人間は人間の神になることはできないのに、恋はそれを叶えてしまう。不完全な神と不健全な関係性は理性と幸福に対する理念を破壊する。特に神になり得る場合というと、自分には手が届かない存在であるから尚更だ。


  • 大学のレポートのために読んだ。
    そのレポートでも感想を書いたので、それを記録。

    ウェルテルがロッテに出会った後、見事に絶望に陥っていく様が描かれていたと感じた。その端々には、現代を生きる自分自身と重なる感情も多く非常に面白かった。
     例えば、ウェルテルの持つ「不機嫌」についての捉え方である。「不機嫌というやつは怠惰とまったく同じものだ。」「一種の怠惰なんですから。そもそもそれにかたむきやすいんだけれど」など、個人的に向き合っていかないといけないと感じている「機嫌」について、250年ほど前からやっかいなものをして扱われ、それぞれ対処する方法を考えていることを知ると、少し気持ちが楽になるような気がした。
     物語の終盤では、突如「編者」が現れ、これまでウェルテルの書簡で話が進んでいたものから雰囲気が一気に変わり、どきっとさせられた。自分自身は正直、あるひとりが自白するような形で進む物語が苦手である。今回の本の前半部分はまさに、ウェルテルひとりの目線で物語が進んでいくため、苦手意識を抱えたまま読み進めていたが、この編者が現れたタイミングから、ぐっと一層引き込まれたように感じた。
     ただ、今回の物語においては、ほとんどウェルテル自身が考えていることが書き記されている文章だけで話が進んでいくことによって、進むにつれて、いかにウェルテルの思考が錯乱していくのかが伝わりやすくなっていたと感じる。当初は登場する人物も多く、起きた出来事を説明するような描写が多かった。しかし、公使の元で働くのを辞めたあたりから、頭の中で湧き出る自分の考えに翻弄されていく様が、日に日に増えていくのが読み取れる。
     また、この突然第三者が登場し、その状況を説明するというのは、SNSなどで本人が発信する情報を元に応援してきた人が、ある日病気になったり、急死した際に、その関係者が現れて事務的にその旨を告知する、その文面を見た時に自分の中に感じる不安感、ちょっとした混乱のようなものに似ていたように感じた。

  • 青年期特有の愛に悩みや生に対する自由意志を露わにするウェルテルは、人間や事物に対する考え方が偏屈でなく素直すぎている。センチメンタルな人間は、他人に流されやすく自分の中の考えが悪い方向にいきがちだが、ウェルテルは少し違う。
     明確な目標や考えが根底にあり、ロッテへの深淵なる愛情が自分の身を持ってこの世に証明をするべく生を絶ったと思える最後だった。愛がが認められなくて、ただ愛を苦悩として受け取るには継続的な生を受け入れられなかった。
     ゲーテは同じ様に愛に苦しんだが、自死から逃れるために逆説的小説に仕上げたとも言える。死は美化出来るものでは到底ない事、この小説を保って肌で感じられた。
     

  • 20代のときに読んだのとはまた違った印象を受け、味わい深かった。死ぬまでにまだ1、2度読み返したいけど、読み返せるだろうか。

    2019年6月24日(月)kindle版を購入。同日読み始め7月5日(金)に読み終える。書籍版を持っていたけど、人にあげてしまったのでkindle版を購入し直した。

  • ゲーテによる若者のためのメンヘラ小説。

  • 独りよがりな感傷だって美しい。
    自分の中に閉じこもっていてろくに相手を見なくて、仕事の方も成果が出ない。そんな心境というのが全然遠くなくて、退屈もなく読めた。それはゲーテの書き口の普遍性ゆえなのか。
    一高的な〜とかロマン主義的な〜とかといったものが、初めて違和感なく受け容れられた気がする。
    もっと感情に素直に生きようかしら。

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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