- Amazon.co.jp ・電子書籍 (232ページ)
感想・レビュー・書評
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車谷長吉という作家の、私小説だからやはり主人公は作者の人物像を相当強く反映しているんだろうなぁ、と思いながら読むと、このヒト、かなりとんでもないな、という気にはなる。私自身はわりかし好きだけれど。
アマ、つまり尼崎に流れ流れて、病気で死んだ豚や牛の臓物を処理して串に刺し、怪しげな飲み屋に卸すという仕事をもくもくとしながら、アパートの個性的な住人とよくわかならい交流?をするという、もう本格的にダラダラとした小説。実にダメ人間でいい感じ。私小説はこうじゃなくちゃ。
映画では寺島しのぶが演じたというアヤちゃんが、それはそれはもう男殺しの魅力的な悪女で描写されていてそれもよし。
かと言って、実際に京都の山奥まで行ってみようとは、これっぽっちも思わなかったけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不気味な文体。
恐るべし、車谷長吉。
生と死が剥き出しに。 -
本屋で追悼とのポップ。作者は姫路市出身で今年の5月17日に亡くなられたようです。それと去年、赤目四十八滝に行ったのでタイトルに惹かれ読んでみた。本屋で買わずKindle版購入。(^-^*)
意味不明単語もところどころ出てくるし難解漢字というか、どう読むのかな?としばし読書スピードが落ちる部分も多いが、それにもかかわらず不思議とスーッと読める。文章がうまいんでしょうね。
「併し」という言葉がよく出てくる。
最初は雰囲気で読んだ気で飛ばしていたのだが1ページに1回は出てくるんじゃないかと思うほど頻発する。
「しかし」って読むんですね。
「突っ転ばし」(つっころばし)、「表六玉」(ひょうろくだま)、「箍が緩む」(たががゆるむ)、「くすぼり」等々。
尼崎、出屋敷を中心に話が展開。西宮、芦屋、大阪曽根崎新地、堺三国ヶ丘といった身近な地名も出てくる。昭和初期のイメージだが実際は昭和40年代後半から昭和50年代前半の話のようです。ヤクザのアンタッチャブルな雰囲気、アマのちょっとヤバイ雰囲気が伝わってくるようで尼崎の街を歩きたくなりました。
映画化もされ、寺島しのぶが入れ墨の女性の役のようだが、ちょっと違うんじゃないかな? -
以前、映画になりました。小説としてではなく、まず映画としての認識がありました。
車谷長吉の作品ということは知らなかったのですが。
ただ、彫師役の内田裕也のインパクトだけが残り、なんとなくそういう映画・そういう話なんだなという曖昧な記憶のみでした。
そういう映画というのは、内田裕也がマンモスコングみたいな風貌でそのまま登場しても成り立つ映画っていうこと。
ちなみにずっと「チョウキチ」さんかと思ってたら「チョウキツ」さんだったのですね。奥付にルビがふられてました。
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「赤目四十八瀧」というタイトルからとりあえず一回は奈良が出てくるのだろうと思ってはいました。実際の舞台は殆ど尼崎。あの、ダウンタウンと勝谷誠彦。そして中島らもを輩出した尼崎です。
その中でも尼崎そのものでもなく、個人的にいろいろと思いのある、出屋敷界隈。
ニオイのある小説という感じ。
香りではなく、あくまでもニオイのある小説です。
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最近は西村賢太のアウトロー的私小説が評価されてます。
以前、西村賢太の事を暴力的なつげ義春と形容しましたが、こちらは関西のつげ義春という感じ。
「心中未遂」とタイトルでいきなりネタバレしてる感もありますが、まあ、それほど重要な部分でもありません。
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主人公は明らかに作者であり、非常にわかりやすい私小説。
新聞の人生相談などもやってましたが、なんか必要以上に年寄り臭い言い回しとかが少し引っかかる感じ。
西村賢太といい、最近の私小説はなんか尾籠な描写や性的描写をことさらミクロ且つ生理的に表現することによってリアリティを出そうとしてるのでしょうか。
荒唐無稽だけど、妙にリアルな話ってありますね。どちらかというとそういうものの方が好みではあります。
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登場人物がやたら出てきて、エピソードも沢山。それが全部投げっぱなしジャーマンなので、なんとかして欲しい感じ。それが作者の狙いなのかも知れませんが。
で、この続きはどうなるのよ。
退屈しないで読めましたけど。