- Amazon.co.jp ・電子書籍 (221ページ)
感想・レビュー・書評
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まず心があってその結果身体の動きが生じる、という通説に疑問を呈し、動きの方が先にあるのだという主張を展開する。
無理にでも笑顔を作ればなんとなく前向きになれることは経験的にも知っているし、姿勢や態度が心に影響することはさほど意外でもない。ただ、本書の後半でも触れられているように、それを実験的に実証するのは難しい。
筆者はかなり様々なアプローチで語ろうとしているが、生物の進化から言葉の歴史まで話を広げた挙句に最後はオリジナルな体操の紹介に至る、正直言って珍妙な本だ。面白かったのは最初の3分の1で、残りは流し読みで十分という印象。
新書というのは難しい専門分野の話を素人向けに解説するものが多いが、時として非主流の新説を考案した研究者が先走って素人を味方につけようとしているかのようなものもある。本書もそういう一冊だと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私は私の意思ですべてをコントロールしていると思い込んでやしないだろうか? 他人の行為の理由を意思・こころだけに求めすぎてやしないだろうか?
現代の主意主義・主知主義・主情主義はどれも身体・自然を疎かにしているのように思う。これは人間の宿命的誤謬なのかもしれない。
コトバのみを知とし思考していてはすぐに限界に突き当たろう。カントの批判もそういうものだったのかもしれない。カントのいう理性の優位を為すためにはもっと身体感覚を養う必要があるのではないか。そこにこそもっと「意思」を働かせるべきではないか。