- Amazon.co.jp ・電子書籍 (414ページ)
感想・レビュー・書評
-
MGSPWでチコが尊敬していたチェ・ゲバラ。そこから興味を持った。生きてれば85歳ぐらい?そんな昔の人じゃないんだ。
スネークみたいな人間を当然に想像していたのだけど、読み終えると違ってた。もちろんそんな側面もあるけど、名家の生まれであり医師であり冒険家であり政治家でもある。でも、真の姿は思想家。
筆者も「ゲリラ」という言葉は誤解をうむといっている通り、誤解をしていた。チェが思想のもとに行った革命は、社会の立て直し(しかも他国)。その行為をゲリラと呼び、また革命を起こしたら次の地へ立て直しに行く。
病的な英雄のその姿は遠い未来からもオーラを感じる。
本の内容としては、勉強不足でキューバやラテン・アメリカの事がさっぱりわからなく、見聞きしたことない人の名前と地名が山ほど出てきて混乱することが多かった。
前半はチェよりカストロの英雄像の方が強くて、むしろチェは病弱な脇役といった印象。日記をベースにしているのだろうけど、戦場での想いなどがあまりに個人(故人!?)の心情をついていて、本当に事実か?と思うこともしばしば。その日記も大国アメリカを敵に回した日記だけあって、どこまで本物なのかも疑問が残る。でも、参考文献の多さからも、チェの生涯をまとめたものとしては素晴らしい一冊なのだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゲバラの思想を突き詰めていけば、「食うや食わずの貧民のいない世界を作りたい」という普遍的な人間愛。これに尽きる。
そのために当時の南米においては、権力欲にまみれたカネカネ亡者をトップに居座るアメリカの傀儡政権を打倒する必要があり、手段としてゲリラ戦法を用いた武力蜂起を手段として選んだ。手段はその時の状況によって決まったにすぎない。さて、彼が今の日本に生まれたなら何をするだろう。
著者もあとがきで書いていることだが、ゲバラは名門の出で、医師免許を取得したエリートだった。なにが彼を、銃火も浴びながらジャングルを這い回る生活へと駆り立てたのか。なぜ革命のために死をもいとわなかったのか。その無私の魂が、世界中の若者の心を惹きつけてやまない。
ゲリラという言葉をテロと結びつけて、根本の信念を誤解されがちだが、彼を突き動かしたのは「普遍的な人間愛」。その原点には若かりし日の南米旅行で、搾取によって苦境に追いやられた貧民の現状を目の当たりにしたこと。
まずは現場を目の当たりにすることから、すべては始まる。若者よ、旅に出よう。 -
チェ・ゲバラ。
くそっ。いい男である。
おまけにこの本、面白い。
南米人はその陽気な気質の裏に搾取されてきたルーツがある。そしてそれを憂いたゲバラはカストロと共に行ったキューバでの革命で満足する事なく、遠くはアフリカの地、また最後はボリビアでゲリラ活動を指揮しその生涯を終える。
本著は残された資料、人間を丁寧に取材し、妙な主観をさけている。だからこそか、ゲバラという人間のスゴさが読者に伝わってくる。
ゲバラ亡き後数十年の現代。彼が憎んだグローバル大企業はまさに栄華の中にある。しかし今回は大きくは世界が平等になる過程でもある事も確かでもある。ゲバラが生きていれば、なんというだろうか。もちろんノープロブレムとも言えないだろうが。 -
ゲバラが戦死して5年という早い時期に書かれた伝記。生誕から戦死までが共感とともに丹念につづられている。ほぼ全ての革命家が一度の革命の成功後は、ふたたび革命に身を投げ打とうなどと思わないこと、日々を楽しくすごせればというラテン・アメリカの個人主義の中で際立つ無私な姿勢、戦いでも行政でも常に戦闘に立つ、常に大きな敵へ立ち向かっていく、そんなところが魅力的でその名を後世に響かせているのかもしれない。/「一発も撃たずに革命をする気かね?きみらは頭がおかしいんじゃないのか!」「人は殺せても思想は殺せない」(チェ)、「わたしを断罪せよ。それは問題ではない、歴史はわたしに無罪を宣告するだろう!」(カストロ)、かれは物質的な安逸さというものを、その生涯を通じて徹底的に軽蔑していた。/「一九五六年、われわれは自由を勝ちとるか、さもなくば殉教者となるだろう」(カストロ)、農民たちは、カストロ軍が金を必ず支払うことにまず仰天した。/「革命、つまりは、きみたちがどうかおれの子供の面倒をみてくれ」(チェ)、かれの場所は、かれの愛した人びとの倒れた場所であり、かれらと共にあるその場所こそが歴史の使命を果たす場所である、と(チェ)、祖国か死か。われわれは勝つ。(チェ)
-
チェがこんなにも世界で人気者であり続ける理由がよくわかった。
彼のような人間は、チェしかいないだろう。