富嶽百景 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 富士山は関東人としては馴染み深い。天気が良いとここから富士山見えるんだよ、というポイントはたくさんあるし、見晴らしの良い場所に立つととりあえず富士山を探す。(ですよね?笑)まあ逆にいうと関東平野はだだっぴろく、他の地域にいくと町から簡単に山々が見えるのに驚きましたが。
    というわけで、作中の主人公のように富士山の真ん前で暮らしたことはないものの、「別に大好きというわけではないけど、折りにつけ、いろんな気持ちで富士山を眺めたなあ」という構成のこの作品、好きだなあ。昔、太宰治ってうじうじしてて好かんと思ったけど、女生徒も、富岳百景も、良かった。わかりやすいし、親しみやすい。

  • 自然は全てに寛容やな。

    富士は何も変わってないのに、自分の心情の全てをありのまま受け入れてくれる。

    ※耳読書

  • 富士山が俗物に見えても、頼もしく見えても、酸漿にみえても良いんだ。どんな感情でも受け入れてくれる時にはあまりにも広大で、時にはあまりにも小さな富士。

  • 富士山というシンボリックな場所があり、揺らぐ主人公の心象風景とリンクする形で、富士は百通りもの表情を見せる。主体と客体により構成される世界、相互に絡み合いながらも、世界は主観に軸足を置いて映し出せれるのだと思う。

  • 明るくてユーモアのある、屁理屈こきの太宰治が味わえる

  •  執筆のため滞在していた御坂峠の茶屋から見える富士山を、揶揄し、散々こきおろしている。河口湖を抱きかかえるようにして広がる荘厳な姿を、やれ風呂屋のペンキ画だの、やれ芝居の書割だのと侮辱する。かと思えば「富士はえらい。よくやってる。」などとほめたりもする。
     何を隠そう、この年になっての初太宰。気難しい文を書く人なのかと思いきや、このお茶目さ。もっとこの人を知りたくなってきた。
     この時期に井伏鱒二の紹介で、後に妻となる女性と見合いをしている。額縁に入った富士の写真を見るふりをしてからだを捻じ曲げ、戻るときにちらりと相手の顔を見届ける。そして「きめた。」と。太宰本人のホンネのエッセイは楽しい。
     昭和14年2月の作品。

  • ベルリンからアムステルダムのバスの中で
    なんかこれを読むとスッとした気持ちになる。
    日本に帰りたくなった。富士山が見たい。
    次は国内旅行で、旅館でゆっくりする旅をしたいと思った。

  • 今は冬、寒い時期に読んだせいか、どてらを二枚重ねで着て熱い番茶をすすっている主人公の姿がやけに印象強く残った。

  • 随筆のような。朗読の時間

  • NHKラジオで朗読を聞いた。朗読でも聞きやすい小説だった。
    富士の見方を通して主人公や周りの人を描いている。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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