桜桃 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 太宰治文学忌 1909.6.19〜1948.613 遺体が発見されたのが、19日 誕生日だったですね。
    それで 本日が桜桃忌。太宰治最後の作品。
    新潮文庫では「ヴィヨンの妻」に収録。
    9ページの短編。
    冒頭の、われ、山にむかいて、目を挙ぐ。は、聖書詩篇121より。心中であったかどうかは、もうわからないけど、子供より親が大事と思いたい。そんな屈折した一文が続きます。
    妻と幼い子3人。長男4歳には障害があります。男は(ご本人と思いますが)忙しい妻を助けることもせず、お互い不満を持ちながら、家庭の雰囲気だけを取り繕う。
    男は、全てから逃げて、馴染みの酒場に行く。そこで、桜桃がふるまわれます。子供には、食べさせた事がない。食べさせたら喜ぶだろう。父が持って帰ったら喜ぶだろう。そう思いながら、不味そうに食べるのです。
    子供より親が大事と思いたいのであって、思ってはいないのです。しかし、喜ぶ姿を想像しながら、行動に移せない男。何が本心なのか何を求めていたのか、もはや自分でもわからなかったのか、入水自殺となります。

    • 1Q84O1さん
      みなさん、おび論講義に申し込まないと!
      みなさん、おび論講義に申し込まないと!
      2023/06/20
    • おびのりさん
      ひろさん、最近純文学ってるじゃないですか。気になってました。たまには、良いでしょう。
      はーい、太宰治くんは、ダメ男ですけど、小説は面白いので...
      ひろさん、最近純文学ってるじゃないですか。気になってました。たまには、良いでしょう。
      はーい、太宰治くんは、ダメ男ですけど、小説は面白いので、頑張りまーす。
      2023/06/20
    • ひろさん
      そうそう最近純文学っちゃって(←言ってみたかっただけ^^)
      わぁーい!よろしくお願いします~
      そうそう最近純文学っちゃって(←言ってみたかっただけ^^)
      わぁーい!よろしくお願いします~
      2023/06/21
  • 桜桃忌にー。

    「子供より親が大事、と思いたい」最初は親というのは自分の両親の事かと思ったけど、どうやら自分の事とわかり、ぷぷっやっぱり太宰や〜と笑ってしまった。
    この文うまいなぁ。歌のようにしばらく頭をぐるぐる回っていた。太宰のことだからこの言葉にもたくさんのウニョウニョした感情が込められてるんだろうな。
    悪い人ではない生真面目で繊細で弱い人なのだ。今回もダメ男っぷりに笑わせてもらいました。ありがとうございます。
    「涙の谷」がわからないまま…

  • 気付けば読み終わり…何だか無で、、ごめんなさい、何も感じなかったです。。

  • 太宰ファンには堪らんのでしょうか?
    私にはやっぱりこの作家、甘い響きしかないんですよねぇ、基本的に。
    ただ、文章は上手いと思います。こんなにすらすら読ませるのは相当なもんだと思います。それが更に遠い作家という印象を強めているのかもしれず。

  • 涙の谷から始まる夫婦の静かな喧嘩。
    さっぱりとは仲直り出来ないだろう。少しずつ澱のように沈み込んでいきそう。

  • 静かで絶望的な夫婦喧嘩の話。太宰治の描く男性は、だいたいが不器用で負のスパイラルに陥って、不運や苦境から這い上がる気概も根性もない。そのどうしようもなさが読んでいて苦しい。
    本作では圧倒的に夫婦間の対話が足りないと思うが、腹を割ったところで、お互いに現実を受け止められそうにもない。
    そして、とにかく奥さんがかわいそう、夫もっとしっかりしろと感じるが、男性は確かにこういうところがあるかもしれない、と思うし、どこかこの夫を憎めない。
    最後、夫はさくらんぼをまずそうに食べるという行動をとるが、これを彼にさせるという太宰治の選択が、(言うまでもないけれど)本当に天才的。似たような経験は誰にでもあるのではないか。この表現に完全に心を持っていかれた。

  • 太宰治の自分の内面の正直な描写には感心する

  • 子育てに疲弊した父親のリアル。
    「子供よりも親が大事」
    そんな皮肉を言いたくなるほど人間くさい男の愚痴に付き合ってるみたいな短編。
    6/19 桜桃忌 の関連を知れてよかった

  • 『ヴィヨンの妻』を読書感想文に選んだお嬢さんのお手伝いをするために色々駆け足に調べていたら、これも読むといいよ~という一文を見つけ、私が読みたくなって読んだ一作。
    青空文庫さん、ありがとう。
    すぐ名作が読めるってすごいですよね。

    最初の夫婦の会話が物凄い生々しく、そして迫力を持っている。涙の谷って言葉がこんなに荒々しく、うつくしく、かなしく、人間の魅力をぎゅっと詰めて言葉にされている場面、なかなかないのではないか、と。たいした読書量ではない私は思います。
    正直、それ以外の夫の訴えとかすぐ忘れてしまって、逆に太宰さんには申し訳ないのだけれど、、、
    でもこの作家さんが何度も読み返したくなる作家だというのは、『ヴィヨンの妻』『桜桃』と読んでみてよく分ったように思います。
    とりあえず持っている『女生徒』を読みます。
    (タイトルと表紙に釣られました)

  • 奥さんとの冷戦のたとえ(かーどーめくる)がリアル
    言葉回し、これは夫婦喧嘩の話 面白い
    言いたくても言えない気の弱さが共感を呼ぶ

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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