創られた「日本の心」神話~「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史~ (光文社新書) [Kindle]

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  • 日本の心を歌う、と称されるところの演歌。戦前戦後の日本の歌謡史を紐解き、「演歌」というジャンルの成立・発展過程を追いかける。
    そして、演歌というものがが新しいジャンルであり、日本の心という位置付けもあとから付与されたものであることが明らかになる。演歌とは日本の歌謡制度の変遷の中で東西楽曲多様な混淆から生まれたある種キメラ的なジャンルであり、演歌=日本の心、という定式も新左翼的な反動によって70年代に至ってようやく後付けされたものであるという。
    「演歌」の複雑な成立過程を膨大な情報から丁寧に分析し探っていく様は極めて刺激的だし、さらにそうして見出された演歌の姿が「日本的」「伝統的」という現代のイメージとは似ても似つかないものだという事実も驚きに満ちている。350ページという新書としては大部の分量も納得で一気に読んでしまう。

  • 物凄い情報量をもって、日本の心と言われる演歌が実は戦後レコード歌謡の1ジャンルに過ぎなかった、という事実を検証する本。筆者の頭の良さに圧倒されたのと、別に演歌とかJ-POPとか音楽史にそれほど興味がないため読むのに時間がかかったが、興味深い本だった。思ってた以上に知的な内容。

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著者プロフィール

大阪大学大学院人文学研究科教授

「2023年 『東欧演歌の地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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